オパールとオパルセント 魔性の光に魅せられて | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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現在、箱根ラリック美術館で開催中されているのは、
“オパールとオパルセント 魔性の光に魅せられて” という展覧会です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


ガラス工芸家に転向する前に、宝飾デザイナーとして活躍していたルネ・ラリック。
そんな彼が、もっとも魅了された宝石は、
ダイヤモンドでもルビーでもなく、オパールだったのだとか。
今でこそ、オパールは10月の誕生石としても、人気の高い宝石ですが。
実は、ラリックの生きた19世紀には、
当時、発売されたとある人気小説での設定がきっかけとなり、
オパールに ”不幸をもたらす石” というマイナスイメージが定着。。。
そのため、ジュエリーに使われることは、ほとんど無かったのだそうです。

ラリックの友人ロベール・ド・モンテスキューは、
オパールに魅せられたラリックについて、こんな詩を残しています。




「常軌を逸した宝石細工師」 とか、
「宝石細工師は悩ましいオパールにかぶさって死ぬ」 とか、なかなかヒドい言われようです (笑)

それほどまでにラリックを魅了したオパール。
その最大の特徴は、宝石の中で唯一水分を含んでいるということ。
それゆえ、独特の揺らめき、輝きを湛えているのです。
また、一つとして同じ色がないことも、オパールの特性。
一見すると、様々な種類の鉱石が入っているように見えますが、





こちらのケース内にある鉱石は、実は、すべてオパールなのだそうです。
しかも、一つのオパールをとってみても、
場所によって色や光り方が変わってくるのだそう。





ラリックは、そんなオパールの特性を活かしたジュエリーを次々に発表していきました。
例えば、こちらの 《ハヤブサとオパール》 という櫛。





中央の3つのオパールは、3者3様の色と輝きを放っています。
まるで、卵が内側から光り輝いているような。
今にも、何かが生まれてきそうな。
神秘的な印象を受けました。


また例えば、こちらのクジャクをイメージしたジュエリー。




クジャクの羽根の目玉模様の部分が、
色とりどりのオパールで表現されていました。
ハート形であるのは、可愛さを狙ったからなのかと思いきや・・・




参考のために、わざわざ展示されていたクジャクのはく製を見るに、
実際の目玉模様も、中央は真ん丸ではなく、ハート形になっていました。
ラリックは、ちゃんと忠実に再現していたのですね。


今回の展覧会では、オパールを使用したラリックのジュエリーの数々が紹介されていましたが。
何と言っても群を抜いて美しかったのは、《カトレア》 のブローチです。




2枚の花びらが、オパールで表現されています
白い花びらなのですが、照明の当たり方によって、緑や青に妖しく光ります。
ため息ものの美しさでした。
(※いろいろと頑張ったのですが、写真では、どうにもあの美しさが表現できません・・・)
なるほど。
ラリックがオパールに魅了されたのも納得です。
星星


さてさて、のちにガラス工芸家へと転向したラリックですが、
オパールの魅力からは逃れられず (?)、オパールの色彩をガラス表現で追求します。
そんな試行錯誤の末、ラリックが辿り着いたのが、オパルセントガラスでした。




まぁ、キレイと言えば、キレイですが・・・。
オパールの輝きと比べてしまうと・・・う~ん・・・。
どうしてこのガラスに、ラリックがハマったのか、正直理解に苦しみました。
が、もう少しマジマジ見てみようと、しゃがんた瞬間に、不思議な現象が起こったのです!




あっ、色が変わった!!

さらに、しゃがむと、こんな感じ↓




そう。オパルセントガラスとは、宝石のオパールのように、
見る角度や照明の当て方によって、青やオレンジに色を美しく変化させる特性をもっていたのです。
なるほど。
ラリックがオパルセントガラスに魅了されたのも納得です。


ちなみに。
オパルセントガラスで作られた女性像 (カーマスコット) が紹介されていたのですが。




乳白色の感じとい、青やオレンジの色合いといい。
一瞬、クリオネが展示されているのかと思いました (笑)




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