Mission4 オークションで落札せよ! | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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皆様は覚えておいででしょうか?

3か月前に、僕がオークションを初体験してきたことを。
そして、何も落札が出来ないという、しょっぱい結果に終わったことを。
(その時の模様はこちら ⇒ Misson1 オークションを体験せよ!

そこで、今日は、「前回のリベンジだ!」 と意気込んで、
再び三菱商事アート・ゲート・プログラムが主催するオークションに、参戦してまいりました。

前回は、給料袋を持っていくという失態を犯しましたが。
(↑お金は後日振り込むシステム)
人は過去の失敗から学ぶ生き物、今回はそんなミスはいたしません。
大金を手元に置いていないというだけで、こんなにもゆとりがもてるのなのですね。


さて、受付終了後からオークションが始まるまでは1時間。
すでにこの時間から勝負は始まっていると言っても過言ではありません。
この時間内に、落札したい作品を見つける必要があります

“う~ん、どの作品の時に勝負に出るべきか…”

これは、僕的な感想ですが、今回の方が前回よりも、良い作品が多かった気がしました。
それだけに、かなり悩みます。

そんな中、ある一枚の絵の前で、足が止まりました。

!!

“欲しいなァ…”

心の底から、そう思える絵でした。
すぐさま、その絵について、作者さんにお話を伺います。

・この絵は、現代的な美人画
・現代の美人画は、アニメやゲームのようなキャラクターが描かれるべきでないか
(現代のいわゆる “美人画” は、伝統的なものの延長でしかない)
・そうした2次元のキャラを日本画の素材で表現してみたい


要約すると、そんなようなことを、おっしゃっていました。
いや、かなり無理矢理まとめたので、ご本人さんの意図を曲解している恐れもありますが。
とにかく、その精神にアートテラーとして共鳴するものがありました。

“やっぱり欲しいなァ…”

というわけで、今日のオークション、この作品一点に絞ることに決めました!
絶対に 「落としてみせる!」 と、世良正則ばりに気合いを入れたのです。

そして、いよいよオークションが開始。

しかし、彼の作品がオークションにかけられるまでは、
赤ワインを飲んで、白ワインを飲んで、また赤ワインを飲んで…(以下略)…過ごします。

オークション開始から、約1時間半。
ようやくお目当ての作品が、オークションにかけられました。

「では、1万円から」

ここで挙げねば、いつ挙げるのか。
手持ちのパドルを挙げました。

「お次、1万5千円。2万円」

まだパドルは下ろしません。
バイト生活のため、生活費は月に2万円ほど。
来月からのリアルな生活が頭を過りましたが、
こんなところで下げたら、男が廃るというものです。

「2万5千円いませんか?」

意地でも下ろしません。
やっぱり来月からのリアルな生活が頭を過りましたが、
というか、もはやそれしか頭にないですが、ここで下げたら、男が廃るというものです!

「3万円」

まだ下ろしません。。。
もう来月だけでなく再来月のリアルな生活のことで頭がいっぱいですが、
ここで下げたら・・・下げたら・・・あぁ、いっそ下げて楽になりたい!

「3万5千円!」

“誰?さっきから競ってきてるのは??
お願いだから、もう諦めて下さい(泣)”


そう思い、見えざる敵を探していると、オークショニアから、

「お互いがわかってしまうと、牽制しちゃうので見合っちゃダメですよ(笑)」

と、一言。
すいません・・・。
そんな反省しているうちに、パドルを下げる機会を失ってしまいました。

「はい。3万5千円。他にいませんか?」

気づけば、どうやら上げているのは僕だけのようです。
おいっ、見えざる敵は、どこに行ったんだ?!そうこう戸惑っているうちに、

「3万5千円で、ハンマープライス!」

落札です。

人生初のハンマープライスは、何とも唐突にやってきました。
会場は、拍手に包まれましたが、ハンマープライスした当の本人は、狐につままれています。
3万5千円で絵を買ったという事実が、まだ上手いこと受け入れられていません。

隣に座っていたご婦人から、「おめでとう!」 と、祝福の言葉を頂きましたが。
その時は、上の空で、「あ、どーも…」 としか返せませんでした。


すると、係の方が落札確認書を持って来ました。
そこにサインをする必要があるのですが、>めっちゃ手が震えて、上手く書けません。
今、その写しが手元にありますが、ビックリするくらい、へにゃへにゃな字です(笑)


さて、というわけで。
人生で初めて、オークションで絵を購入しちゃいました。
実物は、来週あたりに届く予定なのですが、皆様には、その画像をお見せしちゃいましょう!

こちらです!


阿部瑞樹さん作の 《月の声》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-月の声


可愛らしい絵ですが、軽い絵には非ず。
背景や月の描写は、本格的な日本画。
岩絵の具、金箔、金泥が使用されています。
これが本当にいい色合い、風合いです。
そして、この21世紀的な美人像。


これぞ、まさしく現代の美人画です。

さて、落札後、阿部さんのもとに行きまして、無茶なお願いをしました。
実は、この絵は阿部さんが初めて描いた美人画なのだとか。

「これを1点ものということにしたいので、もう美人画は描かないで下さい(笑)」

と、ずうずうしいお願いをしてみたところ、阿部さんは、

「今の “1点もの” という響きにゾクっとしました。なので、もう美人画は描きません(笑)」

と、快諾。
ありがとう、阿部さん!
約束ですよ、阿部さん!
とにもかくにも、大変貴重な作品を手に入れました。

さて、さしあたっての問題は、この絵を狭い我が家のどこに飾るかです・・・。




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