■ The Three Faces of Eve


製作年:1957、監督:Nunnally Johnson、脚本:Nunnally Johnson、原作:The Three Faces of Eve: A Case of Multiple Personality(Corbett H. Thigpen、Hervey M. Cleckley)


■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)
 イヴ・ホワイト/イヴ・ブラック/ジェーン(ジョアン・ウッドワード)
 イヴ(8歳時)(Mimi Gibson)
 ラルフ・ホワイト(デヴィッド・ウェイン) イヴの夫
 ボニー・ホワイト(Terry Ann Ross) 娘
 ブラック氏(ダグラス・スペンサー) イヴの父親
 ブラック夫人(ナンシー・カルプ) イヴの母親

 カーティス・ルーサー博士(リー・J・コッブ) 精神科医
 フランシス・デイ博士(エドウィン・ジェローム) 精神科医、ルーサーの同僚
 ルーサーの秘書(アレナ・マレー)

 アール(ケン・スコット) ジェーンと結婚する

The Three Faces of Eve 1957

◆ 解説

本作は有名な多重人格(解離性同一症)の症例であり、担当した医師が書いた書籍が元になっている。これとは別に患者本人が書いた書籍もある。

現在では「多重人格」と言う言葉は使われないようである。

イヴは仮名で、後日本名が明らかになった。

本作の他に解離性同一症の事例を扱った映画としては「(2007)多重人格・シビルの記憶/Sybil」がある。ジェシカ・ラングが医師のコーネリア・ウィルバー博士として出演している。患者のシビル役はタミー・ブランチャード。
 


■ あらすじ

◆ イヴ・ホワイト

1951年、精神科医のカーティス・ルーサー博士のところにラルフ/イブ・ホワイト夫婦が訪問してきた。

イヴはオドオドした臆病そうな雰囲気である。二人には娘が一人いる。

相談内容はイヴは頭痛に悩まされており、また頭痛に伴って記憶の欠落があるとのこと。

いつのまにかイヴが知らないうちに新しい服などが増えており、クレジットの請求書が来ている。

服はイヴの趣味には到底合わない派手なものである。また店に確認するとイヴ本人が訪れて購入したとのこと。

◆ イヴ・ブラック

面談を続けていると、イヴは突然顔を伏せた。

しばらく痙攣状態が続き、顔を上げた。確かに同一人物ではあったが、目つき、顔つきがまったく変わっていた。

言葉遣い、動作も変わった。乱暴な言葉、性的な言葉を発した。挑発的な目つき、横柄な態度、、、、。

彼女は「イヴ・ブラック」と自己紹介した。ブラックはホワイトのことを軽蔑して評した。

話しているうちに、また表情が変わった。イヴ・ホワイトに戻った。ホワイトはブラックの存在を知らなかった。

ホワイトはタバコを吸わないが、ブラックはタバコを吸う。ブラックはナイロンアレルギーがあり、ストッキングを嫌った。

◆ イヴ・ブラックとの闘い

イヴはルーサー博士のところに何度か来て面談を行った。

イヴ・ブラックが娘のボニーの首を絞める事件が発生した。この時はラルフが気づいて阻止し、事なきを得た。

イヴ・ホワイトはボニーを自分の両親に預けた。

この頃にラルフは転職した。

ブラックが他の男性と出かけて羽目を外した時、ブラックとラルフは殴り合いとなった。

その後、ラルフとイヴは離婚した。

この頃にはルーサー博士は、ホワイトとブラックを自由に呼び出して、双方と話ができるようになっていた。

◆ ジェーンが出現した

ルーサー博士は例によってイヴと面談していた。

突然、彼女の態度や表情が変化した。ホワイトにもブラックにも見られなかったものである。

彼女はジェーンと名乗った。ジェーンはホワイトの存在もブラックの存在も知っていた。

ジェーンは二人とは違ってバランスが取れた人格を持っていた。

イヴが六歳、祖母が死亡した時に、家族から死んでいる祖母にキスをするように強制されたことを明かした。

ルーサー博士は、三人を交代に呼び出して面談を勧めていた。

しかしある時ジェーンから他の人格に切り替えようとした時に、ジェーンは「他の人はもういません」と告げた。二人は消え去ってジェーンという人格に統合された。

ジェーンはボニーを引き取り、そしてアールという男性と結婚した。
 


■ 補足

ジョアン・ウッドワードの演技が圧巻。ホワイト、ブラックの違いを説得力のある演技で演じ分けている。

撮影する時に監督はそれなりの指示をするだろうが、細かい指示はできない。細かなことは言葉では表現できないし、もしできたとしても、非常に時間がかかる。

だから監督は大まかな指示しかしないはずである。俳優は脚本と監督の大まかな指示を元に演技をする。

本作のような映画では、全面的に俳優の演技力に依存する。俳優の演技が映画の魅力の大部分を構成する。


 

 

 


■ 出演作

◆ リー・J・コッブ
(1949)深夜復讐便/THIEVES' HIGHWAY
(1947)征服への道/Captain from Casile
(1948)出獄/CALL NORTHSIDE 777
(1947)影なき殺人/Boomerang

(1957)イヴの三つの顔/The Three Faces of Eve