ゲストキュレーターへの道 ~完~ | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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2020年11月3日。

人生で初めてキュレーションを担当した展覧会、

“TADのベスト版 コレクション+(プラス)─あなたならどう見る?─” が無事に閉幕しました。

 

貴重な機会を与えてくれた富山県美術館の皆さま、

そして、僕がふざけきった分をフォローしてくださった3人のゲストキュレーターの皆さま、

(アーティストの開発好明さん、作家の山内マリコさん、美術評論家の林道郎さん)

そして、何よりご来場いただいた皆さま、本当に本当にありがとうございました!

この場を借りて、心よりお礼申し上げます。

 

 

さて、終わったから、ぶっちゃけますが。

正直なところ、開幕するまでは・・・・・いや、

開幕してからもしばらくは、不安でいっぱいでした。

4人のゲストキュレーターの中で、

明らかにオモシロ担当でキャスティングされている僕。

“何か面白いことをしなければ!” という強迫観念のもと、

いくつかアイディアを生み出したわけですが、

果たして、これらのネタが、実際にウケるのかどうか。

トークショーや講演であれば、

もし仮にスベったとしても、その後いくらでも挽回できますが。

今回ばかりはそういうわけにはいきません。

展示をやり直すことも、会場に滞在してトークでフォローすることも叶わないのです。

 

それゆえ、実は、会期が始まって1、2週間は、

“ウケていますように” と、ただただ祈る日々を過ごしていました。

その後、しばらくして、富山県美術館を訪れた関係者の皆さまや、

展覧会を通して初めて僕のことを知ってくださったという方たちから、

「面白かった!」 「楽しかった!」 というメッセージが、ボチボチと届くように。

それでようやく、ホッと肩の荷がおりました。

決してスベってはいなかったのだと (笑)

 

 

さてさて、この展覧会を通じて、何よりも嬉しかったのは、

会場に足を運んでくださった読者の方が少なくなかったことです。

富山近郊の方だけでなく、わざわざ関東や関西方面から足を運んでくださった方も。

そういった皆さまに、このブログは支えられているのだなァと改めて実感しました。

いつもありがとうございます。

 

とはいえ、場所が場所だけに、さらに、こういう状況下だっただけに、

足を運びたくても運べなかった方も、きっと多くいらっしゃったことでしょう。

そこで、備忘録も兼ねて、僕がキュレーションしたコーナーをダイジェストでご紹介いたします!

少しでも会場を訪れた気持ちになって頂けましたら。

 

 

まず用意したのは、#3でも紹介した 『鑑賞者格付けチェック』 コーナーです。

 

 

 

どちらかがマティスが作った切り絵、

そして、どちらかが僕が作ったマティス風切り絵。

巨匠vs素人。

「ダマされるわけがない!」 と思われたでしょうが、

これが意外や意外にも、3割近くの人はダマされたようです (笑)

僕には、切り絵の才能があったのですね (←?)。

 

 

続いて用意したコーナーは、『食わず嫌いアート決定戦』 

 

 

 

展示されているのは、僕の大好物である4人のアーティストの作品です。

しかし、本家同様、このうちの一人が、実は食わず嫌いなアーティスト。

キャプションの文面をヒントに、それが一体誰なのかを当てるという企画です。

あのアーティストが苦手という事実は、

墓場まで隠し通そうとしていたのですが、

この機会に思い切って初カミングアウトしました。

ちょっとだけ業界がザワついたようです (笑)

 

 

3つ目のパロディコーナーは、 『TAD OOGIRIグランプリ』

 

 

 

正直なところ、どれだけの人が参加してくれるのか、かなりドキドキしていたのですが。

蓋を開けてみれば、のべ200人以上の回答が集まるほどの盛況ぶり。

下は4歳から、上は78歳まで。

さまざまな世代の方に、ご参加頂けたようです。

このコーナーが親子連れやカップルで一番盛り上がっていた、という報告も多数寄せられました。

何とも嬉しい限りです。

なお、もっとも面白かった回答には、

自腹でプレゼントを用意し、それぞれ 「とに~賞」 を贈呈しました。

レベルが高い回答が多くて、審査には相当悩みました。

 

ちなみに。

お題の一つであるロートレック 《マンジの肖像》 の 「とに~賞」 は、

 

 

 

皆さんが静かになるまで3分20秒かかりました。

(はなちゃん・女・学生・22歳) に決定。

本家でもIPPONが取れるであろう秀逸な回答です。

 

 

なお、今回もう一つ用意したのは、『コロナ後のアート』 というコーナー。

 

 

 

こちらは、ステイホーム期間中にお届けした記事、

“密ですアート” をアップデートしたようなコーナーで、

アフターコロナで見え方が変わってしまったアートの数々を紹介しました。

その中でどうしてもやってみたかったのが、この展示↓

 

 

 

アンディ・ウォーホルの 《マリリン》 を、

ソーシャルディスタンスver.で、つまり2m離して展示するというものです。

題して、『2020年のマリリン』。

我ながら、だいぶくだらないです (笑)

このくだらないことを全力で実現させてくれた皆様には、いくら感謝してもし足りません。

 

 

さてさて。

もう今ごろ、これらの展示はすべて撤去されているのでしょうね。

そう考えたら、途端に寂しくなってきました。

止まない雨はない。

明けない夜はない。

終わらない展覧会はない。

当たり前のことなのですが、いざ終わると悲しいものです。

 

 

というわけで、これにてゲストキュレーターの道は終了。

個人的には、やりきった感が強いので、おそらく次はないでしょう。

アイディアも出し尽くしましたし。

ただ、もしオファーがあれば・・・・・その時は、考えます (笑)

 

それでは、またいつか。

『ゲストキュレーターの道season2』 でお会いいたしましょう!

 

 

 


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