10月5日 月曜日

 効率を下げる事によって、別の効果を高める事もある。その別の何かに目を向ける事が出来れば、世の中の出来事のほとんどは許容出来る。改善されるか、というのは別問題だ。

米澤穂信『ボトルネック』 読了

 面白い。ミステリ作家でありながら、大きな事件が起きないとか、甘いと思いきや何となく後味の悪い苦みだとかが、売りだと思っていたのだけど、この作品はちょっと痛い。しかも、ナイフのように知らぬ間に切られているくせにのこぎりのように治りが悪い、のだから始末に負えない。この作品の若さとか痛みへの引き込み方は上手い。この作者は割と好きで文庫化されたものは読んでいるはずだけれど、『氷菓』や『愚者のエンドロール』の頃に比べても切れ味が増していて楽しみだ。