2009年度 MOMASコレクション [Ⅲ] | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

注:埼玉県立近代美術館を訪れてから、だいぶ日は経っています。


埼玉県立近代美術館の企画展示室 (2階) にて、 “小村雪岱とその時代” を観たその後に。
ついでに、常設展示室 (1階) で、 2009年度 MOMASコレクション [Ⅲ] ” も観賞してまいりました。

およそほとんどの美術館では、
企画展のチケットを持っていれば、常設展示は無料で観られるものですが。
ここ、埼玉近美に関しては、常設展の観賞料は別料金。
意外と、ちゃっかり (?) しております。

とは言え、企画展のチケットがあれば、
100円ですので、そう躊躇するような金額ではありません。


お金を取るだけあって。
…という言い回しは語弊があるかもしれないですが、
埼玉近美の常設展示は、普通の美術館の常設展示より力が入っているような気がします。

普通の美術館の常設展示の場合。
基本的には、その美術館のコレクションの中から、
適当な作品を見繕って、それを時代ごとや地域ごとに並べているという感じ。
(↑これは、あくまで僕の勝手なイメージです)

一方、埼玉近美の常設展示の場合。
埼玉県立近代美術館 (The Museum of Modern Art, Saitama) のコレクション、通称MOMASコレクションの中から、
時代や地域に縛られず、一定のテーマに沿ってチョイスして、新たな切り口を提唱しているという感じ。

例えば、今回のMOMASコレクション [Ⅲ] では、
コーナーの1つに、 「日常に潜むもの ― 室内の小宇宙」 というものがあったのですが、
これが中々面白かったです!
今までありそうでなかった感じのテーマで。

企画展で取り上げるに、ちょっと地味だけど、
常設展で取り上げるには、ちょっと画期的という、何とも微妙なラインを付いてくるテーマ。
先日のケンミンショーで、
南関東に含めるか北関東に含めるかで徹底的な議論がなされていた微妙なラインの埼玉県。
どうやら、微妙なラインに定評のある埼玉県です (笑)


さて、このコーナーでは、室内画や静物画だけでなく、
窓や机など室内にあるモノをテーマにした作品も展示されていました。

ブラインドに見えて、実はすべて木だけで出来ている…

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《9:36A.M.(ブラインド)》


林範親の 《9:36A.M. (ブラインド) 》 という作品。
ブラインドの中途半端な開き具合が、
そう言われてみると、A.M.9:36な感じです。




…には、まだ早い。


一方、会場の真ん中に置かれているのは、ちょっと変わった机。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-作業台 ‐机-


小清水漸の 《作業台 ‐硯-》 という机。
タイトルからもわかるように、
近づいてみると、天板が硯になっていました。
食卓には向いてない机です。


他にも、巨大な鏡や、草間弥生のスーツケースまで、
実に様々なジャンルの作品が。
アートな部屋を楽しんでみて下さいませ。



また、これとは別に、
「ミューズ・フォーラム:芸術と素朴―〈プリミティヴ〉なるものと現代」 というコーナーも。

こちらは、障害をのりこえて制作を続ける川口太陽の家 工房集の7人の描き手たちの作品を、
美術家・中津川浩章氏のナビゲーションで紹介するというもの。
全然、MOMASのコレクションではなかったですが、それはご愛嬌。

いろんなパンチの効いたアート作品がありましたが、
一番、印象に残ったのは、大倉史子というアーティストの作品。
彼女が描くモチーフは、すべて…




さくらんぼさくらんぼ

しかし、同じさくらんぼながら、
大塚愛の世界観とは、まぁ、エラく違うものです…。
http://www.ableartcom.jp/imglist.php?ano=048



他にも。
紙面の都合上、あえて詳細は紹介はしませんが、
ルノワール、ドラクロワ、モネ、ユトリロ…などのビッグネームの作品も展示されていますので、
100円 (通常では200円) では十分すぎるほど、満足できると思います。
星
常設展ながら、一ツ星。




芸人時代の若気の至りで、
gyaoのうたブロという企画で、「さくらんぼ」 を熱唱したことがあります。
http://utauga.jp/utablog/?contents_id=uta0001409
心に何かしら響いた方は (笑) 、今はアートテラーである僕のランキングへの協力をお願いしますm(__)m

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ