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「ホルモン」・炭火で心もぽかぽか
父を亡くし、知人もいない15年前の秩父でのこと。
個展のポスターを夕方から独り各所に貼り続け、
ついに吐く息も白くなり、真夜中となっていた。
眼前に浮かび上がる雄大な武甲山に思わず足を止め、
寒さも忘れ夢中で描き上げた。

個展を見て感動してくれたのが山中隆太郎さん。
なんと描いた場所のすぐそば(上町)に家があった。
山中さんが亡くなる直前に「高砂ホルモン」に誘ったことがあり、
帰路は私が隆太郎さんを乗せて自転車を押した。
歩きながら自分の芯(心身)がポカポカして暖かい。
それは炭火で焼いたおいしいホルモンで暖まったことに加えて、
絵を描く私を気遣い、どっしりと見守ってくれる存在がここにいるという幸せ感、
心強さからだっただろう。

ところで、ホルモンを「ほうるもん(放るもん=捨てる物)」と
卑下する人もいるらしいが、秩父のものは新鮮で、
タレの圧倒的なおいしさは群を抜くと思う。
一般的な焼肉よりも豚ホルモンは低カロリーで、ビタミンやミネラルも豊富。
牛モツを鉄板で味付けし炒める関西の人にも、ぜひ体験してほしいものだ。
「疲れたねえ、今日はホルモンかい?」。
皆野駅のホームで、日没時に聞いた会話だ。
私は自分に答えよう。そうだねえ、夕焼け色に美しく燃える炭の炎、
プリプリの肉、キャベツの甘さ、ジュージューという音、
香りを包む煙と笑い声…。ちょっくら行って元気出すか(笑)。

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レシピ「白キムチ炒め」
 ◎用意するもの(4人分)=白モツ(茹で)300g、
   ニラ 1束、キムチ 300g 、ニンニク1個、生姜1個
キャベツ2/1個 玉ねぎ1個 人参1本 日本酒500cc
  

 ①鍋に白モツ、酒、水,生姜、ニンニク各半個を入れ茹でる
 ②水分が減ってきたら、酒を追加、弱火で90分続ける。
 ③白モツをグリルで炙る
 ④鍋に油を敷き、ニンニク、生姜。
 ⑤キャベツ、人参、玉ねぎ、ニラの順番に入れて炒め
 ⑥キムチを追加
 ⑦白モツ③と和える。
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