ロートレック・コネクション 愛すべき画家をめぐる物語 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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本日は、Bunkamura ザ・ミュージアムへ。
12月23日まで開催中の “ロートレック・コネクション 愛すべき画家をめぐる物語” を観てまいりました。

この展覧会の主人公は、もちろん…

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ロートレック


アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
(“Who is ロートレック?” という方は、こちら

『ロートレック・コネクション』 という、
何だか美術展っぽくないタイトルが付けられた、今回の美術展。
国内外のロートレックの作品だけでなく、
ロートレックと交流のあった画家たちの作品も併せて展示されていました。
コネクションですからね。

“それが、どうした?”

と、言われれば…
まぁ、どうしたんでしょうね (苦笑) ??


ロートレックのコネクションが、
果たして、美術展に必要だったかどうかは、さておきまして。

とりあえず、今回の主人公・ロートレック作品の紹介を。

まずは、
「ポスターを芸術にまで高めた!」
と言われる作品 《ムーラン・ルージュのラ・グリュ》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ムーラン・ルージュのラ・グリュ


描かれている女性が長渕キックをしているようにも見えますが・・・違います (←当たり前!) 。
これは、女性がダンスをしている時の一瞬を切り取ったもの。
スナップ写真というものが、まだ無い時代にこの即興性。
ロートレックの非凡さが光る作品です。


それから、ダンス繋がりで、こちらも紹介。
《エグランティーヌ嬢一座》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-エグランティーヌ嬢一座


エグランティーヌ嬢さん達が躍っているのは、
いわゆる “フレンチカンカン” と呼ばれるダンス。

いわゆる “フレンチカンカン” という説明だけでは、
わかりづらかったかもしれないので、念のために補足を。
フレンチカンカンは、このCMの元ネタです↓




この絵が描かれた当時から、
フレンチカンカンと言えば、音楽は決まって 『天国と地獄』 。
エグランティーヌ嬢さん達も文明堂のクマ (犬?) さん達も、同じ曲で踊っていたのです。


さて、そろそろ、今回の目玉作品の紹介を。
それが、こちらの 《アンバサドゥールのアリスティド・ブリュアン》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-アンバサドゥールのアリスティド・ブリュアン


Bunkamura ザ・ミュージアムの公式HPでは、一切紹介されていませんが、
今さっき見た 『美の巨人たち』 で取り上げられていたので、
明日からの目玉作品は、間違いなくコレでしょう (笑)
描かれているのは、シャンソン歌手アリスティド・ブリュアン。
今さっき見た 『美の巨人たち』 でやっていたのですが、
彼は、お客に暴言を浴びせかけるというパフォーマンスで人気だったのだとか。
パリの毒蝮三太夫という感じでしょうか。

これまた、今さっき見た 『美の巨人たち』 でやっていたのですが (←しつこい) 、
この絵は、浮世絵、しかも写楽の浮世絵を、かなり意識して描いたものなのだそうです。
そう言われてみれば、
アリスティド・ブリュアンの持っているステッキが、刀のようにも見えてきます。



さて、改めて、今回の展示を通して、
ロートレックのポスター作品の良さを実感することが出来ました。
他にも、たくさんの作家のポスター作品が展示されていたのですが、
どの作品も、ロートレック作品の持つ強烈なインパクトと比べると、霞んでしまうのです。


“やぁ、やっぱりロートレックはスゴいわ♪”


と、展覧会を後にしようとした時、事件は起こりました!
最後の最後に…

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ジスモンダ


僕の大好きな画家ミュシャの 《ジスモンダ》 が飾ってあったのです!

しかも、だいぶ保存状態の良い 《ジスモンダ》 が。
すいません。
正直なところ、ロートレックの印象が全て吹っ飛びました (笑)
ロートレックの大胆な構図もいいですが、
ミュシャの細密で繊細な世界観と比べた場合、僕はミュシャに軍配を。
しかも、今回改めて、この 《ジスモンダ》 を観ていて、一つ発見を。
サラ・ベルナール (←描かれている女優の名前) の 『SARA』 の文字が、
手に持っている何かの植物がカブっていて、見えてないのです。
これは、ポスターとしては大胆と言わざるを得ません。
こんな斬新なポスターを描くなんて。

『やっぱりミュシャが好き』

そう、しみじみ実感した今日の美術展でした。




…あれっ?
何の美術展だったんでしたっけ??
ロートレックの美術展ながら、
ただポスター繋がりというだけで展示されたミュシャの作品に、全てを持って行かれたので、
星
一つ星 (笑)
いや、これは、もちろん個人差があるでしょうが。
それから、全体的にポスターや版画作品が多いせいか、
いつもよりも、あっさりと観終わってしまった、というのも理由です。



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