・爺と婆・・・(笑) | 日本哭檄節

日本哭檄節

還暦を過ぎた人生の落ち零れ爺々の孤独の逃げ場所は、唯一冊の本の中だけ・・・。
そんな読書遍歴の中での感懐を呟く場所にさせて貰って、此処を心友に今日を生きるか・・・⁈

 チョイと古ネタになってしまったが、先日(=22日)、前日までの寒波も緩み、春の陽気と持て余す暇にふと想い立ち、霧島山麓の山裾に咲くヤマザクラ見物がてらに、柄にも無く

『彼岸の墓参り・・・』

などと云う殊勝に繰り出し、哭檄家の墓碑に線香を手向けた際、想わず、墓碑の横に建てられて居る『銘碑』に眼が行き・・・!

 

 

 そこには、古い順に4名の名が刻まれて居る訳だが、ジジイの先代二代だから、敢えて読むまでも無いし、名前も、読まなくても判るのだが、ジジイは、一番右に刻まれた祖母に当たる『スヱさん(=昭和24年没)』だけは、残念ながらお会いしたことが無い・・・!

 

 

 

 亡くなった母の言に依ると、明治生まれの

『田舎の意地悪バアサン・・・』

を体現したような厳しい人だったようで、母の父親(=外祖父)が、ジジイの父との縁談を、母の両親に直談判で申し込んで来た時に、

『あそこも、スヱさんが亡くなったから、然程苦労することは有るまいから・・・?!』

と云いながら、強引に父に嫁がせたと云う逸話を語ったほどだから、

『相当な強者(つわもの)・・・』

で有ったらしいことは、偲ばれる・・・(笑)

 

 ジジイとしては、そんな強者婆さんだったなら、一度拝顔して

『一勝負、挑んで措きたかった・・・!』

と想わぬでも無いが、そんな婆さんに限って、我が子と跡取り孫には優しかったはずで、もっと素直で謙虚な男に育って居たかもなあ・・・(笑)

 

『お義母さんが亡くなって居たから、嫁に来たのだ・・・!』

と苦笑いしながら語る母の言を素直に受け取れば、

『この婆さんが居なかったから・・・、俺は生まれて来たのか・・・?!』

となる訳だから、顔は観たこと無いが感謝して佳いのやら・・・(笑)

 

 何とも複雑な合掌だわな・・・(笑)

 

 と・・・、前説が些か永くなったが、この

『爺と婆・・・』

と云う漢字の造りには、編み出した先人たちの智慧(=機微)につくづく感心して来たのだが、この造りが、昨今、

『時代に合わなくなって居る・・・?!』

と想われないだろうか・・・(笑)

 

 云うまでも無く、『爺』と云う字は、

『父と云う冠(かんむり)の下に、耳と阝(おおざと)を並べて居る字・・・』

で、『耳』の意味は、『人生経験から生まれる智慧』でも意味して居ると想えるし、『阝』は、『邑(むら)=里(集落)・・・』

を意味するから、

『集落の長老役(=相談役)・・・』

のような畏敬を込めて造られた文字に読めるが、今の時代の爺様は、そんな丁重な扱いは空っきし受けて居ないような・・・(笑)

 

 そう想い返せば、昭和47[1972]年の10月に89歳で亡くなったジジイの祖父など、今で云えば、凡そ100歳にも匹敵する『超長老』だったが、隣近所の人たちから敬われて、色々相談も受けて居たわなあ・・・!

 

 あの時代に比べれば、今の時代は、そんな長老を敬う風習も絶えて久しく、下手に長生きすれば、

『クソジジイ・・・、早くくたばれ・・・!』

と罵られるし、婆さんたちに比べれば、早死にするしなあ・・・!

 

 片や、もう一方の『婆』の地は、実に判り易いわな・・・(笑)

 

『女の上に波』の構えは、読んで字の如くで、

『波は皺を意味する・・・』

と考えれば、昔の婆さんたちの顔を想い浮かべれば、極めて納得が行く・・・(笑)

 

 昔の婆さんたちは、兎に角、

『皺くちゃ婆さん・・・』

が多かったからなあ・・・(笑)

 

(画像は、blog.goo.ne.jp より拝借)

 

 今から考えれば、あの顔の皺は、『年輪』のような意味が宿って居たと改めて想うが、皆、3、4人の子供を産み、家事に忙しく、酒喰らいの旦那を宥め透かして仕事に勤しませて居たのだから、実に苦労が多かったって訳だ・・・?!

 

 だが、1960年代からの

『三種の神器(=白物家電)・・・』

の登場で、そんな慌ただしさから解放された上、昨今の美容や化粧技術の進化は、この『波=皺』を隠せるようになり、若し、今の時代に『婆』の字を編み出すなら、『女の字の上に塗る』と表すか『飾』の字を載せるか・・・(笑)

 

 一番相応しいのは、

『女の字の下に強・・・』

と書くのが適当なような気がするが、此処まで露骨に表すと、世のご年配女史の皆さまを、全部敵に廻すことになるか・・・(汗&笑)

 

 この発想で行けば、爺様の字も、

『父の下に弱・・・』

が、一番相応しいのかもなあ・・・(笑)

 

 『爺』と『婆』の漢字が、時の世相を表して創られたのが何時の時代かは識らないが、漢字も、世に連れて変えて行かないと本意が伝わらなくなって行くような気がした次第で・・・(笑)

 

 てな訳で・・・、哭檄家三代目の義理墓参は、そんな感懐を抱かせてくれた一時で有ったが、逢ったことも無いスヱ婆さんが、骨壺の中で、

『このバカ孫が・・・!』

と笑っておいでだったろうな・・・(笑)

 

 あなたの孫は、多分、あなたの血を曳いて、こんな捻くれジジイに育って、世に憚って居りますよ・・・!

 

 ありがたや・・・、ありがたや・・・(笑)

 

 毎度のバカ駄文にお付き合い頂いて居りましたら、感謝申し上げます・・・(謝&拝)