第ニ十一話 国宝ハンター、惚ける! | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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前回までのあらすじ~
 「おぉ、国宝。あなたはなぜ国宝なの?」
 日本全国には、どうして国宝に指定されたのか、よくわらかない国宝があります。
 それらは、なぜ国宝なのか。
 その答えは、自分の目で、足で、確かめるしかありません。
 国宝ハンターは、物言わぬ国宝と対話を続ける旅を今日も続けているのです。



もう展覧会そのものは終わってしまいましたが、
サントリー美術館で、4月1日まで開催されていた “悠久の光彩 東洋陶磁の美” で、2つの国宝をゲットしていました。

1つは、 《飛青磁花生》 (ジャンル:工芸品)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-飛青磁 花生


飛青磁とは、釉面に点々と鉄斑文のある青磁のこと。
その飛青磁の中でも国内最高傑作と評されるのが、この 《飛青磁花生》 なのだとか。

これまでいろんな陶磁器を目にしてきましたが、これは別格。
あまりに心を奪われてしまい、 《飛青磁花生》 を前にして、しばし惚けてしまいました。

これ以上ないくらいに透き通った青い色。
そして、これ以上ないくらいに滑らかな曲線のフォルム。
「完璧」 というのは、この器のためにある言葉なのでしょう。
文句なしに国宝です。


そして、もう1つは、 《油滴天目茶碗》 (ジャンル:工芸品)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-油滴天目茶碗


こちらもまた、 《飛青磁花生》 に負けず劣らず素晴らしかったです。
「国宝だぜ!」 オーラ (?) が、プンプン出ていました。
“漆黒の闇夜に、しんしんと降る雪” のイメージが浮かびましたし、
“深海に漂うマリンスノー” のイメージも浮かびました。
向き合えば向き合うほど、いろいろなイメージが湧きおこります。
ここまで物語性を持った陶磁器は、他にないのではないでしょうか。



さてさて、サントリー美術館以外でも、今月ゲットした国宝は2つ。
採取場所は、この国宝ハンターシリーズでは、すっかりお馴染みのトーハクです。

国宝室に展示されていたのは、4月に相応しい屏風。
ただ、これまでにないパターンの国宝です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-花下遊楽図屏風


描かれているのは、花見を楽しむ人々。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-花下遊楽図屏風  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-花下遊楽図屏風


一見すると、普通の国宝 (?) に見えますが。
右隻に注目!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-花下遊楽図屏風


「あっ、ない!!」

元から、ここが無かったというわけでなく。
関東大震災の時に、紛失してしまったのだそうです。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-花下遊楽図屏風


そういうわけで、この国宝の正式登録名称は、
《紙本著色花下遊楽図〈狩野長信筆/六曲屏風(右隻の二扇を欠く)〉》 (ジャンル:絵画)

右隻の現状も込みでの国宝名です。


そして、トーハクでゲットした2つ目の国宝が、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-国宝 渓陰小築図


《紙本墨画渓陰小築図》 (ジャンル:絵画) です。
ジャンルは絵画ですが、画面の半分は詩。
いや、むしろ、若干、詩のがスペース広い?
ともあれ、こちらは室町時代の詩画の傑作とのこと。
その辺の駅前にいるポエマーのポエム絵画とは、格と品が違いました。



今現在の国宝ハンティング数 153/1082




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