焼け跡と絵筆―画家の見つめた戦中・戦後 展 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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開館以来、昭和の前衛絵画作品の収集、研究、展示を行ってきた板橋区立美術館にて、
“焼け跡と絵筆―画家の見つめた戦中・戦後 展” という入場無料の美術展が開催されています。

会場  会場
(注:この記事に使用している写真は、特別に板橋区立美術館さんより提供頂いたものです)


こちらは、板橋区立美術館のコレクションより、
戦中から戦後の混乱期の絵画をいくつかのテーマに分けて紹介した美術展です。

戦争が激化したために、絵画の発表を自由に行えなくなってしまった頃の作品や、
戦後の焼け跡を描いた作品、水爆実験や安保闘争といった社会問題をテーマにした作品などが紹介されています。
美しい美術作品や感動を覚えるアート作品に触れることが多いため、つい忘れがちになってしまいますが。
改めて、美術は、時代を映す鏡であり、
ルポルタージュやメディアとしての一面もあることを再確認させられる美術展でした。
星
このように硬派な美術展は貴重です。


胸を押し潰しそうなほどに、ガツンと来る作品は多々ありましたが。
その中でも、特に胸を圧縮してきたのが、佐田勝の 《廃墟》 という作品です。

佐田勝《廃墟》


廃墟の光景を、リアルに描くよりも、
多少デフォルメして描いたこの絵の方が、よっぽど廃墟らしい気がしました。
写真では、この絵ほどの虚無感を伝えられないのではないでしょうか。


また、高山良策の 《矛盾の橋》 も胸に楔を打たれた作品でした。

高山良策《矛盾の橋》


キャプションを読まずとも、広島を題材にした作品であることが伝わってきました。
そして、やり場のない怒りや理不尽さのようなものも。


そして、もっとも僕の胸を押し潰してペッシャンコにした作品が、松本竣介の 《鉄橋近く》 です。

松本竣介《鉄橋近く》


観れば観るほど、不安な気持ちを掻き立てられる作品でした。
不安がよぎることを、 「暗雲が立ち込める」 と言いますが。
暗雲どころか、暗霧 (?) のようなものまで立ち込めてますし、
排水管からは、暗水 (?) のようなものまで流れ出ています。
あと確実に、画面上をPM2.5が浮遊しています。




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