■ SONG OF THE THIN MAN
夫婦探偵のニック/ノラ・チャールズが殺人事件を捜査する。


製作年:1947、監督:Edward Buzzell、脚本:ハリー・クレイン、スティーヴ・フィッシャー、ジェームズ・オハンロン、スタンリー・ロバーツ


■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)
ニック・チャールズ(ウィリアム・パウエル) 探偵
ノラ・チャールズ(マーナ・ロイ) ニックの妻、探偵
ニック・チャールズ・Jr.(Dean Stockwell) 二人の息子
ベルタ(コニー・ギルクリスト) チャールズ家のメイド
アスタ(?) チャールズ家の犬

デイヴィッド・セイヤー(ラルフ・モーガン)
ジャネット・セイヤー(ジェーン・メドウズ) 娘、ブラントと恋人
フィル・ブラント(ブルース・コーリング) フォーチュンのオーナー
トミー・ドレイク(フィリップ・リード) ジャズバンドのリーダー
バディ・ホリス(ドン・テイラー) クラリネット奏者
フラン・ペイジ(グロリア・グレアム) 歌手、バディ→ドレイク
クレアランス・クラウズ(キーナン・ウィン) クリンカー
ミッチェル・タルビン(レオン・エイムス)
フィリス・タルビン(パトリシア・モリソン) ミッチェルの妻、ドレイクの恋人
アル・アンボーイ(ウィリアム・ビショップ) ギャング
ヘレン・アンボーイ(マリー・ウィンザー) アルの妻

本作は探偵夫婦が殺人事件を捜査するストーリー。探偵とその妻ではなく二人とも探偵。

二人で現場に出かけるが、二人の会話が爽やかで面白い。しかも状況説明になっている。very good。夫婦で探偵という映画は見たことがない。子供もいて和やかで、よくある非社会的・アウトローな探偵イメージとは一線を画している。

犬のアスタも捜査に参加する。ちゃんと役目がある。いや、邪魔する時もあるが。

原題と邦題が意味不明。邦題があるが日本語版は見当たらない。「何とかThin Man」という映画がいくつもあり、シリーズになっているらしい。

いつも癖のある役をしているマリ・ウィンザーが出演しているが、登場場面が少なくて残念。
 


■ あらすじ

◆ ドレイクは借金をしている

デイヴィッド・セイヤーが後援するチャリティーパーティがカジノ船フォーチュンで催された。

トミー・ドレイクが率いるジャズバンドが出演した。クラリネット奏者のバディ・ホリス、歌手のフラン・ペイジなど。

演奏の最中にドレイクとバディが喧嘩した。二人はフランを争っている間である。注、ドレイクはフィリスとも関係がある。

出演の後、ドレイクはミッチェル・タルビンの伝手でいい仕事があるので、フォーチュンの船主のブラントに、今後の仕事は遠慮すると言う。

ドレイクはブラントに「(今回の金を)即金で支払ってくれ」と言ったが断られた。

ドレイクにはギャングのアル・アンボーイに12000ドルの借金があるのだが、アンボーイは借金の返済を要求した。

そこでドレイクはタルビンに前払いをしてくれるように頼んだのだがこちらも断られた。つまりアンボーイに金が払えないという状況。

◆ トミー・ドレイクは殺された

切羽詰まったドレイクはブラントが(フォーチュンの中の)事務所から出てきた後に事務所に忍び込んだ。

しかし金庫を開けたところで、後ろから何者かに射殺された。

我々には直前に事務所を出たブラントが事務所に戻ろうとするところが提示されるが、本当に戻ったのかは分からない。

ブラントは姿を消し、警察は彼を手配した。

◆ ブラントは捕まった

ジャネット・セイヤーはブラントと付き合っている。しかし父親のデイヴィッド・セイヤーはブラントが成り上がり者と言うことで、二人の結婚に反対している。

ジャネットとブラントは二人はニック/ノラ・チャールズのアパートに現れた。ニックとノラは笑顔で二人を迎えた。

二人はニックとノラがなぜニコニコしているのか分からず戸惑っている。

ニックは朝刊を見た。ブラントの手配記事が載っている。ニックとノラは二人が来た理由を理解した。ジャネットは「誤解なのよ。彼は犯人じゃないわ。助けてほしいの」と言った。

しかしニックはブラントを警察に通報した。探偵としては当然の行動である。

ジャネットは「さすが名探偵ね。相談に来たら電気椅子に送るの?」と抗議した。

◆ チャールズ夫妻は捜査を開始

しかしニックとブラントは親友である。チャールズ夫妻は捜査を開始した。

ニックは、事件の捜査でまだ警察がウロウロしている中をフォーチュン号に忍び込んだ。アスタも同行している。

事件現場の部屋に侵入。アスタが早速床に落ちていた剃刀の刃を見つけた。

ドレイク作成の楽譜の裏にドレイクの借金が支払われたことを示すアンボーイの署名付きの領収書を発見した。注、誰が支払ったかは最後で分かる。

誰かがカーテンの陰に隠れている。アスタが唸った。しかしニックは気が付かない。隠れている男はナイフを取り出す。注、この男はアンボーイ。

隠れていた男が背後からニックにナイフを突きつけた。しかしニックはスキを見て反撃、相手を殴った。

相手は逃げ出してボートで逃亡した。アスタは領収書を咥えて隠れた。領収書がどうなったかは補足参照。

別の部屋でドレイクの楽団が練習していた。何事もなかったような雰囲気。

バンドリーダーであったはずのドレイクがメンバーに嫌われていたことが判明。クリンカーだけはニックに協力することに同意した。

◆ 銃のコレクション

ニックとノラとクリンカーはタルビンの家や店などに行っていろいろ調べた。

ニックとノラはかなり疲れて夜遅くに自宅に戻ってきた。

ノラは疲れて眠いが、朝四時ニックが出かけるというので、二人でセイヤー宅に出かけた。

朝早いのでびっくりするが、ジャネットとデイヴィッドが迎えた。ここでジャネットがノラの服に飲み物をかけてしまう事件が発生する。

ジャネットの父親デイヴィッドは銃のコレクターである。ニックとノラはドレイクを殺した銃は、そのコレクションの一つであろうと推察した。

調べてみると、確かに銃の一つがなくなっていた。ニックがデイヴィッドに訪ねた。「お嬢様(ジャネット)を守るために使おうとしたのでは?」「死んだのは別の男だ」「背格好は似ている」「拳銃は義理の息子(ブラント)に渡した」。補足。父親はジャネットが付き合っているブラントが好きではない。しかし死んだのはドレイク。

ここで電話がかかってきた。ジャネットが出た。ジャネットは内容をメモして、そのメモを持って急いで出かけた。

ニックは、メモの次の用紙を取って、ノラと一緒にジャネットを追いかけた。注、次の用紙には、ボールペンの筆圧で跡がついている。それを解読するため。きちんとジャネットを追いかけることができれば不要。

ジャネットは途中警察に寄った。ブラントと会うためである。ニックとノラには分からないが、ここでジャネットはブラントから「デイヴィッドから渡された拳銃を事務所にしまった」と聞いた。

警察をでて、さらにジャネットは走っていく。

◆ フラン・ペイジの死体

さらにニックとノラはジャネットを追いかけた。フランのアパートに到着した。

そこにはフランの死体があった。背中にナイフが刺さっている。しかしジャネットがいない。まだレコードが掛かっていた。殺されたばかりである。

ジャネットが入ってきた。注、順番が入れ替わっている理由は後で分かる。

ジャネットはフランから「事件の情報を教えてあげる」との電話を貰って出かけたことを明かした。そして2500ドルを要求されたらしい。

それとジャネットは先ほどブラントから聞いた情報も二人に知らせた。

◆ バディ・ホリスに会う

補足。ここではバディ・ホリスを探す。彼は「療養所」にいるのだが、なぜいるのかは明らかにされていない。なんらかの理由で精神を病んでいる。ストーリーが省略されている。

ニック、ノラ、クリンカーの三人はホテルベスタに行って、さらにバリー療養所バディ・ホリスをいることを突き止めた。

バディに面会したのだが、バディが興奮していて手が付けられず、相手側から断られて三人は諦めた。

その後三人で食事をしていたが、ノラが抜け出してバリー療養所に侵入し、バディに会った。残った二人はノラがいなくなり、バリー療養所に行ったものとして後を追いかけた。

ノラとバリーは部屋の中で対峙したが、またバリーは興奮して、拳銃を持ち出した。バリーは「自分がドレイクを殺したっ!」と叫んで拳銃を向けた。ノラは顔を覆った。バリーは引き金を引いた。至近距離だったが当たらなかった。

ちょうど、到着したニックとクリンカーが飛び込んだ。使われた拳銃はセイヤーの家から持ち出されたものだった。

ニックはバディの拳銃の腕前が、まったく下手だったので、ドレイクを殺したのはバディではないと判断した。また「フランが殺されたのは犯人を知っていたからだ」と言った。

◆ ニッキーがあぶないっ!

ここでノラは自宅に電話を掛けた。なんとジャネットが出た。「ニッキーが危ないっ!」。ジャネットがニッキーに危害を加えようとしている。

ここは自宅からかなり離れていて列車で戻る。すぐに戻る手段はない。不安にかられながら三人か列車で戻る。

ノラは持っていたハンカチをだした。それはジャネット宅を訪ねた時に、飲み物を零されてジャネットから渡されたハンカチ。

同じハンカチがフランの死体のそばに落ちていた。

自宅に戻った。誰もいない。メイドのパーサが戻ってきた。ジャネットが来て「頭痛薬を買ってきて」と頼まれたとのこと。

エレヴェーター係に聞くと、ジャネットはニッキーを「すぐに戻る」と言って連れ出したらしい。

ジャネットとニッキーが戻ってきた。「男がナイフを持って来たので、ニッキーを寝かしつけると言って、外に逃げたとのこと。注、この男が誰であるかをジャネットは分からなかったのか?

夜、ニッキーの無事が確認されて、ニックとノラは考えている。犯人はバディを犯人に見せかけようとした。

◆ バーティを開催

ニックとノラはフォーチュンでパーティを開くと通知した。前回のメンバーがそろう。バディ・ホリスからは「回復したので出席する」との連絡。

警察にも連絡した。二人は監視しやすいテーブルに陣取っている。

アンボーイが妻と来た。アンボーイ夫人の首にネックレスがある。前回のパーティでフィリス・タルビンがつけていたネックレスである。注、なぜそうかと分かるかと言えばフィリスがネックレスを落としてノラが拾ったから。

しばらくしてフィリスがそのネックレスをつけていた。

二人はタルビン夫妻に接触した。ニック「ネックレスを買い戻しましたね」ミッチェル「妻はずっとこれをつけてた」フィリス「さっきネックレスを買い戻したのよ。アンボーイに渡していたの。ドレイクの身を守るために」と夫婦が異なる見解。

タルビン夫婦はお互いを見つめて不審な顔をする。ニックは「バディ・ホリスが話せばすべて明らかになる」。

ここで打ち合わせ通り司会が「バディ・ホリスが事件の真相を話します」と発表した。

バディは壇上で演奏していたが、もう精神がおかしいというような顔ではなく、しっかりとした顔である。

ニックがバディに近づく「犯人の名前を話してくれ」。

ここでミッチェルがが立ち上がった。そして自分が犯人であると宣言して拳銃を取り出した。

それを見たフィリスは自分も拳銃を取り出してミッチェルを撃った。ニックは慌ててフィリスを止めたが、フィリスは何度もミッチェルを撃った。「トミー(・ドレイク)を殺した犯人は私が殺すのよっ!」と叫んだ。会場は大混乱。

その後、ニックとノラは腕を組んで夜道を歩いて行った。
 


■ 補足

アスタが持ち出した楽譜(領収書)の行方。

ニックがフォーチュンで見つけた楽譜をアスタが咥えてもちだした。

ニックは別の部屋に行ってミュージシャンたちがいる部屋に入った。アスタも入ってきて楽譜をその部屋の誰かの楽器のそばにおいた。

楽譜は、誰かによって持ち出されて、後ほど焼却された。
 


■ 愚痴

本作は登場人物が非常に分かりずらい。特に男性。わりと登場人物が多い。パーティなんかの場面が多く、ほとんど同じ服装。AがBと浮気とかCがDに借金とか言う関係がある。

しかも初登場の場面では誰なのか分からない。しばらく展開して、名前が分かっても、それまでの記憶が揮発している。

きちんと理解するには、顔のキャプチャーを取って名前を分かるようにしておいて、それを見ながら映画を見ることになる。