雲をつかむ:原美術館/原六郎コレクション | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

現代アート専門の美術館の走りであった原美術館。

多くの美術ファンに惜しまれつつ、

2021年1月に閉館してしまいました。

しかし、完全に活動にピリオドを打ったわけではなく、

その別館に当たる群馬県のハラ ミュージアム アークと活動を集約。

2021年4月より、リスタートを切りました。

 

 

 

その名も、原美術館ARC。

「AではじまりCでおわる現代アートの美術館はARC」 と覚えましょう (←?)。

 

なお、御殿山にあった原美術館は、

かつて邸宅だったその建物も、大きな魅力の一つでしたが。

こちらの原美術館ARCの建築は、

国際的に活躍する建築家・磯崎新さんの設計によるもの。

青い空と緑豊かな環境に、黒い外観が絶妙にマッチしていました。

 

 

ちなみに。

原美術館時代と同様に、敷地内のいたるところに、

国内外で活躍する現代アーティストの作品が設置されています。

 

 

 

大人の事情でブログには掲載は出来ませんが、

それらの中には、ウォーホルによるキャンベルスープ缶の立体作品も。

高さは、実に約3m!

世界に3体しかない貴重な作品です。

 

さらには、原美術館の中庭に設置されていた、

ソル・ルウィットと三島喜美代さんのあの作品も!

 

 

 

原美術館に何度も通っていた自分としては、

思いがけぬ再開に、テンションが上がってしまいました。

 

再会と言えば、森村泰昌さんの作品とも再会を果たすことに。

 

 

 

原美術館時代は、かつてトイレだった場所に、

大股を広げた森村泰昌さんの人形が設置されていました。

実は、ハラ ミュージアム アークの収蔵庫に、

もう一体の森村さん人形が眠っていたそうで。

今回の統合にあたり、2体の森村さん人形が、

アーク時代来館者用トイレだった場所で共演する運びとなったのだとか。

それゆえ、タイトルも 《輪舞》 から 《輪舞(双子)》 へ。

1体でも、風邪を引いた時に見る夢のような光景ですが、

2体になったことで、白昼夢のような光景がさらにパワーアップしています。

 

また、原美術館時代の常設作品では、

『東京のレトロ美術館』 でも紹介した通り、

鈴木康広さんの 《募金箱「泉」》 がお気に入りでした。

 

 

 

 

あの作品はまだ移設されていないようでしたが、

その代わりに、《日本列島のベンチ》 という作品が設置されていました。

 

 

 

作品名ズバリ、日本列島の形をしたベンチです。

実は、原美術館ARCのある群馬県渋川市は、

日本列島を円で囲った際に、ちょうど中心に当たることから、

「日本のへそ」 と呼ばれているのだとか。

日本の中心で日本に座る。

そんな貴重な体験ができます。

 

 

・・・・・と、久しぶりの原美術館との出逢いに浮かれてしまい、

すっかり常設作品のことで話題がいっぱいになってしまいました。

もちろん企画展も開催されています。

タイトルは、“雲をつかむ:原美術館/原六郎コレクション”

 

 

 

こちらは、「雲をつかむ」 をキーワードに、

原美術館コレクションを紹介する展覧会です。

社会の本質をつかもうと制作された作品。

実在するものではなく、概念を作品化したもの。

具体的な像を結ばない抽象絵画や立体作品など。

さまざまなタイプの現代美術作品が紹介されています。

 

辰野登恵子 《無題 97-4》 1997年 カンヴァスに油彩 218x291cm

 

ジャン=ピエール レイノー 《試験管 II》 1978年 木材にペイント、タイル、ガラス管 53.0x37.3x16.7㎝ 

🄫ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2022 G2760

 

原美術館で公開された作品もあれば、

大きすぎて原美術館では公開できなかった作品も。

「お久しぶりです」 と 「はじめまして」 が楽しめる展覧会でした。

星星

 

また、2008年に増築されたという特別展示室・観海庵では、

原美術館を創立した原俊夫さんの曾祖父に当たる明治の実業家、

原六郎が収集した 「原六郎コレクション」 が中心に公開されています。

かつて三井寺の塔頭の一つであった日光院の客殿を飾っていた、

《蘭亭図(部分) をはじめとする古美術作品も楽しむことができますよ。

 

狩野派 《蘭亭図》(部分) 三井寺旧日光院客殿障壁画 桃山~江戸時代 紙本墨画 四幅 各169x128.6㎝

 

 

最後に、個人的にオススメの屋外作品をご紹介。

オラファー・エリアソンの 《Sunspace for Shibukawa》 です。

 

 

 

UFOをどこか彷彿とさせるシルバーの不思議なオブジェ。

その中に恐る恐ると、入ってみると・・・・・・

 

 

 

虹の線が幾重にも重なっていました。

なんでも、この作品の天井部には、

丸いプリズムレンズがいくつも取り付けられており、

それらのレンズを通じて、太陽光が虹になる仕組みなのだとか。

時間や季節によって、作り出される形は変化するのだそう。

ただし、太陽光が無ければ、内部は単なるがらんどう。

青天の日限定で楽しめるアート作品です。

この作品を堪能したい方は、雲の多い日をつかみませんように。

 




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ