特別展「人体 -神秘への挑戦-」 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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東京国立科学博物館で開催中の “特別展「人体 -神秘への挑戦-」”
その内覧会に行ってまいりました。
入り口でお出迎えしてくれたのは、人体どーもくん




どーもくんは、人でないわけで。。。
それなら、“人体どーもくんではなく、どーもくん体どーもくんなのでは?” と、謎の多いキャラでした。


と、どーもくんの謎はさておきまして。
“特別展「人体 -神秘への挑戦-」” は、人体の謎に迫る展覧会。
先人たちの人体に対する探求の模様から、最先端の科学で判明した新たな人体の事実まで。
書籍や模型、実際の臓器の標本など、約140点の資料で人体研究の歴史をたどる展覧会です。




(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


出展されている資料は、貴重なものばかり!
レオナルド・ダ・ヴィンチ直筆の人体解剖の手稿に、



レオナルド・ダ・ヴィンチ 《「解剖手稿」より頭部断面,脳と眼の結びつき部分》 1490-92年頃 ウィンザー城王室コレクション所蔵
Royal Collection Trust/© Her Majesty Queen Elizabeth II 2018



フェルメールの 《天文学者》 のモデルとも言われる科学者で、
精子細胞や血液細胞、細菌を発見したレーウェンフックが自作した顕微鏡、


レーウェンフックの単式顕微鏡 1673-1723年頃 アントニ・ファン・レーウェンフック ブールハーフェ博物館所蔵
©Rijksmuseum Boerhaave, Leiden V30337



さらには、あの天才アインシュタインの脳の切片 (ホンモノ!) なんかも展示されていました。



アインシュタインの脳切片 1955年以降 新潟大学脳研究所所蔵
写真撮影:カールツァイスマイクロスコピー株式会社



ちなみに、アインシュタインの脳だけに、
大きかったり、パンパンに詰まっていたりしたのかといえば、そんなことはなく。
僕らのような普通の人の脳と比べても、ほとんど差は見られないそうです。
脳のサイズとスペックは関係がないのですね。


さてさて、今回出展されている資料の中で、
もっともインパクトを受けたのが、キンストレーキ。
紙粘土製の人体模型です。




その名の由来は、オランダ語で 「人工の死体」 を意味する 「Kunstlijk」。
高価な蝋製模型の代用として、フランス人解剖学者によって開発されたそうです。
日本国内に現存するキンストレーキは、わずか4体。
そのうちの2体が、今回の展覧会に展示されています!
(注:写真左の女性型のキンストレーキは、5/17までの期間限定展示です)
男性型のキンストレーキは、加賀藩の蘭学医がオランダ海軍の軍医から購入したものとのこと。




なぜか、ポージングがヒロシ風でした。
「キンストレーキです。
 身ぐるみだけでなく、皮膚も剥がされてしまったとです。」



また、キンストレーキと同じくらいにインパクトを受けたのが、
カナダの脳外科医脳神経外科医ワイルダー・ペンフィールドが考案した 「体部位再現図」 、
いわゆるホムンクルスをもとに制作された模型です。





大脳の運動野と感覚野のどの部分が、体のどの部分を司っているのか。
その検証結果を比率で表したものなのだそうです。
目や口 (唇と舌)、手が大きいのは、それだけ大脳の中で占める範囲が大きいということ。
ただ、そもそもなんですが、ペンフィールドは、なぜわざわざビジュアル化したのでしょう??
“目や口、手の占める割合は大きいんだね” の一言で済むでしょうに。伝わるでしょうに。


そうそう。
脳と言えば、最新の研究で新たな事実が判明したそうです。
これまでは、脳が体の各機関にトップダウンで指令を与えていると考えられていましたが、
実は、それぞれの臓器が、メッセージ物質を通じてやり取りしていることがわかってきたのだとか。
今回の展覧会では、そんな人体の複雑なネットワークを色や音で表現した・・・





「ネットワークシンフォニー」 なるコーナーが設けられていました。
チームラボの作品みたいで、美しく幻想的ではありましたが。
結局のところ、色や音が具体的に何を表現しているのか・・・。
なんだか、逆にわかりづらかったです。


何はともあれ、一番身近でありながら、
実は謎がいっぱいの人体について考える良いきっかけとなる展覧会でした。
星
と、この記事を書いている今、ずっと鼻水が止まりません。
そして、ずっと目が痒いです。
やはり人体は謎が多いですね (←間違いなく花粉症!)。


ちなみに、グッズコーナーも謎がいっぱい。
なぜ、人体展でかっぱえびせん?




どんな人が、臓器のぬいぐるみを買うの?






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