・外国を識る(大陸編)・・・(62) | 日本哭檄節

日本哭檄節

還暦を過ぎた人生の落ち零れ爺々の孤独の逃げ場所は、唯一冊の本の中だけ・・・。
そんな読書遍歴の中での感懐を呟く場所にさせて貰って、此処を心友に今日を生きるか・・・⁈

『北京動物園・・・』で、

『泥に汚れた薄茶色の熊猫(=パンダ)の群れ・・・』

を視て燥いだ後、連れて行かれたのは、市街地から1時間ほど離れた

『清西陵(チンシーリン)・・・』

と云う、この四千年の歴史を有するお国の、

『明・清王朝時代の皇帝の陵墓群・・・』

だと云われても、学の浅いジジイなどにはピンとは来ないのだが、それよりも、このジジイには、もっと厄介な危機が、バスの椅子に座った下腹部に、次第に来襲しつつ有るのを感じ始めて居た・・・(笑)

 

 些か尾籠な話になって申し訳無いが、朝、梅干しを味の元に

『Nipponn 風な味・・・』

に変えて、お代わりをしてまで食べたお粥の消化が快過ぎたらしく、何やら、段々、大腸が刺激を強くして来て居て、それが、肛門近くまで降って来て、

『ウーン・・・、トイレに・・・⁈』

と云いたくなって来て居たのだ・・・(汗)

 

 これには、正直、困った・・・!

 

 と云うのも、この

『中国ツアー・・・』

に於いて、何が困ったかと云うと、この

『トイレの問題・・・』

だったのだ・・・(笑)

 

 今でこそ、まあ、そこそこ、戸惑わずに入れるようになったが、あの頃の中国のトイレは、それはそれは悲惨なモノで、下手に飛び込もうモノなら、その異臭(=アンモニア臭)に、想わず口と鼻を押さえて、飛び出さなきゃならないほど酷かったし、何より困るのは、

『トイレに、ドアが着けて無い・・・!』

と云うのは、Nippon 人の常識には無い事態だった・・・(笑)

 

 それに、大きな街の中心地などでは、さすがに水洗トイレも普及しつつは有ったが、田舎などでは、そんな代物にお眼に掛かれるには程遠い時代だったから、この中国で、トイレに入るには、

『相当の覚悟が必要・・・』

だった訳で・・・(笑)

 

 この困った現象を、初めて識らされたのは、中国に出発する前の旅行社での説明会で、添乗員のH田さんが、御婦人方を前に、少し気恥しそうな云い方で、

『だから、出来るだけ大きな施設とかHOTELを遣ってください・・・!』

と教えてくれて居たから、誰もが、そう心掛けては来て居たらしく、此処までは、露骨な問題が起きて居るようには感じては居なかったし、男のジジイなどは、

『小学校の頃の、並んで立ちションベンだと想えば、どうってことなど無い・・・!』

と考えて居た訳で、まさか此処で、

『大きい方を、催す・・・!』

などとは、夢想だにして居なかった訳で・・・。

 

 ところが、その夢想だにして居なかったことが、此処で起ったのだ・・・(笑&汗)

 

 誰でもご経験は有ると想うが、この手の兆候と云うのは、こう云う場面では、当に、

『分刻み・・・』

で、その兆候が切迫して来るような気がする・・・(笑)

 

 それを、もう完全に自覚し始めたジジイには、兎に角、

『何処でも善いから、早く着いてくれー・・・!』

と願うしか無い状況だが、こう云う時ほど、自分の想いは、なかなか適えられない気がしてならない・・・(笑)

 

 否、まるで、その

『切実なる想いへの嫌がらせ・・・』

のように、時間だけが経ち、これも、まるで嫌がらせのように、この大国の田舎の路は、ほど快くバスを揺らし続けるのだから、二重苦、三重苦の状態で、段々、額に冷汗が浮いて来るような・・・(笑)

 

 否、その時は、笑い事では無かったのだが・・・(笑)

 

 そして、我慢も、最早頂点に達しつつ有る寸前まで迫って、やっと、バスは、何処だか判らない田舎の広場に着いて、ガイドの袁さんが、愛嬌の有る顔で、

『皆さーん・・・、着きましたー・・・!』

と宣うのを、まるで押し除けるようにして、ジジイは、バスから走り降りると、袁さんに向かって、

『ト・・・、トイレは・・・、何処ですかー・・・?!』

と、哀願するような顔と口調で尋ねたのだが、ジジイの、只事では無さそうな、叫ぶような問い掛けに、

『何事が起きたか・・・?』

と云う、驚いたような顔の袁さんの応えは、その駐車場から、遥か遠方に視える大きな門構えの方向を指差し、

『あの門の右側に、在りまーす・・・!』

と指差してくれたから、ジジイは、取り繕うような云い方で、

『チョッと・・・、先に行って来ます・・・!』

と告げると、その方向へ、

『肛門を、強引に引き締めた歩き方・・・』

で、急ぎ足で向かったのだが、その歩き方は、多分、傍目には、最早、

『小走りに近い状態・・・』

にしか視えなかったと想う・・・(笑)

 

(画像は、hotholiday.jp より拝借)

 

 しかし、こう云う時、この、土地が、

『切って売っても余るほど拡いお国・・・』

と云うのは、その門構えの建物までの遠いこと・・・(笑)

 

『だから、ダダッ拡い国は、キライだー・・・!』

と叫びたくなるほど小走って、やっと、その門構えの建物まで辿り着き、手前の横に設えられた

『洗手間(シーシァオチェン)・・・』

なる表示の処へ飛び込んだのだが・・・(汗)

 

(つづく・・・)