向井潤吉と四季 「冬」 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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駒澤大学駅から歩くこと約10分。
閑静な住宅街の中に、向井潤吉アトリエ館があります。

向井潤吉アトリエ館


門に、向井潤吉という表札が掲げられていることからもわかるように、
こちらは、もともとは、洋画家・向井潤吉のアトリエ兼住居だった建物だそうで。
向井潤吉本人によって、生前に美術館に改装され、
660余点の作品とともに世田谷区に寄贈されたのだとか。 (←太っ腹ですね)

そんな向井潤吉アトリエ館が開館して早20年。
それを記念して、2013年度は、 “向井潤吉と四季” と題し、
第1期展に 「春/夏」 、第2期展に 「秋」 、そして、第3期展に 「冬」 と、
一年を通じて、向井潤吉の描いた日本の四季を楽しむ通期企画が開催されています。

現在開催されているのは、もちろん “向井潤吉と四季 「冬」”
生涯にわたって、民家のある風景を描き続け、
『民家の画家』 と呼ばれた向井潤吉ならではの冬景色の数々を楽しむことが出来ます。

宿雪  《宿雪の峡》 [長野県下水内郡栄村秋山郷] 1983(昭和58)年


向井潤吉  《山居立春》 [神奈川県足柄上郡山北町世附] 1975(昭和50)年


冬景色なのにもかかわらず (?) 、全く寒々しくはありません。
むしろ温かみを感じました。
このような藁葺きの民家に住んだ経験はないのに、
自然と、中に入って囲炉裏に当たっている自分の姿を連想してしまったほどです。

比良  《比良春雪》 [京都府京都市左京区大原] 1977(昭和45)年


また、冷静に考えれば、絶対にこの風景を目にしたことがないはずなのに。
絵を前にすると、

「あぁ、懐かしいなァ」

と、何か込み上げてくるようなものがありました。
(デジャヴのような気持ち悪さはありません)
きっと自分の中の日本人のDNAが、呼び覚まされたのでしょう。

老若男女、出身地問わず、日本人ならば心の琴線に触れること必至。
演歌と向井潤吉の絵は、日本人の心のふるさとと言えそうです。
星


ちなみに。
向井潤吉の作品は、実際の風景を前に描いたものなのだそうです。
北は北海道から南は鹿児島まで、日本全国の民家を巡っては、その姿を描いていたのだとか。
そんなにも日本全国の民家を探訪しているのは、向井潤吉か渡辺篤史くらいなものです。




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