本日、我が家に宅急便が届きました。
開けてみると、中から出てきたのは・・・
こちらの冊子。
“はて?ベン・シャーンと書かれているけど・・・・・あっ、先週の!”
すっかり忘れていました。
先週、観に行った展示にて、
展覧会カタログの発送をお願いしていたんでしたっけ。
寄る年波のせいなのか (?) 、展覧会カタログの件は失念していましたが、
展示のことについては、もちろん覚えておりますです。はい。
では、忘れぬうちに、展覧会の感想を書き記しておきましょう。
向かったのは、横浜。
東口を出て、横浜そごうの方面へ。
しばらくすると、お目当てのアートスペースがある立派なガラス張りの建物が見えてきます。
こちらは、富士ゼロックスの研究開発の拠点・富士ゼロックス R&D スクエア。
下から見上げるだに、何とも立派な建物です。
さてさて、こちらの1階にあるのが、Fuji Xerox Art Spaceというギャラリー。
実は、富士ゼロックス株式会社には、
戦後美術を中心に、20世紀を代表する芸術家の版画作品を蒐集したコレクションを所蔵しておりまして。
そのコレクションを観賞できる場所として開設されたのが、こちらのギャラリーなのです。
もちろん、入場は無料 (←ここ大事です!)
そんなFuji Xerox Art Spaceにて、
現在開催されている企画展が、 “ベン・シャーン ライナー・M・リルケ 『マルテの手記』 より” です。
ベン・シャーンは、リトアニア生まれの20世紀アメリカを代表する画家。
核実験で被爆した第五福竜丸や、
フランスのドレフュス事件をテーマにしたシリーズで知られ、社会派の画家と言われています。
そんな彼が亡くなる1年前に発表したのが、
ドイツの詩人リルケの自伝的小説 『マルテの手記』 に、24点の挿画をした版画集でした。
今回の企画展では、その24点が、
もちろん全揃いの状態で展示されています。
いかにもベン・シャーンというタッチの作品から、
《愛に満ちた夜の回想》
今風のキモカワアートっぽい作品や、
《少年の日の想い出を》
草間彌生の作品のような現代アートスタイルもあれば、
《海そのものの姿》
ちょっと琳派の酒井抱一風な作品まで。
《小さな草花の佇まい》
作風のバリエーションは、かなり豊か。
“次は、どんな感じの絵が来るのか♪” とワクワクしながら、観賞できました。
いやはや、ベンが、ここまでやる作家だとは、正直思ってもみませんでした (←何様だ?!)
本当に、どの作品も、それぞれに味があって良かったのですが、
「どれか1点を選べ」 と言われたら、僕はこちらの作品を選びたいと思います。
《死者の傍で》
版画作品なのに、直筆の作品と同じくらい…
もしくは、それ以上に、線から悲しみが伝わってきました。
これほどまでに、感情がダイレクトに伝わってくる作品には、そう出会ったことがないです。
今更ながらですが、作者と観賞者の人種は違えど、
言葉は通じなくとも、アートで何かを伝えることが出来るんだと実感した次第です。
秋の夜長に、ウイスキーやバーボンを片手に眺めたい作品という印象。
(↑とに~さんは、そんなキャラでしたっけ?)
ベン・シャーンの作品の感動にくわえて、
こういう質の高い展示を無償で行っているFuji Xerox Art Spaceの姿勢にも乾杯。
2ツ星。
横浜に行った際に、お立ち寄り頂きたい展示です。
ウィスキーを片手に、美術ランキングに挑戦しています。 (←妄想)