ルオーと日本展 響き合う芸術と魂―交流の百年 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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最新情報は美術館ホームページ等でご確認くださいませ。



コロナウイルスのせいで開幕が延期となっていたパナソニック汐留美術館の展覧会、
“ルオーと日本展 響き合う芸術と魂―交流の百年” が、ついに6月5日に開幕を迎えました!




世界で唯一ルオーの名を冠した 「ルオー・ギャラリー」 で、
ジョルジュ・ルオーの作品を常設展示するパナソニック汐留美術館では、
これまでさまざまな切り口でのルオーの展覧会が開催されてきましたが。
今回のテーマは、『ルオーと日本』。
フランス留学時にルオーの作品に衝撃を受けたという梅原龍三郎の旧蔵品や、


ジョルジュ・ルオー 《青髭》 1948年 油彩/厚紙(亜麻布で裏打ち) 個人蔵


ルオーと日本人芸術家や日本人コレクターとの交流のエピソード、




戦後に東京国立博物館で開催された “ルオー展” に出展されていた作品などなど、




さまざまな角度で 『ルオーと日本』 の関係性を紹介しています。
個人的に一番興味深かったのは、
ルオーに影響を受けた日本人作家を紹介するコーナー。
展覧会では、三岸好太郎や松本竣介、
難波田龍起といった画家がピックアップされていましたが、
これまで彼らの作品を観て、一度もルオーっぽいと思ったことがありません。
正直なところ、“言うほどルオーの影響を受けてないのでは?” と半信半疑だったのですが。


三岸好太郎 《道化》 1930-31年頃 油彩/キャンヴァス 北海道立三岸好太郎美術館


三岸好太郎も松本竣介も難波田龍起も、ルオーの影響をがっつり受けていました。
ゴッホやセザンヌの影響を受けた日本人作家の存在は知っていましたが、
まさか、これほどまでにルオーが日本の美術界に大きな影響を与えていたとは!
新鮮な驚きと発見のある展覧会です。
星星


なお、展覧会のイントロダクションでは、
白隠の禅画と富岡鉄斎の文人画が紹介されていました。

“何で白隠?何で富岡鉄斎??”

と、思わず戸惑ってしまいましたが。
ルオーの絵画には、「東洋的なるもの」 があるとのことで、
その観点から、白隠や富岡鉄斎の作品との共通性が提示されていました。
実際、梅原龍三郎の弟子だったある画家は、
ルオーについて、『仏蘭西の鉄斎』 と述べているそうです。
確かに、そう言われてみれば、
ルオーの作品が禅画や文人画のように思えてきました。


ジョルジュ・ルオー 《日本の武士(武者絵)》 1928年頃 墨、パステル、精油で溶いた油彩/紙 個人蔵
ⓒADAGP,Paris & JASPAR,Tokyo,2019 E3556



また、展覧会のラストでは、
ルオーの精神性に共鳴するような現代の日本の作家3名の作品が紹介されています。





三岸好太郎や松本竣介のように、
明らかにルオーの影響を受けているという感じではありませんが。
ルオーと同様に、何か祈りのようなものを込めて、
作品を制作しているという点で、それぞれ通ずるものが感じられました。


ちなみに。
残念ながら、コロナウィルスの影響のせいで、
本来、海外から借用予定だった作品や資料は出品されていません。
(代わりにパネルで紹介されています)
その数、実に約30点。
それだけの数の作品が無いとなると、
さぞかし会場はスカスカなのだろうと心配していたのですが・・・・・・・




全くの杞憂でした。
全然スカスカではなかったです。
むしろ、みっちり。
ここにあと約30点が追加されるとなると、
ルオーの作品ばりに、こんもりと厚塗りな会場になっていた気がします (笑)
ソーシャルディスタンス的には、これはこれで良かったのかも。


 ┃会期:6月5日(金)~6月23日(火)
 ┃会場:パナソニック汐留美術館
 ┃
https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/20/200411/




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