奈良美智 君や 僕に ちょっと似ている | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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今年の24時間テレビの “チャリTシャツ” のデザインも手掛け、
今ノリに乗っている、日本を代表する現代アーティスト・奈良美智さん。
その待望の新作個展 “奈良美智 君や 僕に ちょっと似ている” が、
いよいよ横浜美術館で、7月14日より始まりました!

奈良さんが大ブレイクするきっかけとなった伝説の個展、
“I DON’T MIND IF YOU FORGET ME.” から、実に11年の時を経て、同じく横浜美術館で開催される新作展。
何と何と、出展作のすべてが、今回の個展のために制作された新作なのだとか!

「奈良美智先生の作品が観れるのはやっぱり横浜美術館だけ!!」

そう表現したくなるくらいに、奈良美智さんと横浜美術館の強い絆のようなものを感じる美術展でした。
ちなみに、今回の奈良さんの個展に、過去の代表作を一つも展示せず、
あえて新作だけで会場を構成したのには、 『現在進行形』 の奈良さんを紹介したいからとのこと。
いずれ日本美術史に名を残すであろう奈良美智さん。
その “回顧展” は、この先に、いつでも開催出来ますし、実際、この先に何度も開催されることでしょう。
しかし、今まさにアーティストとして、
現役で活躍する奈良さんの 『今』 を紹介する美術展は、 “♪やるなら今しかねぇ~” のです。
(注:実際の学芸員さんは、こんな黒板五郎みたいなことを言ってはいません)

そういうわけで、今回の個展のラストで紹介されていた作品に
《Cosmic Eyes(未完/Unfinished)》 と、タイトルに “未完” の文字があったのが、まさに象徴的でした。
(注:作品の画像はありません。あしからず)
「個展としては、ひとまず終わりますが、
奈良美智さんのアーティスト活動は、まだまだ続く…」
という余韻の残る美術展。
それが新鮮でもあり、もどかしくもあり。。。
星星
ただし、 『今』 は、2ツ星ですが、数年後に振り返ってみた時に、
「今思うと、2ツ星じゃなくて、3ツ星だったなァ」 と、なりそうな予感はあります。


さてさて、肝心の新作作品の感想ですが、
いい意味で、マンネリ化している印象を受けました。
奈良美智作品の魅力である独特のテイストは、そのままに。
でも、これまでの作品に比べて、深みが加わったというか、哲学性を帯びたといいますか。
姿は少女のままなのに、心の中は大人になった感じがしました。

《春少女》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-3.春少女
2012、アクリル・カンヴァス  227.0×182.0cm (c)NARA Yoshitomo 撮影:木奥惠三


《夜まで待てない》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-2.夜まで待てない
2012、アクリル・カンヴァス 197.0×182.5cm (c)NARA Yoshitomo 撮影:木奥惠三


今回出展されていた上の2点の作品と、
10数年前の作品と比べてみると・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-奈良  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-奈良
(同時開催の常設展で、過去の奈良作品が展示されています。こちらは撮影可能!)


『今』 の奈良美智さんの少女の方が、遥かに聞きわけが良さそうな感じがします (笑)
比べてみると一目瞭然。
この11年で、奈良さんも大人になったのでしょう。 (←失礼!)


また、今回の新作個展には、キャンバス作品だけでなく。
《Real One》 のように板に描いた作品や、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-4.Real One
2012、アクリル・板  169.5×194.0×7.5cm (c)NARA Yoshitomo 撮影:木奥惠三


《ちょっと意地悪》 をはじめとする立体作品、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-1.ちょっと意地悪
2012、白銅、h153.0×125.0×135.0cm  (c)NARA Yoshitomo   撮影:森本美絵


他にも、段ボールや封筒に描いたドローイング作品なども出展されており、
11年前よりも確実に幅が広がった 『今』 の奈良美智ワールドを堪能することが出来ました。

そうそう、11年前の奈良さんと言えば、
くしくも同時期にブレイクした村上隆さんと、勝手にセット扱いされることが多かったのだそうです。
(例えるなら、今田耕治と東野幸治がセットにされるような感じでしょうか)

確かに、ともにポップで可愛い画風なので、似ていなくなくもないのですが…。

奈良さん本人は、いっしょくたにされるのが、実は、とてもイヤだったそうです。
きっと、今回11年ぶりに横浜美術館で新作個展を開くにあたって、
そのときのモヤッとした気持ちが、ふつふつと蘇ったのではないでしょうか。
個展のタイトルを “君や 僕に ちょっと似ている” としたのは、

「あくまで、似ていたとしても、 “ちょっと” だからね!」

という村上さんへの牽制の意味もあるのかもしれません。

(ちなみに、タイトルの元ネタは、ビートルズの 『Nowhereman』 の歌詞に登場するフレーズだそうです)




さて、新作個展だけでも十分に奈良美智ワールドを堪能できますが。
企画展会場だけでなく、横浜美術館全体に奈良美智ワールドは浸食しています。
奈良美智ファンならずとも、ここは全部を見ておきたいところ。

入り口にも、奈良美智。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-入り口


カフェにも、奈良美智。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-リーゼント犬  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-カフェ


美術館の外でビールとソーセージを売っている屋台も奈良美智。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-奈良美智


そして、先ほども触れましたが、常設展会場にも奈良美智です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-奈良  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-奈良


しかも、常設展会場に展示してある・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ジュリアン


こちらの 《ジュリアン》 という特別出品の作品。
実は、この作品は、 “奈良美智 君や 僕に ちょっと似ている” で展示されているどの新作よりも、
最近に制作された出来たてホヤホヤの新作なのだとか!
(↑ちょっとしたトラップですw)
これは、絶対に見落とせませんね。

なにはともあれ、

「奈良美智先生の作品が観れるのはやっぱり横浜美術館だけ!!」

なのである。




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