今、柳田国男の『日本の昔話』を読んでいる

東西南北のお話が数多く掲載されているのだけど、
有名な話もちらほら

その有名な話でも、僕の記憶と僅かな食い違いが
現れていて面白い
もちろん、純粋なショートショートとしても面白い
(ひねりはないけれど)

記憶の食い違いと書いたけれど、
特に驚いたのは、「瘤取りじいさん」のお話

この著書には、「瘤二つ」と言う名で、掲載されていた
僕の記憶では、


性格は良いけれど、目の上に大きな瘤のあるおじさんがいる
ある日、山で迷って鬼の酒盛りに遭遇する
鬼は、酒盛りの場を上手く盛り上げてくれたおじいさんを
気に入って、再び来て欲しいと約束する
そのまま、二度と来ないという事が無い様に
質草として、瘤をとった

その話を聞いた、性格が悪く同じく目の上に瘤のある別の男が
山に行った所、酒盛りを白けさせてしまい
この瘤をやるから、もう帰ってくれと、瘤を二つにして帰っていく


と言うものだった
ところが、この著書の中のお話では、
性格の善し悪しが無く、
二人目の男も、酒盛りを大いに盛り上げていた
そして、質草にとっていた瘤を返す、という風に瘤が二つになっていた

何に僕が驚いたかと言うと、
良いおじいさんだからこうなった、悪いおじいさんだからこうなった、
上手にものをこなしたからこうなった、下手だからこうなった、という
いわゆる道徳的な、説教臭い部分がなかったからだ

純粋に”人の真似をするな”と言うテーマ一つにしぼられていた

他にも「藁しべ長者」では、冒頭で
貧乏に困っていた男が、観音様に朝から晩まで幾日も祈っていた所を
観音様が、祈ってばかりいても無駄だ、と切り捨てていたり
意外と、道徳的な説教は少ない

話自体は、現代で考えれば荒唐無稽なものばかりだけど
メッセージや話の切り口は論理的、と言ったものが多かった


そういえば、現代では物語りを作る事の出来る人は増えたけれど、
上手に物を語る事の出来る人は、減っているのではないだろうか







9月30日

急に気温が下がったからか、少し喉がイガイガする