私が講師を務めていた、ある子どもの土曜教室での話だ。
当時、小学5年生の男の子がいた。
その子は、私が絵の具を配っている時も
私の後をついてきてしゃべり続けた。
その子がある日突然、しゃべらなくなった。
その日はとても落ち着いて、私の話を聞いていた。
授業が終了した後、その子のお母さんに
「今日は、とても落ち着いていましたが、
何かあったのですか?」
と聞いた。
するとその子のお母さんが、こんな話をしてくれた。
「今日、電車で来る時、あの子の話を聞いてあげたんです。
いえ、いつも聞いてはいたんですが、
実は聞いているそぶりをしていただけで、
本当は聞いてなかったんです。
でも今日は、耳を傾けて聞いてあげたんです。
すると、あの子は
[お母さん、初めて僕の話を聞いてくれたね]
と言ったんです。
もう私は涙が出てきて…」
おしゃべり好きなこの子が、聞いて欲しかった相手は、
私ではなく、この子の母親だったのだ。
子どもは、育てたように育つ。
そう、子どもは、親の鏡なのだ。
子どもの姿は、そのまま親の姿なのだ。
子どもにとって、最高の環境は、
すばらしい塾や学校に通わせることでも、
すてきな部屋を提供することでもない。
自然にあふれる場所に住むことでも、
自然食を食べさせることでもない。
そんなことは二の次だ。
子どもにとって一番影響力のある環境は、
親の在り方なのだ。
親子関係について、悩まれる方は多い。
そして、コミュニケーションのスキルを学んだり、
子どものことを理解しようと、本を読んで勉強なさる方もいる。
それは、それで、すばらしいことだと思う。
しかし、いつも心に留めておいて欲しいのは、
一番大切なことは、親の、あなたの在り方なのだ。
次に大切なのは、当然のことだが、
夫婦が愛し合っていること。
子どもとの関係は、3番目だ。
なぜなら、子どもは、親を見て育っているからだ。
親の在り方がしっかりしていて、夫婦が愛し合っていれば
子どもは自然に、まっすぐ育つものだ。
親子関係を考える前に、
自分の在り方、夫婦の在り方を考えよう。
あなたが気になる、子どものその姿は、
あなたを映しているのだから。