ある喫茶店にて。


カフェオレを飲む。
ブルーベリーのタルトをつついて、小説の続きを読む。

それを何度か繰り返す。

一時間くらい経っただろうか。
しかし、時計を確認したわけではない。

文庫本のしおり紐の位置を読む。
時計ばかりが時を刻むのではない。


そろそろ店を出ようとトレイに手をかけた瞬間、目の前に地層を発見した。

それはカフェオレのカップの中。
僕がカップに口を付け、かさが減るに従って、層理面となる。

カフェオレもまた、時を刻んでいた。


※これは違う所で、書いた物だけれど、思い出したので再び掲載。



12月9日

 仙川、『青木さんん家の奥さん』の稽古。出かける時には降っていなかったのに、駅を降りると結構強い雨。傘も持っていなかったので、濡れながら向かう。稽古場所の前にある喫茶店で軽食でも取ろうかと思ったら、その時間はドリンクしかなかったので、店を変えようとも思ったのだけど、雨も降っているし、何より店の名前が 「anchor here」 と言うので、言う通りにした。コーヒーを飲みながら本を読んで、稽古までの時間を潰す。
 僕はコーヒーを飲む時は、まずホットしか飲まない。何とは無しにアイスコーヒーは苦手だ。逆に缶コーヒー等は、冷たい物しか飲まない、コーヒーでは無いと思って飲んでいるので、ホットを飲むとコーヒーが思い出されて、良くない。

 
 

堀江敏幸『子午線を求めて』  読了