ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

先日、水戸芸術館で9月1日より開催される展覧会、

”ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island” を取材してきました。

(注;当初の予定では8月7日開幕でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、現在は臨時休館中)

 

 

 

こちらは、スイスを拠点に国内外で活動する女性映像アーティスト、

ピピロッティ・リストの約30年間に及ぶ活動の全体像を本格的に紹介する展覧会です。

初期の作品や代表作の数々もあれば、

この展覧会開幕の直前に完成したという超最新作も。

実に、38点の作品が紹介されています。

 

展示室に入り口を抜けると、まず展示されていたのは、

彼女の出世作ともいうべき作品 《永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に》

1997年のヴェネチア・ビエンナーレに出品され、

見事、若手作家賞を受賞し、話題となった映像作品です。

巨大な花のようなものを持った女性が、

優しげな音楽に合わせ、軽快な足取りで歩道を歩いています。

 

・・・・・と、次の瞬間!

 

 

 

その巨大な花のようなもので、

路駐されている車の窓ガラスを 「バーン!」。

そして、再び何事も無かったように、

女性はルンルンと歩き始めます・・・の繰り返し。

実にヤンデレな風味 (?) の映像作品でした。

 

ちなみに、画像が暗くて伝わりづらくて恐縮ですが。

スクリーンのある床にはふかふかの絨毯が敷かれ、

人をダメにするクッション的なものが設置されています。

これは、ピピロッティの、作品を視覚だけでなく、

触覚でも楽しんでほしいという思想を反映させたものとのこと。

さらに、ゴロゴロして、気持ちをほぐした状態で作品と向き合ってほしいとのこと。

 

それゆえ、冒頭の展示室以外にも、

会場のあちらこちらに絨毯が敷かれていました。

 

 

 

一部、靴のままでも大丈夫なものもありますが、基本は土足禁止。

脱ぎ履きしやすい靴で訪れることをオススメいたします。

 

なお、展覧会のラストのほうでは、絨毯やソファ以上に、

ゴロゴロして、気持ちをほぐせるアイテムが用意されていました。

 

 

 

それは、ベッド。

この展示空間では、ベッドに横たわり、

天井の映像を観ることが可能となっています。

 

 

 

映し出されているのは、おそらく水中の映像。

抽象的な印象の映像ゆえ、

まるで白昼夢を観ているかのよう。

起きているのに、眠っているような。

不思議な感覚が味わえました。

 

 

ベッドのある展示室もさることながら、

細部までこれでもかというくらいに創り込まれている展覧会です。

 

 

 

それだけに、開幕の延期が本当に残念でなりません。

どうか会期中に無事に開幕できますように!

星星

 

 

ちなみに。

個人的には、彼女の映像そのものもさることながら、

さりげなく仕込まれたプロジェクターを見つけるのも楽しかったです。

 

 

 

ソファーの下にさりげなく設置されていたり、

たくさん置かれた酒の空き瓶の中に紛れ込ませていたり。

意外なところから、次々にマイクが出てくる。

『オレたちひょうきん族』 の懐かしのコントをふと思い出しました。

 

 

さてさて。

最後の展示室では、ピピロッティの初期作、

1980~90年代前半の短編映像作品の数々が上映されています。

それらの中には、彼女のデビュー作という、

《わたしはそんなに欲しがりの女の子じゃない》 も。

 

 

 

ビデオ映像の劣化具合といい、

顔の見えない女性が歌い狂う (?) その内容といい。

呪いのビデオにしか見えませんでした。

1週間後に死んだらどうしようか、と心配になりましたが、どうやら死なずに済んだようです。

 

 

なお、ピピロッティの作品は、

美術館の外にも設置されています。

青空のもとではためく無数の白い旗・・・・・かと思いきや。

 

 

 

その正体は、無数の白い下着でした。

女性モノもあれば、男性モノも。

あの監督を彷彿とさせる白いブリーフもありました。

ナイスですね。

 




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ