瀬戸内国際芸術祭2019 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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3年に1度。
瀬戸内海の12の島と2つの港を舞台に開催される現代アートの祭典。
それが、“瀬戸内国際芸術祭” です。




すべての島と港を巡りたかったところですが、
スケジュール的に難しかったので、今回は、秋会期のみ会場となる4つの島を巡ってきました。

まず訪れたのは、原付が異様に多い島、伊吹島。
こちらは、良質な煮干しとして知られる伊吹いりこが特産の島です。




この島で特に観ておくべき作品は、
何と言っても、栗林隆さんの新作 《伊吹の樹》 でしょうか。




モチーフは、「生命の樹」 とのこと。
青い海、青い空、そして、Instagramにも映える作品でした。
ちなみに、内部はこんな感じになっていました↓




ここから見上げた青空の美しさといったら!
この作品のおかげで、“空の青さを知る人” になれました。


続いて、訪れたのは粟島。
浦島太郎伝説の残る島です。




粟島で展開されていた作品の中で特に印象的だったのは、
世界で最も活躍するベトナム人アーティスト、ディン・Q・レによる 《PhoUdon&COFFEE》




かつてうどん屋さんだった建物を使い、
ディン・Q・レが考案した食べ物 「PhoUdon(フォー+うどん)」 を提供するという作品です。
「PhoUdon」 は実際にお金を払って実際に食べることが可能。
粟島を訪れる前にご飯を食べてしまったため、泣く泣く 「PhoUdon」 は諦めました。
柔らかいのかい?コシがあるのかい?どっちなんだい?
その食感が気になっていますので、もし食べた方がいらっしゃいましたら、完走をお待ちしております。

ちなみに。
《PhoUdon&COFFEE》 の裏手には、そのうどん屋さんの住居だった建物がありました。
そちらも、ディン・Q・レによって、
《この家の貴女へ贈る花束》 というインスタレーション作品に生まれ変わっています。




床一面に広がるカラフルでファンシーなモノの正体は、
ベトナムの紡績工場で廃棄された端切れを再利用したラグです。
座り心地も寝心地もグッドでした。

また、かつて幼稚園だった建物を利用したインスタレーション作品、
エステル・ストッカーの 《思考の輪郭》 も、シンプルな仕掛けながらインパクトは十分。





どれが描かれた線で、どれが立体物なのか、混乱すること必至です。
足元をひっかけないよう要注意。


2日目。
この日は、2つの島を訪れました。
1つは、本島 (ほんじま)
今回訪れた島の中では最も大きな島です。




それだけに、作品数も他の島よりも多かったですが、
特にピクチャレスクだったのが、五十嵐靖晃さんによる 《そらあみ<島巡り>》 という作品。





全長120メートルにわたって、カラフルな網が続いています。
カラフルな網越しの海。
カラフルな網越しの島。
カラフルな網越しの橋。
どこを切り取っても画になる作品でした。


もう一つ訪れたのは、高見島。
かつては除虫菊 (蚊取り線香の原料となる菊) の生産で栄えたという島です。
「金鳥の夏、日本の夏」 を支えた島と言っても過言ではありません。




そんな高見島で特に印象的だった作品が、
アートユニットPARANOID ANDERSONSによる 《Long time no see》




こちらは、高見島にあった1軒の空き家をまるまる解体し、
そこにあったすべての建材や家財道具を素材にし、彫刻作品として生まれ変わらせたという作品です。
これまで数多くの匠が、さまざまな家を劇的ビフォーアフターさせてきましたが。
その何十倍も劇的なビフォーアフターを実現させていました。


ちなみに、それ以上 (?) に高見島で衝撃だったのは、こちらの看板。




うどん屋が、タピってました。
タピオカブームは、瀬戸内の島にまで広がっているようです。


さてさて、4島を巡って何よりも実感したのは、
開始から今日まで、ずっと揉めに揉めてる某トリエンナーレとは違って、
来場者もスタッフも、そして、地元の人も、みんな笑顔だったということ。
アートが人を幸せにする。
もっとも大切なことを再確認させられた気がします。
星星星




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