根付~江戸と現代を結ぶ造形~展 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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現在、三鷹市美術ギャラリーでは、“根付~江戸と現代を結ぶ造形~展” が開催されています。
こちらは、‘日本初の根付専門美術館’ 京都清宗根付館が所蔵する古根付約60点、

三輪《ひょっとこおどり》
三輪 《ひょっとこおどり》 木・象牙 1.5×3×3.3cm 京都清宗根付館蔵


印籠を含む現代根付約245点、

高木喜峰
高木喜峰 《一球入魂》 2008年 象牙 3.7×3.7×3.8cm 京都清宗根付館蔵


合わせて約300点 (!) の根付が一堂に会した展覧会です。

現在は、「NETSUKE」 として海外でもアートとして人気の高い根付ですが。
もともとは、ポケットという文化が無かった和装の時代に、
印籠や巾着などが携帯できるように用いられていた実用品。
紐の先端に付け、帯にくぐらせる留具でした。

・・・・・という根付の基礎情報は、これまでにも何度も、
明治工芸系の展覧会のキャプションで紹介されていた気がしますが。

実演
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


このように実演 (?) してくれていたのは、僕が訪れた展覧会の中では初めて。

アップ


なるほど。
実際は、こういう感じに見えるのですね。
予想以上に、目立っています。
センスのない根付を付けていたら、後ろを歩く人にニヤニヤされてしまうこと必至。
それは、技巧を凝らした根付が次々に誕生するわけです。


根付の実際の使い方を再現していただけでなく。
今回の展覧会は、随所に工夫が凝らされた展覧会でした。
例えば、展覧会の冒頭に展示されていたのは、江戸時代から近代にかけての古典的な根付。

会場


その小さな世界に込められた職人技を最大限に満喫できるよう・・・

展示ケース


展示ケースのなるべく手前側に、根付が並べられていました。
また、展示ケースの高さも、通常よりやや高めに設計されていました。
これまでの根付展や明治工芸系の展覧会を反面教師にしたのかもしれませんが。
こんなにもストレスなく、根付を鑑賞できたのは初めてです。
ちなみに、希望者には無料で虫眼鏡や単眼鏡を貸し出すサービスも。
至れり尽くせりな根付展でした。
星星


また、今回の展覧会の肝ともいえる現代根付は・・・

アクリル


アクリルケースで展示されていました。
それにより、下から仰ぎ見ることが可能になっています。
(傍から見ると、やや怪しい人間に思われそうですがw)

根付


見上げてみると、現代根付にも、ちゃんと紐を通す穴が開いていました。
実は、密かに 「現代根付とフィギュアって、結局一緒じゃね??」 と思っていたのですが。
これからは、その認識を改めます。


穴が開いている、ということを含めて、いろいろと知らないであろう現代根付。
そんなマツコも知らないであろう二ッチな世界の魅力を紹介すべく、
今回の展覧会では、祖父の代から根付師として活躍する宮澤良舟 (三代) さんを筆頭に、

宮澤良舟(三代)
宮澤良舟(三代) 《綱渡り》 2012年 象牙 3.3×4×2.9cm 京都清宗根付館蔵


現代根付界で活躍する5人の根付作家 (神5?) にスポットが当てられています。
それぞれの作品がまとめて展示されているのは、もちろんのこと。

会場


それぞれの根付作家の制作道具や制作スタイルも、紹介されていました。

制作


どのアートのジャンルもそうなのですが。
現代根付界も、これほどまでに作家の個性がバラバラだったとは。


ちなみに、僕の推しメンは、及川空観さん。
かつてイタリア彫刻を学んでいたというだけあって・・・

作品


その作品は、バロック的でした。
ベルニーニのよう。
いい意味で、やり過ぎです (笑)




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