作家で、母で つくる そだてる 長島有里枝 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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今年2018年は、いわさきちひろの生誕100年の節目の年。
そんなメモリアルイヤーを盛り上げるべく、東京と安曇野、両方のちひろ美術館では、
「Life」 をテーマに様々な分野で活躍する作家とコラボする “Life展” がシリーズ展開されてきました。
そんな “Life展” のフィナーレを飾る展覧会が、ちひろ美術館・東京で開催されています。
“作家で、母で つくる そだてる 長島有里枝” は、来年1月31日まで。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


こちらは、デビュー以来一貫して、「家族」 や 「女性」 のあり方を、
写真で問い続けてきたアーティスト長島有里枝さん (1973~) とのコラボ展です。
画家であり、母であったいわさきちひろと、
写真家であり、母である長島有里枝さんが、時空を超えた (?) コラボを果たしています。
星


展示室は全部で4つありますが、それぞれ異なるコラボが展開。
四者四様のコラボを楽しむことが出来ました。
まず展示室1で紹介されているのは、長島さんがセレクトしたちひろの絵や言葉。





子どもを必要以上に可愛らしく描いた作品ではなく、
子どもを一人の人間として、対等な目線で描いた作品に、
重きを置いてセレクトしている印象を受けました。




同じ作家であり、母である長島さんのフィルターを通すことで、
従来のちひろのイメージとは違った、作家いわさきちひろ像が浮かび上がっていたように思います。


続く展示室2で展示されているのは、長島さんの一人息子の姿を撮影した写真です。
この一連の写真は、これまで発表を控えていたそう。
今回が満を持しての初公開となります。




長島さんが撮影した子どもの写真も、ちひろ作品と同様に、
可愛らしさをあえて狙っておらず、一人の人間としての姿を映し出したものが多かったです。
ちなみに、被写体の彼は、現在は高校生となっているそうですが、
今回の展覧会で紹介されていたのは、誕生時から10歳頃までの写真。




それらが時系列順に展示されていました。
そのため、子どもの成長を駆け足で眺めているようで、なんとも不思議な感覚に陥ります。
全く面識のない子ですが、展示のラストのほうでは、

「いやぁ、ずいぶん大きくなったなァ。
 この前見たときは、こんな (大きさ) だったのに」

と、親戚のオジサンがよく言う感想を抱いてしまったほどでした。


展示室3では、長島さんの近作 『家庭について/about home』 とのコラボが展開。
ちひろが家庭での日常風景を描いた素描と併せて展示されています。




セレクトされた長島さんの写真が、シュールなテイストだったため、
これまでの展示とはガラッと変わって、ちょっと不穏な空気も感じます。




なんか全体的に心がザラッと、ザワッとしました。
当たり前の日常に潜む、ちょっと不思議な光景。
トワイライトゾーンです。


さてさて、最後の展示室で紹介されていたのは、
長島さんが2005年に発表した千人針プロジェクトという作品。




妊娠中、911テロのニュースを目撃したことをきっかけに制作した作品だそうで、
第二次世界大戦中に日本の女性たちが行なった 「千人針」 が重要なモチーフとなっています。
この作品と対応させるように、展示室内には、ちひろの反戦の絵本の絵が展示されています。




2人の作品が同じ空間で展示されていることで、
戦争や暴力への強い憤りが、増幅されていたような印象を受けました。

普段は優しいが、怒らせると怖い。
母とは、きっとそういうもの。




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