小林礫斎 手のひらの中の美 ~技を極めた繊巧美術~ | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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久しぶりに、たばこと塩の博物館へ。

最近、たばこが値上げされたので、若干不安に感じていましたが。

入館料は据え置きの100円のままでした。実に嬉しい限りです。



さて、そんな100円で観られちゃうたばこと塩の博物館で、

現在開催中なのが、 “小林礫斎 手のひらの中の美 ~技を極めた繊巧美術~” という美術展。

来年2月27日まで。



「小林礫斎?誰っすか、それ??」


というくらいの軽い気持ちで、訪れたこの美術展。

入場料がたったの100円ということもあって、

ほとんど期待はしていなかったのですが、これが今年一番の大化け美術展!

間違いなく、今年観た美術展ベスト10に入ります!

星星星

まさかまさかの3ツ星。


“こんなノーマークな美術展が3ツ星なの??”


いえいえ。

3ツ星を付けた自分が一番ビックリしています。



さてさて、どこのどなたで何者なのか、

全くもって、存じ上げなかった小林礫斎


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-礫斎



明治17年生まれのミニチュア工芸作家です。

その作品は、 ‘驚愕’ の一言。

単なる玩具という枠を超越し、究極の美術工芸品とも呼べるほどなのです。


ともあれ、作品をご覧頂きましょう。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-礫斎  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-礫斎



まさに超絶技巧とも言える精巧なミニチュアの数々。

驚くかな、これらは10cmもない大きさなのです。

(比較のために、横にハイライトとか置いてほしかったです。たばこと塩の博物館だけに)


しかも、ただ小さく精巧なだけでなく、可愛い!

コレクターならずとも集めたくなる逸品です。

これなんかは、来年、兎年の年賀状にいかがでしょう。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-小林礫斎



とにもかくにも、作品1点1点に、

驚きと可愛さが溢れていて、観ていて全然飽きません。

(そして、時間も足りません)

こんなにもスゴいミニチュアの数々が、

海洋堂がフィーチャーされるよりも遥か昔に、日本に存在していたことに驚かされます。


会場には、そんな驚きのミニチュアがたくさん。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-会場  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-会場



“たばこと塩の博物館の特別展の展示室は、狭いよね…”


と、前々から、残念に思っていましたが、

今回の美術展に限っては、このキャパでも十分。

何せ1点1点の作品が小さいので、

これくらいのサイズの会場でもお腹いっぱいになるほどのボリュームがありました。



ではでは、まだまだ紹介し足りない小林礫斎の匠の技の数々。

一挙に、ご紹介して参りましょう。


まずは、小林礫斎作の人形から。

《陶製嵯峨人形 「鯛持」 》


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-陶製嵯峨人形「鯛持ち」 <



彼くらいのレベルとなると、

“小さくて精巧な人形を作って、ハイ!終わり” とはなりません。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-陶製嵯峨人形「鯛持」



その人形を入れるケースまで、作ってしまうのです。

どんだけだ。



また、小林礫斎の技をもってすれば、

こんなものだって、お茶の子さいさい。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-画貼



何と、超ミニミニ画集。

竹久夢二から、五十三次、役者絵まで、何でもござれ。

意外と嵩張る画集ですが、

これだけコンパクトだと、収納に困らないですよね (笑)


画集よりも衝撃なのが、こちら↓


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-辞書



英英辞典に、独英辞典、仏英辞典です。

パッと見では、小さすぎて、全然わからないですが (笑)
この超コンパクト辞典、虫眼鏡を覗いてみますと…


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-辞書



ちゃんと文字が書き込まれています!

どうなってんの?!



驚くのは、まだ早いです (?)

礫斎のミニチュアの技術は、進化を重ね、ついに1cmの壁を突破!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-礫斎  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-礫斎



釜敷は、ついに0.82cmという驚愕の小ささ。

100メートル走で、10秒の壁を破ったかの如き偉業です。


さらに、記録を塗り変えて、こちらの和綴本。

0.74×0.75×0.31cmという超絶ミニマムサイズです。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-豆本



小ささの最高記録は、おそらくこちら↓


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】



もはやゴミや埃の類にしか見えませんが、象牙製の独楽が9つ。

まさに “細かすぎて伝わらない” 職人芸です。



小林礫斎の作品の魅力は、ただ小さいだけに非ず。

これだけ小さいのにも関わらず、ちゃんと可動するのです。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-タンス



こちらの象牙製のタンス。

全部の引き出しが、ちゃんと開け閉め可能なのだとか。

もはや人間業とは到底信じられません。

「スモールライトで小さくしたんだよ」 と言われた方が、まだ信じられる気がします。



最後に、さらなる超衝撃作品を紹介いたしましょう。


“これだけ細かいことが出来る人なら、米に文字とか余裕で書けるんだろうなぁ”


などと思っていましたら、本当に書いていました。

しかも、文字どころか、絵まで描いています。


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-米
(注:あまりに細かいので、拡大した写真パネルでようやく確認出来ました)



これだけでも、手先が器用選手権で十分、優勝できますが。

小林礫斎の実力は、こんなものではありません。

米に絵を描くのに飽き足らず…

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ゴマ  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ゴマ



何と何と、ゴマに描いてしまったのです!

富士山と松原を!!


すごいよ!!礫斎さん




・・・と、ここまで紹介したのは、全展示品のほんの一部。

会場には、まだまだ驚きのミニチュア作品が展示されています。



「眼精疲労にご注意頂き、愛すべき精巧なミニチュアたちをご堪能下さい。」



と、美術展のパンフレットに記載されている通り (←そんな美術展がかつてあっただろうか?)

眼精疲労だけには、十分注意して、繊巧美術を思う存分堪能されてみて下さいませ。





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