■ Hauser's Memory
クラマー博士は「人間の脳から抽出したRNAを他人に注入し、元の人間の知識を転写する」研究をしている。
東側の科学者ハウザーが亡命しようとして致命傷を負った。ハウザーのRNAが抽出された。
クラマーの助手のヒレルは自らハウザーのRNAを注入した。ハウザーの知識のみならず、感情や人間性などもハウザーのものとなり、自分自身を乗っ取られた。


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 カール・へルムート・ハウザー博士(?)
 アンナ・ハウザー(Lilli Palmer)

 エルンスト・クラマー博士(Helmut Kautner)
 ヒレル・モンドロー(David McCallum) クラマーの助手
 カレン・モンドロー(Susan Strasberg) クラマーの助手、ヒレルの妻
 ジョセフ・スローター(Leslie Nielsen) CIAエージェント
 ドーシー(Robert Webber) CIAエージェント
 ワーナー・レナー(Herbert Fleischmann) CIAエージェント

仰々しい邦題だな。東側の科学者が亡命しようとして命に危険に晒され、科学者の命を救おうとするということでは「ミクロの決死圏」とよく似ている。ただ「ミクロの決死圏」では極小化して人体に入ったなかでの描写が主である。

 


■ あらすじ

◆ ハウザー博士

軍用輸送機に担架に乗せられた人物が運び込まれる。アメリカに輸送されて、直ちに病院に運び込まれた。

その人物は東側の科学者カール・へルムート・ハウザー博士である。西側に亡命しようとして深い傷を負わされた。

ハウザー博士の知識は非常に貴重である。その意味から彼の命を何とかして救いたい。

だが可能性は低い。

◆ 記憶を転写する技術

ノーブル賞受賞者エルンスト・クレイマー博士は助手のヒレル・モンドローとその妻で同じく助手のカレンと「人間の脳から抽出したRNAを別の人間に注入して、元の人間の知識を植え付ける」という研究をしている。

動物実験はしているが、まだまだ未完成である。

CIAからジョセフ・スローターとドーシーというエージェントが訪ねてきて相談する。

用件はハウザーの件。ハウザーの絶命は時間の問題である。

ともあれ三人はハウザーが入院している病院に向かった。

◆ ヒレルはRNAを注入した

ハウザーの脳からRNAを抽出した。ここまで既定路線。さて抽出したRNAをどうするか、誰に注入するかが問題となる。

ともあれ三人は宿舎に戻った。

だがヒレルは宿舎を抜け出して病院に向かった。そして保存されていたハウザーのRNAを自らに注射した。

激しい幻覚と痙攣が巻き起こった。少なくとも主観的には、そのようになった。知らない場所の風景も見えた。

◆ ジキルとハイド状態

ヒレルの頭の中にはハウザーの知識が保持されているようである。だが情緒的な体験、感情なども移されたようである。

ヒレルは精神を乗っ取られたような気がした。

そしてジキルとハイドのようにヒレルとハウザーの間を勝手に往復し始めた。自分がコントロールすることができない。

◆ ベルリンへ

ヒレルが自分に戻った時に飛行機に乗っていた。行先はコペンハーゲン経由のベルリン。

ワーナー・レナーという人物が話しかけてきた。この時ヒレルは「カール・へルムート・ハウザー」と名乗ってしまった。無意識の勝手な行動である。

ベルリンに到着した。空港では手が勝手に動いてハウザーのサインをした。

クラマー博士、ドーシーが待っていた。それとレナー。レナーもCIAのエージェントであった。

◆ ハウザーの知識は失われた

レナーはスキを見てドーシーを射殺した。レナーは東側の二重スパイであった。

ヒレルとクラマーは拉致されて東ベルリンに連れ込まれた。二人の男が待っていた。

ハウザーとなったヒレルは、そのうちの一人の男を思い出した。その男はナチであった。また二人はある女性を争った仲でもあった。

ヒレルはスキをついて拳銃を奪って引き金を引いた。だが撃たれたのヒレルであった。

ヒレルは死亡した。ハウザーの知識は失われた。