そんな
『些か複雑な心境・・・』
に陥りながらも、今更、後へは引けなくなったジジイは、何せ、
『人前では、快い顔・・・』
を演じることにソツは無いから、上機嫌の御義父上様&御義母上様が、
『婿殿の旅費も、家(うち)が出そう・・・!』
と仰ってくださるのを、
『否々、それはなりませぬ・・・!』
と云う態で、丁重にお断りし、厚過ぎる面の皮で、
『本当なら・・・、御義父様の分も、私等がお出しして差し上げるべきなのですが・・・?!』
などと、心にも無いお調子をくれたりして・・・(汗)
我が女房殿は、実家の両親の申し出を、
『折角だから、出して貰えば善いじゃない・・・!』
などと、然も当たり前のような顔でジジイに毒吐いたが、男としたモノ、そうした借りを創っては、
『漢(おとこ)が廃(すた)る・・・!』
などと、空見栄を切るのだから、世話は無い・・・(笑)
最早、35年も前の話だから、記憶は正確では無いかも識れないが、あの当時の
『鹿児島発着、中国・6泊7日の旅・・・』
は、確か、
『27万円・・・』
だったと記憶して居る・・・・?!
今と違って、中国の通貨価値が、まだ
『1元=5~6円・・・』
だった頃だが、それが安かったのか高かったのか・・・?
そんな余談もだが、ジジイがご機嫌取りも兼ねて強いられたのは、御義父上様の
『PASSPORT 発給申請・・・』
から始まる訳で・・・(笑)
何せ、
『第一回目の中国大陸訪問・・・』
は、遥か数十年前に、大日本帝国(=昭和天皇陛下)発出の、
『赤紙(=召集令状)一枚・・・』
と云う、まったく有り難くない
『Free PASSPORT・・・』
で渡って居られる訳で、それ以外に、戦後の日本国政府になってからは、海外旅行など為さったことの無い御義父上様だから、今回のTour の正式な申し込みで、先ず最初に要求される質問が、
『PASSPORT は、持って居らっしゃいますか・・・?』
と来るのは、当然だ・・・(笑)
それもだったが、当のジジイのPASSPORT も、前回の
『香港&台湾・二週間洋上研修旅・・・』
の際に取得してから、既に五年の有効期限が過ぎて居て、結局、二人揃っての
『PASSPORT 取得申請・・・』
をする羽目になったのだから、世話は無い・・・(笑)
またまた余談に奔るが、この女房殿との結婚が決まった時に、ジジイは、
『結婚式はしない・・・!』
と駄々を捏ね、仲人を引き受けてくれた先輩夫婦の奥方様から、
『あんた、ねえ・・・、結婚式と云うのが、女にとってどんなに大事な事だか判ってんの・・・!』
と、これまた眼を三角にして怒鳴られたのだが、
『あの雛壇のような処に座るのだけは、絶対嫌だ・・・!』
と突っ張り通し、遂には、仲を取り持ってくれた先輩の、
『会費制のパーティー形式なら、善いだろう・・・?!』
と云う折衷案で妥協したのだったが、当時、ド田舎でも、ボチボチ流行り出して来て居た
『海外新婚旅行・・・!』
を企んだジジイに、今度は、喜ぶはずだとばかり想い込んで居た変わりモノ女房殿が、
『わたしは、海外より北海道に往きたい・・・!』
などと、殊勝な顔をして駄々を捏ね・・・(笑)
結局、これも先輩の奥方様の
『あんたが、譲りなさい・・・!』
の一声で、折角目論んだ
『ニュージーランド&オーストラリア・8泊10日の旅・・・』
が吹き消されて、
『北海道・6日間の自由旅・・・』
へと変えられて、ジジイが姉から借金までして取得したPASSPORT は、机の引き出しの中で、貴重な五年間を、たった一回遣っただけで、期限を切らしてしまって居たのだった・・・(笑)
(つづく・・・)