大阪市立東洋陶磁美術館 安宅コレクション名品選101 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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現在、泉屋博古館東京で開催されているのは、

“大阪市立東洋陶磁美術館 安宅コレクション名品選101”

世界屈指の東洋陶磁コレクションと名高い「安宅コレクション」を紹介する展覧会です。

 

 

 

安宅コレクションとは、安宅産業株式会社の会長・安宅英一が、

個人の趣味ではなく、事業の一環として収集した東洋陶磁コレクション。

しかし、1977年に安宅産業が経営破綻したため、

そのコレクションが散逸してしまう危機に見舞われました。

そこに救いの手を差し伸べたのが、泉屋博古館とも関係が深い住友グループ。

大阪市に資金を寄付し、大阪市はその寄付金で安宅コレクションを購入。

さらに、大阪東洋陶磁美術館の建物も建設されました。

 

そういう縁もあって、大阪東洋陶磁美術館から、

そのコレクションの中核をなす「安宅コレクション」が、

それも、ベストofベストの101点がまとめて上京しています。

 

 

 

その101点の中にはもちろん、

国宝の《飛青磁花生》《油滴天目茶碗》

 

 

 

そして、加賀前田家に伝来したという重要文化財《木葉天目 茶碗》も。

 

 

 

他にも、重要文化財は10件含まれていましたが、

国宝でも重要文化財でもない無冠(?)の陶磁器の中にも、

「パレスボウル」として珍重されている大明成化年製の茶碗や、

 

 

 

世界中に90点余りしか現存していないという幻の青磁、汝窯の盆など、

 

 

 

名品の数々がしれっと混じっていました。

他にも、稀代の目利き・青山二郎によって、

「白袴」と銘が付けられた朝鮮時代の白磁の逸品や、

 

 

 

人間国宝・濱田庄司が初めてその実物と対面した際、

長い時間、ただ凝視したという逸話のある朝鮮時代の壺など、

 

 

 

見逃せない名品は多々ありましたが、

強いて1つ挙げるとすれば、《加彩 婦女俑》でしょうか。

今展のメインビジュアルにも採用されています。

 

 

 

大阪市立東洋陶磁美術館の英語名の略称が、

「MOCO(モコ)」なので、「MOCOのヴィーナス」とも呼ばれているそう。

8世紀唐時代に作られたもので、その貴重性ゆえ、

基本的には館外に貸出することはほぼ無いとのこと。

まさに、箱入り娘。

これが最後の上京の可能性も大いにあるそうです。

 

それから、こちらも見逃せないのが、

日本を代表する古美術商・廣田松繁が所蔵していた3点。

特に気に入っていたため、『三種の神器』と呼んで秘蔵していたのだそう。

 

 

 

廣田に売らないと断られたものの、

この『三種の神器』がどうしても欲しかった安宅。

ある日、廣田を家に招きました。
廣田が座敷に入ると、その床の間には、

自身が書いた断りの手紙が、丁寧に表装され飾れていたそうです。

そこまでして蒐集したいという安宅の執念に脱帽し、

「いやぁ、まいりました」と、『三種の神器』を譲ることにしたのだとか。

 

 

これらの名品の数々が、他の展覧会であれば、

もっと恭しく、VIP待遇で展示されているであろうに。

その他大勢のような感じで展示されていました。

まるで、ハリウッドスターがカメオ出演しているかのような贅沢感です。

 

やきものが好きな人は当然として、

やきものに興味が無い人でも必見の展覧会といえましょう。

会場全て写真撮影が可能なのもありがたい限り!

星星星

 

 

ちなみに。

個人的にとりわけ印象に残っているのは、

《青磁陽刻 牡丹蓮花文 鶴首瓶》にまつわるエピソード。

 

 

 

首の部分がまっすぐではなく、

捻じれながら、やや傾いています。

それを見たとある小説家は、

「首のねじれ方が道を歩いている三十女がふとたちどまり、

 ちょっと後ろをふりむいた、といった風姿である」と例えたのだとか。

 

・・・・・・・・・・・・・・。

 

ほんの一瞬だけ、納得しかけましたが、

冷静になって考えてみると、いまいちピンと来ない例えでした。

こんなに首が長い女性がおるか!!

 

 

最後に、個人的にお気に入り作品をご紹介。

 

 

 

作品名は《青花 虎鵲文 壺》

猫かと思いきや、虎でした。

なんとなくのイメージですが、

アメリカの初期のアニメにこんなのが出てそう。

で、猛ダッシュした勢いとかで、崖から落っこちてそう。

 

 

 

 

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