東山御物の美 -足利将軍家の至宝- | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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室町時代に足利将軍家によって収集されたコレクション。
それが、東山御物。
東山御物は、単なる一貴族の美術コレクションというわけではありません。
足利将軍家によって収集された唐物 (=中国の美術品) のコレクションを観て、
当時の日本人は、 「なんて素晴らしいのだ!」 と感銘を受け、それらを受容しました。
そして、自分たちが作る絵画や工芸の規範としたのです。
つまり、東山御物は、日本美術におけるクラシック (古典) 。
日本美術を語る上で欠くことのできない美術コレクションなのです。

そんな東山御物と伝称されている多くの作品群から、
国宝の 《雪中帰牧図》 や、

雪中帰牧図左  雪中帰牧図右  
国宝 《雪中帰牧図》 李迪筆 南宋時代 大和文華館
(展示期間:10月4日(土)~10月26日(日))



重要文化財の 《青磁輪花茶碗 銘馬蝗絆》

青磁輪花茶碗  重要文化財 《青磁輪花茶碗 銘馬蝗絆》 南宋時代・13世紀
東京国立博物館 Image: TNM Image Archives



「鼻毛老子」 として親しまれている (?) 《老子図》 などなど、

老子図  重要文化財 《老子図》 牧谿筆 南宋時代 岡山県立美術館
(展示期間:10月4日(土)~11月3日(月・祝))



選りすぐりの逸品ばかりを紹介した豪華な展覧会が、現在、三井記念美術館で開催されています。
“東山御物の美 -足利将軍家の至宝-” は、11月24日まで。


展覧会に出展されていたのは、日本美術におけるスター選手ばかりでした。
よくぞ、これだけのメンツを日本中から招集してこれたものです。
東山御物ジャパン (?) の代表メンバーが勢ぞろいした会場を目の当たりにして、
「現実なのか?夢じゃないのか?」 と、思わず自分の目を疑ってしまったほどでした。
おそらく東山御物に憧れを抱いていた桃山・江戸時代の人々でも、
これだけ、まとまった形で東山御物の逸品の数々を目にした人物はいないのではないでしょうか。
この展覧会を実現させてくれた三井記念美術館さんには、どんなに感謝しても感謝しきれません!
星星


どの作品もレベルが高いので、1点1点観るのも、もちろん良いのですが。
作品によっては、ペアで観るのがオススメな作品があります。
例えば、 《寒山拾得図》 と、

寒山拾得図  《寒山拾得図》 (伝)馬麟筆・石橋可宣賛 南宋時代
(展示期間:10月4日(土)~11月24日(月・振替休))



《豊干図》

豊干図  重要文化財 《豊干図》 (伝)梁楷筆・石橋可宣賛 南宋時代
(展示期間:10月4日(土)~11月24日(月・振替休))


今では、別々の場所に所蔵され、独立している作品ですが。
実は、元々は、対の作品。
長い歴史の中で別れ別れになってしまったのです。
そんな2点が、この展覧会の会場で久しぶりに再会。
やっぱり1点1点観るよりも、コンビで観るほうが、何かしっくり来るものがあります。
このペア以外にも、久しぶり再会を果たしている対作品がありますので、乞うご期待です。


ちなみに。
今回出展されていた作品の中で、個人的に印象に残ったのは、 《宮女図》 です。

宮女図  国宝 《宮女図》 (伝)銭選筆 元時代
(展示期間:10月4日(土)~10月19日(日))



描かれているのは、男装した宮廷の女官。
右手の親指と左手の小指を触れ合せ、それをじっと見つめています。
小指を立てれば彼女の意味ですし、親指を立てれば彼氏の意味です。
ということは、こういうこと?




ちなみに、展覧会の最終週 (11/18~11/24) には、同じく個人蔵の国宝 《桃鳩図》 が出展予定です。
《桃鳩図》 が一般に公開されるのは、実に10年ぶり。
それも前回の公開の際は、たった5日間しか展示されなかったのだそうです。
そして、今回も、たったの7日間。
絶対に見逃せない絵画が、そこにはあります。

期間中、最低でも2回は訪れたい展覧会です。




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