Film:29 『アンドレイ・ルブリョフ』 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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今回は、ロシア最高のイコン画家アンドレイ・ルブリョフの生涯を、
巨匠アンドレイ・タルコフスキーが丹念に描いた名作映画をレンタルしてみました。

アンドレイ・ルブリョフ


■アンドレイ・ルブリョフ

  監督:アンドレイ・タルコフスキー
  出演:アナトーリ・ソロニーツィン、イワン・ラピコフ
  1967年/ロシア/182分
 

15世紀初頭のロシアで活躍したイコン (聖像画) 画家、アンドレイ・ルブリョフの半生を二部構成で描いた作品。
僧侶のアンドレイは修道院で学んだ絵画で身を立てようとしていた。
しかし世間に出て、異民族の侵攻や疫病の流行、
貴族の圧政に苦しむ民衆を目の当たりにした彼は、民衆への共感と自らの信仰との間で苦悩する。
(シネマスコープより)


「まず何よりもの率直な感想は、


 長いっ!!!!!


 の一言に尽きます。
 途中、何度うつらうつらしたことか。
 いや、何度か実際に意識が飛びました。
 飛びましたが、特に物語を理解するには支障が無かったです (笑)
 
 要するに。
 アンドレイがイコン画家を目指すが、とある理由により、筆を折り、
 でも、やっぱり最後には、イコン画家として復活するというお話でした。
 これを3時間かけてお送りしていましたが、30分に短縮しても十分に成立する話であったような気がします。
 ちなみに、3時間で長いと感じてしまいましたが、完全版は205分もあるとのこと。
 
 完全版じゃなくて、良かった~(-。-;)

 僕は、スピード感がある映画が好きなので、冗漫に感じてしまいましたが。
 映画にスピード感を求めない方にとっては、それらの場面は抒情的に感じられることでしょう。
 ミニシアター系の映画が好きな方は、きっと僕ほどには退屈しないはずです。


 全編を通じて、うつらうつらしながら観賞してしまった映画でしたが。
 ラストばかりは、ちゃんと目が覚めました。
 というのも、全編ずっとモノクロだったので、
 時代的な理由でカラー映画ではないとばかり思っていたのですが、ラストでいきなりカラー画面に。
 そして、アンドレイが描いたイコンの数々が延々と映し出されます。
 (俳優もナレーションも解説も無く)

 さんざん3時間もの間、アンドレイが天才イコン画家であると引っ張ってきたので。
 よっぽど震えるくらいに感動的なイコンを想像していたのですが・・・

 イエスの降誕


 “あれっ?”


 栄光の救い主


 “あれあれっ?”


 当時のロシア人の感覚では、ビックリするくらいに上手かったのでしょうが、
 現代の僕らの感覚では、そこまで上手くないような、、、むしろ脱力系のような、、、

 映画の抒情的なトーンとアンドレイのイコンの画風が、どうにも一致せず。
 最後の最後にきて、

 「僕は、3時間も何を見させられていたのだろう?」

 と、誰かに救いを求めたくなりました。

 スピーチとスカートと芸術家の生涯を描いた映画は短いに限ります。
 スター 半分星 ほし ほし ほし(星1.5つ)」



~映画に登場する名画~

《救い主キリスト》

キリスト