・空母・IBUKI・・・ | 日本哭檄節

日本哭檄節

還暦を過ぎた人生の落ち零れ爺々の孤独の逃げ場所は、唯一冊の本の中だけ・・・。
そんな読書遍歴の中での感懐を呟く場所にさせて貰って、此処を心友に今日を生きるか・・・⁈

 昨日(=2日)は日曜日ゆえに、某社長も流石に

「出て来て仕事を急げ・・・!」

とは云わなかったので、それを幸いに、夢屋カウンターでモーニングの珈琲を3杯お替りして飲み、滞って居た

「・花はキリシマ・満開ショー・・・」

を急ぎUpした後、宮崎市のAEONモール宮崎に走った・・・。

 目指したのは、公開前から話題が高かった

「空母・IBUKI・・・」

を鑑賞する為である・・・。

 

 

 公開されて直ぐに観に来るつもりだったのに、あの某社長の

「中国・大連、顎脚宿付き(=ただ同然)旅行・・・」

の餌に釣られて、結果、

「日々、ほぼ拘禁状態・・・」

に陥ってしまって居て、抜け出す暇が見つからなかったのだ・・・(汗&笑)

 兎に角、

「人遣いの荒い(=上手い)人・・・」

だが、何故か憎めないところが、あの人の人徳ではある・・・(笑)

 

 Netで調べると「16:20~・・・」の部が有るから、それに間に合うように走ったのだが、梅雨空で外で遊べない分、

「驚くような人出・・・」

で、駐車場も渋滞状態で、停めるのに30分も掛かってしまって、

「早目に行って、手頃な場所に席を確保しよう・・・!」

との目論見は見事に外してしまったが、

「独り出の強み・・・」

は、

「空いた一席(=好い席・・・)」

に、後から上手く滑り込めることだ・・・(汗&笑)

 

 と、そんな前説はいい加減にして、この作品の感想を綴る・・・。

 

 うーん・・・、何と云えば善いのだろうか・・・⁈

 

 一言で云えば、

「Timely・・・!」

と云う事だろうか・・・⁈

 

 何分、この作品で描かれる

「某敵国・・・」

(作品では、ISを意識した感じの「東亜連邦・・・?」とかに変わっている・・・)

とは、間違い無く

「Nipponの近隣勢力国・・・」

な訳で、誰もが、自然と

「彼の御大国(=中の国・・・)」

だと想って観るだろう・・・。

 

 下地が、

「尖閣諸島問題や小笠原諸島近海問題・・・」

に有ることも容易に推察されるから、ストーリーに

「現実味・・・」

が宿るのも、仕方が無い・・・。

 更には、先日、

「Nipponの最同盟国(=唯一・・・?)」

だと盛んに宣ったあのTrump大統領が、今回の訪日の大イベントとして安倍総理と一緒に表敬乗船した

「護衛艦・加賀の事実上の航空母艦化・・・」

が話題になった最中だから、殊更に

「現実的想像・・・」

を掻き立ててくれるのだ・・・。

 つまり、

「実に、Timely(=適時的)な作品・・・」

だと云うしか無いではないか・・・(笑)

 

 事態は、先ずNippon領海(=先島諸島の近海)に、国籍不明の漁船らしき船団が現れる場面から始まる・・・。

 そして、それを警戒していた「海上保安庁の巡視船・・・」が突然砲撃を受け、乗組員全員が身柄拘束され、

「先島諸島が、不法占領された(=侵略・・・)」

と云う場面から始まる・・・。

 そして、折しも太平洋上で訓練中だった

「空母IBUKIを主力とする艦隊群・・・」

に、占領された「国土の奪還と邦人救出・・・」が下命され、「空母IBUKI」を母艦とする艦隊がその任務(=戦闘行動)に向かう訳だが、ここから、

「Nippon国自衛隊の立ち位置(=専守防衛・・・)」

を縦軸に貫きながら、

「戦闘と戦争の境目・・・」

が何処に有るかや、

「戦後政治とNippon国憲法との鬩ぎ合い(=解釈と運用・・・)」

や、

「情報(=メディア)の不透明性と国民感情のミスマッチ(=平和ボケ・・・)」

等が横軸に描かれて、ストーリーが織られていると云って善い・・・。

 

 主題は、

「これからのNipponの立ち位置(=主権の確保と領土の自衛対策=専守防衛・・・)

なのだろうが、それが、

「血を流さないきれい事では済まないのだ・・・!」

と云う事を描いているし、

「自衛手段としての自衛隊・・・」

が、どう云う意味と立場を有した組織で有るかをも問うていると云う気がした・・・。

 

 作品の中で、戦闘状態を強いられるIBUKI艦長(=秋津竜太一佐=西島秀俊・役)と副艦長兼航海長(=新波歳也二佐=佐々木蔵之介・役)が、

「自衛隊の使命(=役目・・・)」

を議論する場面が有るが、

「Nippon(=国土と隊員の人命)を守るのが、自衛隊の使命だ・・・!」

と訴える新波副艦長に対し、防衛大学校同期で主席を競った何処までもクールな秋津艦長が云った

「我々(=自衛隊)の使命は、国民を守ることだ・・・!」

と云う毅然とした言葉には、想わず納得させられたと云うか共感したが、実際の自衛隊と自衛官たちにも、そんな自覚が植え付けられているのだろうか・・・⁈

 

 ストーリーは、謎の敵大艦隊群とIBUKIが有する戦闘力の数倍の戦闘機(=空軍)部隊を相手に、幾つかの犠牲(=隊員の命)を代償にして、曲りなりにも

「自衛のための戦闘の範囲内・・・⁈」

で敵国の挑戦的戦闘行動を阻み、一方での

「国連を舞台にした外交交渉・・・」

の裏技(=政治力)で、何とか

「想わぬ結末・・・!」

で終幕を迎えるが、そこに現れる

「想わぬ仲裁国たち・・・」

が、果たして、今でも世界で起きて絶えない

「実際の国際紛争・・・」

で、そのような妙技を表せるだけの度量が有るのか・・・⁈

 この佳作が、世界に対して発したメッセージが有るとすれば、そんな

「暗喩(=国際的団結の必要性・・・)」

が込められているのかも識れないが、果たして世界の列強国に伝わるだろうか・・・⁈

 

 この作品で現れる

「政治の主役たち・・・」

の中で、内閣総理大臣・垂水慶一郎(=佐藤浩市・役)が、危機が去った執務室で、タッグを組む官房長官・石渡俊道(=益岡徹・役)と二人の会話の最後に、執務机を指しながら、何気無い口調で

「あと3年、やっても良いかな・・・⁈」

と宣い、それに、官房長官・石渡が、部屋を出ながら無言で眼を笑わせながら執務机の上の「内閣総理大臣・垂水慶一郎」と書かれた名札を指差す場面は、何やら

「今の与党情勢(=安倍4期目有り・・・⁈)・・・」

を伺わせているように想えて、つい笑ってしまった・・・(笑)

 

 まあ、今話題の映画だけに観客も多かったが、その客層に男性が殊の外多かったのは、やはり男たちに

「闘いの本能・・・」

が宿しているからだろうが、この作品を観て、我がNipponの

「専守防衛と云う立ち位置の本質・・・」

を本気で考え議論する機運が生まれる切欠になれば、作品の意味もまた上がるのかも識れない・・・。

 

 戦後74年を、専ら経済活動だけに専念し、

「完全に平和ボケ・・・」

しているNippon国民に対して、

「それで、本当に善いのかい・・・!」

と問うている作品で有ることは、間違い無いだろう・・・。

 我々は、

「戦わずして闘うこと・・・!」

の意義と難しさを、真剣に考えなければいけない時期に来ているのでは無かろうかと想った・・・!