受け継がれている力
このたびの熊本地震で被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
地震は、いつ、どこで起きてもおかしくありません。
被災された方々のことを思いながらも、これは他県の出来事ではなく、私たち一人ひとりにとって他人事ではないのだと思ってます。
大きな揺れを経験したあとや、余震が続くと身体が警戒を続けることがあります。
胸がざわざわする。
肩や背中に力が入る。
小さな物音にもびくっとする。
眠ろうとしても、身体が休まらない。
余震で気分が悪くなる、
そんなとき、「落ち着かなければ」と無理をする必要はありません。
警戒しているのは、身体が命を守ろうとしているからです。
安全が確保できているときには、服の上から身体の背面、腎臓のあるあたりに、両手をそっと当ててみてください。
腎臓は、背中側の、肋骨の下あたりにあります。
正確な位置を探そうとしなくても大丈夫です。腰より少し上の背中に、手のひらをやさしく置きます。
押したり、揉んだりする必要はありません。
ただ、手の温かさや重さを感じながら、背中が支えられていることを確かめます。
手が届きにくければ、丸めたタオルを背中に当ててもよいでしょう。
身体の後ろ側に支えがあることを感じると、警戒がほんの少しだけゆるむことがあります。
怖さをなくそうとしなくてもかまいません。
「少しだけ」でよいのです。
そして今、何より大切なのは、あなた自身が熱中症にならないことです。
水分を取る。
可能であれば塩分も補う。
涼しい場所に移動する。
無理をせず、休めるときに休む。
人間は、これまでも数えきれないほどの災害や困難を乗り越えてきました。
私たちの祖先を12代さかのぼると、単純計算では約4,000人になります。
その一人ひとりが、地震や水害、飢え、病気、戦乱など、さまざまな危機をくぐり抜けてきました。
私たちの身体の中には、生き延びる力も受け継がれています。
今日を一日ずつ越えていく。
今はそれで十分です。
被災された皆さまの安全と、一日も早く安心できる日常が戻ることを、心より願っています。

なぜ「セプション7」なのか(第2回)
前回のブログの続きです。
今回は、なぜセプション7なのか、についてです。
子どものセラピーや発達支援の領域では、感覚処理や身体感覚、遊び、
関係性とニューロセプションを結びつけて考える実践が広がっています。
ドラ・ヘンダーソン氏やモナ・デラフーク博士、パリス・グッドイヤー=ブラウン氏など、子どもの臨床に携わる人たちは、
「子どもは、どのような感覚情報を受け取っているのか」
「なぜ安全な場所でも、危険を感じてしまうのか」
「遊びや関わりを通して、安全の感覚をどう育てるのか」
という視点から、ポリヴェーガル理論を実践へとつなげています。
ヘンダーソン氏の絵本も、ポリヴェーガル理論を子どもにわかりやすく伝えるだけでなく、日常やセラピーの中で「だいじょうぶ」の感覚を育てる視点が含まれています。
今回の本では、こうした知見を、子どもにもイメージしやすい形で伝えるために、ニューロセプションをリーダーとする7人の仲間、「セプション7」として表現しました。
それぞれの感覚が集めてきた情報をもとに、神経系が安全や危険を査定している。
その関係を、かわいいキャラクターにしたのが「セプション7」です。
この本は、ポリヴェーガル理論を学ぶだけではなく、親子で身体や感覚に目を向けながら、「ここはだいじょうぶかもしれない」と感じられる経験を増やしていく本です。
かわいいキャラクターになってます!
『「不安ぐせ」のある子と「だいじょうぶ」を育む ポリヴェーガル理論』
浅井咲子著 日本文芸社刊
amazonページ
https://www.amazon.co.jp/dp/4537223936
楽天ブックスページ
https://books.rakuten.co.jp/rb/18626558/

「セプション7」はポリヴェーガル理論なの?(第1回)
毎日暑いですね、どうぞくれぐれも無理をしないで、エアコンを入れて水分を補給してください。外出時には涼しい建物を補給スポットにして、熱中症対策しましょう。
新刊『「不安ぐせ」のある子と「だいじょうぶ」を育むポリヴェーガル理論』には、
ニューロセプションをリーダーとする7人の仲間、「セプション7」が登場します。
そこで、
「この考え方は、ポージェス博士のポリヴェーガル理論によるものですか?」
というご質問をいただきました。
大きな理解としては、ポージェス博士のポリヴェーガル理論が土台になっている、と考えていただいてよいと思います。
ポリヴェーガル理論では、私たちの神経系は、意識して考えるよりも先に、周囲や身体の情報から「安全」「危険」「生命の脅威」を査定していると考えます。
この無意識の働きが、ニューロセプションです。
私たちは、相手の表情や声、周囲の音、身体の感覚などを受け取りながら、「ここは安全だろうか」「この人に近づいてもよいだろうか」と神経系で感じ取っています。
ただし、ポージェス博士自身が、「7つの感覚神経を仲間としてまとめ、ニューロセプションをリーダーにする」という形で説明しているわけではありません。
そこには、子どもの発達やセラピーの領域で積み重ねられてきた、感覚処理や身体感覚に関する知見も含まれています。
次回は、「セプション7」という表現がどのような考えから生まれたのかをご紹介します。
『「不安ぐせ」のある子と「だいじょうぶ」を育む ポリヴェーガル理論』
浅井咲子著 日本文芸社刊
amazonページ
https://www.amazon.co.jp/dp/4537223936
楽天ブックスページ
https://books.rakuten.co.jp/rb/18626558/
ニュアンス力とバランス力が癒しの鍵です!
危険な暑さになってまいりましたね。水分補給、適度な休憩で
熱中症対策したいものです。
発達性トラウマの回復とは、「ニュアンス力」と「バランス力」を育てることなのかもしれません。
トラウマの影響を受けると、私たちは物事を「白か黒か」で捉えやすくなります。
でも現実は、好きだけれど腹が立つこともあるし、怖いけれど挑戦したいこともあります。
そんな「どちらもある」を感じられる力が、ニュアンス力。
そして、その時々の状況に応じて、自分と相手、自分の気持ちと現実の間で、
ちょうどよいところを見つけていく力が、バランス力です。
発達性トラウマのセラピーは、「正しい答え」を教えることではありません。
一人ひとりが、自分に合ったニュアンスとバランスを見つけられるようになることを支える営みなのだと思います。
実は、この考え方は私が最近読み返しているNARM(神経感情関係性)モデルの魅力でもあります。NARMは、「どちらが正しいか」を求めるのではなく、その人の体験や関係性の中にある繊細なニュアンスを大切にしながら、その人らしいバランスを取り戻していくアプローチです。
私自身も学びを深めるほどに、「癒しとはその人らしいニュアンスとバランスを取り戻していくことなのだ」と感じています。
皆さんにとって素敵な夏でありますように。





