The Trouble with Harry

ハリーなる人物の死体発見された。「私が殺したのでは?」と何人もが思い込む。


映画関連目次(闇雲映画館)

製作:1955年、原作:ジャック・トレヴァー・ストーリ、脚本:ジョン・マイケル・ヘイズ、監督:アルフレッド・ヒッチコック


■ はじめに

登場人物
 アルバート・ワイルズ(エドマンド・グウェン) 元船長、いつも帽子を被っている
 ロバート・ウォープ(?) すでに死亡、ジェニファーの最初の夫
 ハリー・ウォープ(?) 死体、ジェニファーの二度目の夫、ロバートの兄
 ジェニファー・ロジャース(シャーリー・マクレーン)
 アーニー・ロジャース(ジェリー・メイザース) ロバートとジェニファーの息子
 サム・マーロウ(ジョン・フォーサイス) 画家、ジェニファーが好き
 アイヴィー・グレイヴリー(ミルドレッド・ナトウィック) 独身
 カルヴィン・ウィッグス(ロイヤル・ダノ) 保安官代理
 ウィッグス夫人(ミルドレッド・ダンノック) カルヴィンの母親
 グリーンボー(ドワイト・マーフィールド) 医師
 大金持ち(パーカー・フェンネリー) 氏名不詳
 浮浪者(バリー・マコーラム) 氏名不詳

シャーリー・マックレインは本作が映画初出演。他のキャスト紹介が終わった後で、一画面を使って「Introducing SHIRLEY MacLAINE」と表示される。
 


■ あらすじ

◆ 事件の概要

ヴァーモント州の田舎、数軒の民家がある。周辺にはきれいな風景の丘が広がっている。

丘の一角で、仰向けに倒れている男性の死体が発見された。発見者はアーニー・ロジャース。

それとは別にアルバート・ワイルズも発見し、ハリー・ウォープという男性であることを確認。

そこにアイヴィー・グレイヴリーが通りかかる。アイヴィーが立ち去った後、アーニーがジェニファーを連れてくる。後でサム・マーロウがスケッチに来て死体を発見する。

グリーンボー医師は、ハリーの死体がある場所に歩いてくるが、本に夢中でハリーに躓いて倒れても気がつかない。二回。

この男性はジェニファー・ロジャースの二番目の夫であることが判明した。不思議なことに「自分がハリーを殺した」と思い込む人物が複数登場した。少し時刻を進めて、まとめると次の通りである。

アルバート・ワイルス - ウサギと間違えてハリーを撃った。
アイヴィー・グレイヴリー - ハリーに襲われて靴で殴った。
ジェニファー・ロジャース - 訪ねてきたハリーを牛乳瓶で殴りつけた。

ジェニファーに関しては補足説明が必要だろう。ジェニファーはハリーの弟ロバートと結婚していた。その結果としてアーニーが生まれた。

ロバートが死亡し、ジェニファーはハリーに結婚を申しこまれた。ジェニファーは承諾して結婚した。一緒に暮らすはずであったが、「星回りが悪い」と勝手なことを言って、ハリーは姿を消した。

しかし事件当日の朝、ハリーが訪ねてきた。一緒に暮らそうと言うので、拒否して牛乳瓶で殴ったところ姿を消した。アーニーは継父の顔を知らない。

ハリーがアイヴィを襲ったのはジェニファーと誤解したためらしい。

アルバートはウサギを撃ち損じハリーを撃ったと思っていたが、アルバートが撃ったウサギをアーニーが持っていた。

◆ その後の展開

「死体を埋めて掘り起こす」。これが何度も繰り返される。
・サムとアルバートはいったん埋めた後、ウサギを撃ったと判明し掘り起こす。
・しかし二人は「犯人はジェニファーかも?」とまた埋める。
・アイヴィーが「ハリーが異常だったのならば私には罪はない」というので、また掘り起こす。掘り起こし作業はアイヴィー。
・「事件が公になると妻のジェニファーに迷惑がかかる」とまた埋める。
・サムとジェニファーが結婚することになるが「ハリーが行方不明状態では結婚できない」と掘り起こす。
・ハリーの死体を(誰かの)家に運んでくる。

氏名不詳の浮浪者がハリーの死体から靴を盗む。さらにカルヴィン・ウィッグスの取り調べを受ける。

最終的に死体は、誰かの家(→たぶんサムの家)に持ってこられる。しかしここでカルヴィンが捜査にくるので、慌てて風呂場に隠す。

カルヴィンが出ていった後、グリーンボーに調べてもらう。結果、ハリーは心臓発作で死亡したことが判明する。

グリーンボーの診断結果がでた後、ハリーの死体を(埋めないで)元の場所に置く。

サムとジェニファー、アルバートとアイヴィーの二組が結婚することになり、本作はハッピーエンドとなる。
 


■ 蛇足

ウィッグス夫人は自宅で店をやっている。画家のサムの絵も販売している。しかし売れたことがないらしい。サムの絵をさかさまに見て「これはすばらしいわ」と感激する。

アルバートは、船長をしていたとのことで、いつも帽子を被っており、折に触れて船長時代の体験をみんなに披露している。しかし本当はタグボートの船長で、港の中で着岸・離岸させるだけの仕事をしていた。

アイヴィーはアルバートに死体のそばで会った時に、さっそく「午後に私の家でお茶でも」と誘う。もちろんアルバートは大喜び。

アイヴィーはアルバートを接待するためにカップをウィッグス夫人の店で買う。この時サムにカップを手に取ってもらって「男の人に合うかしら」と確認する。アルバートには「父親が使っていたもの」と説明する。

サムはウィッグス夫人の店で、タバコを半箱買って「残りは明日買う」と言う。

大金持ちがウィッグス夫人の店に来て、サムの絵を見て「すべて買いたい」と申し出た。

金はいくらでも支払うとのことであったが、サムは金ではなく、まわりのそれぞれの人がほしい物品を要求した。
・ジェニファー:イチゴを毎月二箱
・アーニー:化学セットのオモチャ、ただし匂いが強いもの
・ウィッグス夫人:(店に置く)レジスター
・アイヴィー:花嫁道具を入れる箱
・アルバート:散弾銃と弾、半ズボン、無地のシャツ
・サム:ダブルベッド(ただしジェニファーには秘密にして伝えた)

ジェニファーはサムがキスしようとすると「私はのぼせやすいの、優しくして」と言う。