■ Ride the Pink Horse/1947
ゲーギンはヒューゴを追ってサン・パブロまで来た。ヒューゴの不正を追及して金を脅し取るためである。
ゲーギンはそこでピラという不思議な少女に出会った。また刑事のレッツもヒューゴを探して当地に来ていた。
ゲーギンはヒューゴに接触したが、襲われて大けがをした。ピラに助けられた。
ピラはゲーギンを自分の故郷に避難させようとしたが、ゲーギンは再度ヒューゴに会いに行った。
ピラはゲーギンを追いかけた。またレッツもゲーギンを追った。
製作:1947年、原作:ドロシイ・B. ヒューズ、脚本:ベン・ヘクトチャールズ・レデラー、監督:ロバート・モンゴメリー
■ はじめに
登場人物(キャスト)
ラッキー・ゲーギン(ロバート・モンゴメリー)
パンチョ(トーマス・ゴメス)
ビラ(ワンダ・ヘンドリックス)
フランク・ヒューゴ(フレッド・クラーク/Fred Clark)
ジョナサン(Richard Gaines) ヒューゴの仲間
マージョリー(アンドレア・キング/Andrea King) ヒューゴの仲間
ロック(Edward Earle) ヒューゴの仲間
ビル・レッツ(アート・スミス/Art Smith) 刑事
「モントゴメリー」と書いてあるサイトがあるが「モンゴメリー」が正しい。「Mont Blanc」はモント・ブランクではなくモン・ブラン。
タイトルの由来はピラが「回転木馬に乗りたい」と言う場面があり、パンチョが「ピンクの馬に乗れ」と言う。
■ あらすじ
◆ サン・パブロ
ゲーギンはバスに乗ってサン・パブロの町に来た。バスターミナル。もうすぐフィエスタの祭りが始まる。
ゲーギンはポケットから紙(→実は小切手)を取り出して貸ロッカーに入れて、カギを案内板の地図の後ろにガムを使って貼り付けた。
バス停を出て、少女にラフォンダホテルの場所を聞いた。少女は自分が案内するという。回転木馬がある広場を通ってホテルまで来た。
少女の名前はピラ。ビラはゲーギンを見つめていたが、イシュタムというお守りを取り出してゲーギンにプレゼントして走り去った。不思議な印象の少女である。
◆ ラフォンダホテル
フロントに来るが満員と言われる。とりあえず荷物を預ける。メモ用紙を何も書かないで封筒にいれて「フランク・ヒューゴに渡してくれ」と渡した。
ゲーギンはメモが入れられる棚を見てヒューゴの部屋を確認した。315号室。
ゲーギンは315号室に行ってノックした。ジョナサンという男が出たが、ヒューゴは不在とのこと。
強引に中に入り込む。ジョナサンを殴り倒してイスに座って待った。
突然女性が入ってきた。マージョリー。「ヒューゴは?」「いない」。倒れているジョナサンを見ても落ち着いている。ヒューゴと食事をする予定とのこと。
電話が鳴ったのでマージョリーを制してゲーギンが出た。ベルボウイと答える。ヒューゴは明日まで戻らないとのこと。
ゲーギンは部屋を出た。
◆ ビル・レッツ
ロビーに下りていくと声をかけられた。ゲーギンは面識がなかったが、ゲーギンの名前を知っている。泊る部屋がないことも知っている。
ビル・レッツという刑事である。しかし「狙いは君ではない」と言う。
「ヒューゴを半年間追っている。我々に任せろ」と言う。
マージョリーとロックという男性がきて挨拶した。誘われたが断った。
◆ 三本のスミレ
またピラと会った。「三本のスミレという酒場に行けば宿が取れる」と教えてもらい、二人で行った。
ピラは「サン・パブロには初めて来た」そして「私が必要になる」と不思議なことを言う。
三本のスミレに入った。薄暗い酒場で、中に入るとみんなが黙って見つめる。異様な雰囲気。
最初にビラに会った時にそばにいた女性がいて「ビラは頭がおかしい」と言う。
酒を飲んだが、大きな札を出すと釣りがないとのこと。仕方がないので、釣りの分はそこにいる人たちに奢ることにした。とたんにみんな愛想がよくなった。
◆ 回転木馬
酒場の中にいたパンチョという男と話した。「俺の家に泊まりに来い」と言う話になってついていった。ここでもピラがウロウロしている。
広場の一角に回転木馬があってパンチョはそれを経営している。そのそばに屋根だけの小屋がある。そこが「俺の家」らしい。
ピラが来て回転木馬に乗りたいと言う。営業時間外らしいが、ゲーギンが料金を出して乗せてもらった。いつもは無表情なピラが嬉しそうにする。
ゲーギンは寝ていたがピラが起こしに来た。「誰かが来る」。来たのはレッツ。「チンピラがお前を探している。私の部屋に来い」と言ったが断った。
次の日の朝、またピラがいるので「髪も服ももっと人間らしくして来い」と金をやった。それを見てパンチョは「もっといい女がいる」と誤解した。
◆ ヒューゴと会う
ヒューゴを訪ねていった。他にも人がいたが、ヒューゴは彼らを外に出して、二人で話をした。
要約すると、ゲーギンはヒューゴの悪事の証拠の小切手(←ロッカーに隠したもの)を持っており、それを元にヒューゴに金を要求している。
「応じなければレッツに小切手を渡す」と脅すが、ヒューゴは「脅しに屈しているときりがない」と言う。
結局15000ドルで決着し、本日の午後7時にまた会うことになった。
◆ マージョリーと会う
レッツとピラが話している。ピラは「彼は死ぬかもしれない、死んでいる姿を見た、本当に見た、彼の死相が見えた」と奇妙なことを言う。
ゲーギンが来た。ピラは隠れる。レッツは「ヒューゴの悪事の証拠を出せ」と要求するが拒否。
レッツが去ってピラが戻ってきた。ここでは二人は無邪気な話をする。二人でレストランに行く。ピラは「何も食べたくない」と言ったのでゲーギンは勝手に注文する。ピラはきれいになって嬉しそうである。
さてそこにマージョリーが来た。ピラに席を外すように言う。
マージョリーはヒューゴからはもっと金がとれるというような誘いを出す。そして証拠も渡さずに、ずっとヒューゴから金を貰うというような話をする。
しかしゲーギンが乗ってこないので、マージョリーは立ち去った。
◆ 襲われる
ゲーギンは隠しておいたカギを取りだしロッカーを開けて、中から紙(小切手)を取り出した。
もうフィエスタの祭りが始まっており、パレードがあり人々が町に繰り出している。ゲーギンは人ごみの中を歩いていく。
レストランでヒューゴ、マージョリー、その他が食事をしている。ゲーギンが来た。「用意ができたか?」「もう少し待て」。
マージョリーが誘って席を離れてダンスを踊る。マージョリーから誘って二人は分からないように外に出る。別の家に入った。
ここでゲーギンは後ろから襲われる。
マージョリーはヒューゴの席に戻り「ゲーギンを襲わせた」と言う。
◆ ピラに助けられた
ピラが来た。ナイフを抜いて出血を止めた。
「立たせてくれ」と言うので、ビラがなんとかゲーギンを立たせた。パンチョのところまで歩いて行った。パンチョが寝かせて手当てをする。
パンチョが周りを見張っていると怪しい男が二人見えた。ゲーギンを回転木馬のイス席に座らせ毛布をかけた。回転木馬を回らせる。ピラも木馬に腰掛ける。しかし心配そう。
怪しい二人が来て探すが見つけられない。二人はパンチョを追求する。「ゲーギンはどこだ?」「知らない」。パンチョが殴られる。ピラが心配そうに見ている。
その後ゲーギンは「5000ドルをやる」と言ったが、パンチョは「いらない」。
◆ 三本のスミレ → バス停
危ないのでピラの故郷に行くことにする。パスは夜の十時半なので、それまでは三本のスミレに隠れることにする。
三本のスミレに行く。昨日奢ってくれたゲーギンのことは憶えており、奥の部屋に案内された。ピラも一緒。
ゲーギンは「誰にも見せるな」と言ってピラに小切手を渡した。
マージョリーともう一人の男が来た。男がゲーギンのいる部屋に入ってきて、テーブルの上にうつぶせになっているゲーギンの顔を確認しようとしたので、ビラはビンで男を殴り倒した。
ピラはゲーギンを支えて、別の出口から外に出た。
ビラはゲーギンを連れてバスターミナルへ行く。まだ誰も乗っていないバスに乗せて、切符を買いに行くが、担当者は祭りで出かけている。
ゲーギンは傷ついた体でよたよたしながらバスから出た。
◆ ヒューゴの部屋
ピラはバスにゲーギンがいないので探しに出かけた。祭りの群衆の中を探した。
ホテルに入っていくゲーギンを見て追いかけた。ゲーギンがエレヴェーターに乗ったので階段を駆け上がった。
ヒューゴの部屋の前。ゲーギンが中に入る。ピラも続いて中に入る。ヒューゴ、マージョリーなど。
ヒューゴ:「小切手はどこだ?」ゲーギン:「知らない、おぼえてない」ビラ:「ケガで記憶がおかしい」。
ここでゲーギンが殴られる。ピラも殴られる。
レッツが拳銃を構えて入ってきた。レッツは手を上げさせて拳銃を奪った。
ピラは小切手をレッツに渡した。
◆ ラスト
レッツとゲーギンがレストランで話している。食べ終わって外に出る。ゲーギンは右腕を吊っている。
パンチョが来たので「金の件はダメになった」と言う。パンチョは気にしていない。
ピラが来た。周りには他の子供たち。ゲーギンが話しかけるがピラは「グッバイ」と言っただけ。
レッツとゲーギンがピラの前を離れ、少し歩いて振り返ると、ピラは他の子供たちにゲーギンのことを楽しそうに話している。
■ 蛇足
本作には小説の原作がある。ドロシイ・B. ヒューズ。ゲーギンがやられっぱなしであまり活躍してないが、原作者はピラを主人公に想定しているものと推定される。本作はワンダが19歳の時だがビラはもっと子供みたいに見える。おそらくピラは15歳以下の設定と思われる。
■ 出演作
◆ ロバート・モンゴメリー
「湖中の女 Lady in the Lake(1946)」(ロバート・モンゴメリー、オードリー・トッター、ロイド・ノーラン、トム・テューリー、レオン・エイムズ、ジェーン・メドウズ)
「桃色の馬に乗れ/Ride the Pink Horse(1947)」(ロバート・モンゴメリー、トーマス・ゴメス、ワンダ・ヘンドリックス、グランドン・ローズ)
◆ トーマス・ゴメス
「幻の女/Phantom Lady(1944)」(エラ・レインズ、フランチョット・トーン、アラン・カーティス、トーマス・ゴメス)
「征服への道/Captain from Casile(1948)」(タイロン・パワー、シーザー・ロメロ、ジーン・ピータース)
「キー・ラーゴ Key Largo (1948)」(ハンフリー・ボガート、ローレン・バコール、クレア・トレヴァー、エドワード・G・ロビンソン、ライオネル・バリモア、モンテ・ブルー、トーマス・ゴメス)
「悪の力/苦い報酬 Force of Evil (1948) 」(ジョン・ガーフィールド、ビアトリス・ピアソン、トーマス・ゴメス、ロイ・ロバーツ、マリー・ウィンザー、ホーランド・チャンバー、リンボー・ブリッジス)
「桃色の馬に乗れ/Ride the Pink Horse(1947)」(ロバート・モンゴメリー、トーマス・ゴメス、ワンダ・ヘンドリックス、グランドン・ローズ)
「女海賊アン/ANNE OF THE INDIES(1951)」(ジーン・ピータース、ルイ・ジュールダン、デブラ・パジェット、ハーバート・マーシャル、トーマス・ゴメス、ジェームズ・ロバートソン・ジャスティス)
◆ ワンダ・ヘンドリックス
「荒野の駅馬車/Stage To Thunder Rock(1963)」(バリー・サリヴァン、マリリン・マクスウェル、キーナン・ウィン、ジョン・エイガー、ロン・チェイニー・Jr、アン・セイモア、スコット・ブラディ、ラルフ・テージャー、ロバート・ロウリー)
「追いはぎ/The Highwayman(1951)」(フィリップ・フレンド、ワンダ・ヘンドリックス、チャールズ・コバーン、セシル・ケラウェイ、ヴィクター・ジョリイ、ダン・オハーリヒー)
「シエラ/Sierra(1950)」(オーディ・マーフィ、ワンダ・ヘンドリックス、ディーン・ジャガー、バール・アイヴス、サラ・アルグッド、ジェームズ・アーネス、トニー・カーティス)
「桃色の馬に乗れ/Ride the Pink Horse(1947)」(ロバート・モンゴメリー、トーマス・ゴメス、ワンダ・ヘンドリックス、グランドン・ローズ)
◆ フレッド・クラーク
「陽のあたる場所/A Place in the Sun(1951)」(モンゴメリー・クリフト、エリザベス・テイラー、シェリー・ウィンタース、アン・リヴェール、レイモンド・バー)
「サンセット大通り/Sunset Boulevard(1950)」(グロリア・スワンソン、ウィリアム・ホールデン、エリッヒ・フォン・シュトロハイム、ナンシー・オルソン、フレッド・クラーク、ジャック・ウェッブ、ロイド・ガフ、ヘッダ・ホッパー、バスター・キートン、セシル・B・デミル)
「桃色の馬に乗れ/Ride the Pink Horse(1947)」(ロバート・モンゴメリー、トーマス・ゴメス、ワンダ・ヘンドリックス、グランドン・ローズ)
◆ アンドレア・キング
「海の無法者/BUCCANEER'S GIRL(1950)」(フィリップ・フレンド、イヴォンヌ・デ・カーロ、エルザ・ランチェスター、アンドレア・キング、ヘンリー・ダニエル)
「桃色の馬に乗れ/Ride the Pink Horse(1947)」(ロバート・モンゴメリー、トーマス・ゴメス、ワンダ・ヘンドリックス、グランドン・ローズ)
◆ アート・スミス
「孤独な場所で/In a Lonely Place(1950)」(グロリア・グレアム、ハンフリー・ボガート、アート・スミス、マーサ・スチュワート、カール・ベントン・リード)
「真昼の暴動 Brute Force (1947)」(バート・ランカスター、ヒューム・クローニン、チャールズ・ビックフォード、イヴォンヌ・デ・カーロ、アン・ブライス、エラ・レインズ)
「忘れじの面影/Letter from an Unknown Woman(1948)」(ジョーン・フォンテイン、ルイ・ジュールダン、マディ・クリスチャンズ、アート・スミス)
「桃色の馬に乗れ/Ride the Pink Horse(1947)」(ロバート・モンゴメリー、トーマス・ゴメス、ワンダ・ヘンドリックス、グランドン・ローズ)