プーシキン美術館展――旅するフランス風景画 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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東京都美術館で開催中の展覧会、
“プーシキン美術館展――旅するフランス風景画” に行ってきました。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


世界屈指のフランス絵画コレクションで知られるモスクワのプーシキン美術館。
その充実したコレクションの中から選りすぐりのフランス風景画を紹介する展覧会です。
出展数は、65点。
小ぶりの作品も少なくなかったので、
場所によっては、やや殺風景な印象も否めませんでしたが。




クールベや、




シスレー、




セザンヌといった、




フランス美術界の名だたる巨匠の作品がまとめて観られる、またとない機会。
ロシア経由でフランスを旅したような気分になれる展覧会でした。
星星


展覧会の目玉は何と言っても、今回が初来日となるモネの 《草上の昼食》
マネの 《草上の昼食》 に刺激を受けた26歳の若き日のモネによって描かれた一枚です。
(注:マネとモネを間違えないように!)


クロード・モネ 《草上の昼食》 1866年 © The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.


この絵がパッと目に飛び込んできた瞬間に、
「わっ、眩しっ(>_<)」 と、思わず目を瞑ってしまいました。
とにかく明るい絵画です。
ただ、人物の描写は、やや固い印象。
画面中央の女性 (特に右のほう!) なんか顔面蒼白です。
何か悪い食べ物に当たったのか、と心配になるレベルでした。
画面右手前の男性の足も、異様に長い気がします。
総じて、モネは人物を描くのが苦手だったようです。
風景の描写は、ピカイチなのに。
もしかしたら、この絵をきっかけに、
「・・・・・・うん。俺は風景画で行こう」 と、若き日のモネは思ったのかもしれません。
ちなみに、この絵のモデルを務めている女性は、のちに妻となるカミーユとのこと。
よく見ると、画面右に描かれた木の幹に、矢を打ち抜かれたハートマークが彫られていました。
付き合いたてのカップルが、ノリでラブラブアピールをしてしまったのか?
いろんな意味で、モネの若さが感じられる一枚です。


また、モネの盟友ルノワールの作品も出展されていました。


ピエール=オーギュスト・ルノワール 《庭にて、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの木陰》 1876年


後姿の女性が着ている昔のローソンのユニフォームみたいな服。
“どこかで観たことがあるよなァ・・・” と思っていたら、
《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》 の画面手前に座っている女性と同じ服とのこと。
同一人物である可能性が高いとのことでした。
この絵に描かれている5人は、
《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》 に行く前なのか、それとも行ってきた後なのか。
どちらなのかは想像するしかないですが。
確実に一つだけ言えるのは、彼ら彼女らは、リア充であるということ。
けっ(" ̄д ̄)!


今回の出展作の中で、個人的にお気に入りなのは、アンリ・ルソーの 《馬を襲うジャガー》 です。


アンリ・ルソー 《馬を襲うジャガー》 1910年


ジャングルで、馬がジャガーに襲われ、今にも命の灯が付きようとしている。
『アニマルプラネット』 ばりの弱肉強食の世界が描かれた一枚です。
・・・・・・・が、冷静に考えると、なぜジャングルに馬?
というか、むしろ馬がジャガーに噛みついているようにも見えなくありません。
いや、それよりも何よりも、馬の足の位置がヘンじゃない?馬なの?虫なの??
見れば見るほど、ツッコミどころ満載。失笑どころ満載。
ピューと吹くジャガーの絵。


それから、もう一つ印象に残っているのが、《水に囲まれた神殿》 という作品です。


ユベール・ロベール 《水に囲まれた神殿》 1780年代


描いたのは、ユベール・ロベール。
よく効きそうな胃薬みたいな名前の画家です。
彼の通り名は、「廃墟のロベール」。
元祖・廃墟マニア (?) だったロベールは、
想像力を駆使し、古代遺跡をより朽ち果てた姿で描きました。
この絵も、また然りです。
神殿へと向かう部分が、「風雲!たけし城」 の竜神池みたいになっているのが気になります。
あのうちのいくつかはトラップかもしれません。


最後にもう一つだけ。
今回の音声ガイドを担当しているのは、
前回2013年に開催された “プーシキン美術館展” の時と同じく、水谷豊さんです。




前回の音声ガイドでも、某刑事ドラマでお馴染みのフレーズが飛び出していましたが。
今回も健在。いや、むしろ前回以上!
お馴染みのフレーズがコンボで飛び出していました。
某刑事ドラマファンの皆さま、必聴ですよ。




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