■ Dr. Jekyll & Ms. Hyde(1995)
リチャードは遺産としてもらったジキル博士の書類をもとに薬を作って飲んだ。
結果、リチャードはヘレン・ハイドとなった。交互にリチャードとヘレンに変化。
ヘレンはリチャードの部下と名乗ったが、社長や上司を篭絡し、リチャードの上司に収まった。


製作:1995年、脚本:ティム・ジョンなどン、監督:デヴィッド・F・プライス   予告編   予告編  


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 リチャード・ジャックス(ティム・デイリー)
 ヘレン・ハイド(ショーン・ヤング)
 セーラ・カーヴァー(リセット・アンソニー) - リチャードの恋人
 オリヴァー・ミンツ(スティーヴン・トボロウスキー) - 社長
 イヴェス・デュボワ(ハーヴェイ・ファイアスタイン) - 部長
 ピート・ウォルストン(ジェレミー・ピヴェン) - リチャードの部下
 ヴァレリー(シア・ヴィダル) - リチャードの秘書
 ウンターベルト夫人(ポリー・バーゲン) - 会長
 ラリー(スティーブン・シェレン) - セーラの友達、本人は恋人のつもり
 マニング(ジョン・フランクリン) - 他社の管理職、リチャードをスカウトする

本作は画面が頻繁に変わり、わりとえげつないドタバタが次々と展開する。もちろんこれが本作の特徴なのだが、そのまま解説していくと、なかなか大変。読む方も疲れるので、ある程度は省略しつつ紹介する。

なお明治時代にヘレン・ハイドと言う浮世絵師となったアメリカ人女性がいるようである。
 


■ あらすじ

◆ 遺産相続

リチャードは恋人のセーラと住んでいる。セーラは建築家。リチャードは香水を販売している会社の研究開開発者だが、自分の仕事にあまり意義を見出してはいないようである。しかしセーラは一生懸命にリチャードのアドヴァンテージを見つけて励ましている。

さてリチャードの叔父が死亡し遺産相続が行われることになった。大金持ちであり、かなりの分け前が予想される。リチャードはセーラと一緒にウキウキと出掛けた。

だがしかし、リチャードには叔父の祖父のホコリを被った研究ノートだけが譲られた。「僕がイタズラしたことを覚えてたんだ」と後悔した。

◆ ヘレン・ハイド出現

リチャードが一生懸命に開発した新製品も会長にメチャクチャに言われた。

自宅で相続した研究ノートを見ている。そして研究ノートが実はあのジキル博士のものであることに気が付く。

研究ノートを熟読した。ジキルは失敗したようである。しかし「女性ホルモンを付け加えればよいはず」と考えて調合した。飲み込んだ。注、ここでなぜか雨が降り出して雷が鳴る。

しか~し何も変化が起こらない。

さてここで突然マニング博士と会う約束であったのを思い出した。マニングは他社の管理職で、リチャードをスカウトしようとしている。着替えて飛び出した。

マニングと面談していた。ここでウェイターが持ってきた水をこぼしてリチャードの胸にかかった。ウェイターは謝る。リチャードはタオルで拭き取ろうとするが、なんか変である。タオルで拭くと胸がムズムズする。

次に腕から毛が抜けて柔らかい感じとなり、股間の膨らみがなくなり、髪の毛が伸びてきた。驚いたリチャードが声を発すると高く響いた。しかも女性言葉である。

マニングは茫然として見ている。リチャードは席を立って走り去った。その走り方も女性のようである。

会社の研究室。ピートが入ってきた。「リチャード、会議だぞ」。しかし返事はない。研究室の中のシャワー室に誰かいる。女性。

出てきた女性は、唖然としているピートに「見てるだけなの?タオルとってよ」と声をかけた。女性は「リチャードの助手、ヘレン・ハイド」と名乗った。

ヘレンは部長のデュボワにレポートを提出しに行った。自己紹介して「リチャード博士は休んでいます」と言い、さらに「評判は聞いております」とおべんちゃら。

◆ リチャードに戻った

ヘレンは「リチャードの頭と女性の体、二週間で会社は自分のもの」と言う。「まずは服が必要ね」と服をいろいろと買いまわる。広場でくるくる回って見て、うれしそう。

会社に戻ってきて、エレヴェータの前でオリヴァーに会う。また適当におべんちゃらを言う。「リチャードのレポートは素晴らしかった」「実は私が書いたんです」。

オフィスに入って秘書のヴァレリーに洋服のプレゼント。「リチャードが仕事を押し付けて悪かったと言ってたわ」。ヴァレリーは貰った服をほっぺにすりすりして喜んだ。

セーラがオフィスに来ていた。リチャードの助手と自己紹介した後にリチャードのことを聞かれたので「あなたに夢中よ」と答えた。そして「別居して」と助言。食事をして別れた。

しかし胸が小さくなり始めて手に毛が生えてきたので、急いで帰宅した。

チャードはベッドで目覚めた。隣にいるはずのセーラがいない。それと記憶が抜けている。注、セーラがいないのはヘレンの助言を実行したから。

リチャードは出勤した。今日はヴァレリーがやけに愛想が良い。「何かタイプするものあります?」。今までは仕事を指示しても、ずいぶんと嫌な顔をしていたのに。ヴァレリーは「ヘレンによろしく」と伝言した。

オリヴァー社長やデュボワ部長からも褒められた。しかし自分が褒められたのではないことに気が付いた。褒められたのはヘレン。

「ヘレンって誰だ?」と思ったが、とっさに「彼女は臨時雇いなんです」と切り抜けた。

しばらくして「これは薬のせいだ」と気が付いた。「なぜ女性になった?」。「女性ホルモンを入れたからだ」と言ってみれば当然の結論に到達する。

ジキル博士の書類を読んで「お互いに相手の記憶を保持できない」と書いてあることを発見した。

◆ 再度ヘレンへ、そしてリチャードへ

ヘレンは社長室に腰を振り振りしながら入っていった。そして「ピートはアホ、リチャードは私生活の立て直しが必要、なので私に研究をやらせて」とアピール。

ヘレンは研究室に戻った。ピートが新しいコロンを開発したそうである。女性を引き付ける効果がある。ヘレンは「自分でやってみれば」と言う。

ピートが席を外した隙にヘレンは硫酸を混ぜる。ピートが戻ってきてコロンをつけるが、硫酸のせいで火傷し慌てて出ていった。

ヘレンは悠然とタバコをふかした。注、リチャードはタバコを吸わない。

夜になって社長室に行った。怪しげな動作で挑発する。オリヴァーの目はギラギラ。オリヴァーの目の前て下着姿になった。

だがしか~し、ここでリチャードに戻り始めた。慌てて隣の部屋に飛び込んでカギをかけた。オリヴァーはもう興奮してしまって止められないので、なんとかドアをぶち破ろうとしている。

完全にリチャードに戻った。そして窓から出て別の部屋に行こうとしたが、植え込みに落下。リチャードは前を隠して自宅に戻った。

◆ 新製品

リチャードはオリヴァーから「ヘレンが上司」と言い渡された。ピートは包帯だらけの顔で「あの女は敵を容赦しない」と訴えた。リチャードは「僕が作った怪物を阻止しなければ」と言うが、パソコンで分析してみると、次第にヘレンの方が優勢になってきている。

ヘレンにセーラから電話がかかる。例のSM事件(下記「手錠事件」を参照)のことを聞く。電話を置いて「私を困らせる気だったのね。そのつもりなら相手になるわよ」と呟く。

ヘレンは、新開発の香水を持ってオリヴァーとデュボワと打ち合わせした。最初はあまり乗り気ではなかった二人は、しばらくすると新製品として発表することにした。

それはヘレンがテーブルに隠れて、二人の股間をスリスリしたからである。デュボワは営業部に出かけて指示をした。

発表会が大々的に開催されることになった。

◆ 注射

リチャードに戻って気がつく。ヘレンからヴィデオメッセージが置いてあった。「あなたを消す」と宣言。会社の会議に出席するが、追い出された。

リチャードは、研究室の監視カメラのテープを盗み出してきた。セーラと一緒に見た。リチャードがヘレンに変化する様子が映っていた。やっとセーラが納得した。

セーラに「ヘレンになった時に、注射をしてくれ」と依頼した。この注射をすれば、ヘレンは消滅し、二度とヘレンは現れない。手錠でベッドに括りつけられた。セーラは注射器を用意して待つ。

さてやっとリチャードがヘレンに変化し始めた。ヘレンに変化したことを確認して、セーラが注射する。しかし半分注射したところでヘレンが暴れた。セーラが倒れてイスを蹴とばした。そのイスが暖炉の火に飛び込んだ。火が付いて燃え上がった。

ヘレンが「私が死ねばリチャードも死ぬのよ。手錠をとってよ」と騒ぐので手錠を外した。ヘレンは跳び出した。セーラは火事をほっておいて、注射器を持って追いかけた。

◆ 会場

ヘレンは会場があるビルに駆けつけた。しかしラフな恰好では会場に入れない。ビルの入り口でドレスを着た女性から奪い取った。

会場でももうすでに多くの人がいる。みんなヘレンを待っていた。ヘレンはみんなの前に立って挨拶を始めた。

到着したセーラは、スカーフで顔を隠し、注射器を持って陰に隠れて、チャンスをうかがった。

ヘレンは、先ほど注射を半分打たれたせいか髭が生えてくる。しかしまた元に戻る。会場がざわついてくる。

隙を見てセーラはヘレンに突撃し、太ももに注射器を突き立てた。「私は女よ~っ!」と悲鳴を上げたヘレンはリチャードに変化した。

リチャードは女性の服のままで「この香水は私が開発したものです」と宣言。

観客はすばらしい演出/トリックと思い、会場からは拍手が沸き上がる。セーラが抱き着いてキスをした。さらに大拍手。
 


■ 補足

◆ ピートがやけど

ヘレンはずいぶんと性格が悪い。二度もピートを火傷させている。

一回目。ピートが「新しいコロンを開発した。女性に持てるようになる」とヘレンに言うと「自分で試してみれば」と言う。ピートが部屋の外に出たすきに硫酸を混ぜる。戻ってきてピートが、コロンをつける。

二回目。駐車場。ピートが車のそばでウロウロしている。ヘレンは車に通電させて、ピートを感電させる。ピートはバタンと倒れる。注、この時ピートは相手の女性がヘレンとは認識していない。

◆ ラリー

ヘレンがセーラに「(リチャードと)別居して」と言うので、セーラは素直にリチャードといるアパートを出ていく。そしてラリーと一緒に住む。

注、「別居して」という理由は、ヘレンの正体がバレるから。

ラリーはセーラを恋人と思っているが、セーラにとっては単なる友達。

ラリーが鼻を殴られる場面が三度ある。一回目。リチャードと喧嘩した時。二回目。セーラがヘレンに注射し、ヘレンがリチャードの自宅アパートのビルから飛び出してきたときにヘレンに。三回目。そのすぐ後、セーラがヘレンを追いかけてきたとき、セーラに。

◆ 手錠事件

リチャードが手錠をかける/かけられる場面が二回ある。

一回目。自分が女性(ヘレン)に変化する瞬間をヴィデオに撮ろうとする。自分の部屋でヴィデオを設定する。

ヘレンが勝手に動かないように、手首を手錠でベッドに結び付ける。男性の下着姿。手錠のカギは口にくわえている。

しか~し、ここでセーラとラリーが訪ねてくる。二人はリチャードを見て唖然とする。「SMだったのね」。そしてヘレンの下着も見つかる。

ここでリチャードは理由を説明しようと口を開く。すると加えていたカギが下に落ちる。

二人は「早く医者にみてもらって」と言って帰る。リチャードは下に落ちたカギを拾おうとするが、繋がれているので、カギを拾えない。

二回目。セーラも研究室の監視用のヴィデオを見て、リチャードがヘレンに変化することを納得した。

リチャードは、ヘレン変わった時に、注射をして元に戻してもらうようにセーラに依頼する。ヘレンが動くかもしれないので、手錠でリチャードをベッドにつなぐ。

◆ 裸事件

会社の中でヘレンの評判は上々、リチャードの評判はがた落ち、という状況になった。

そこでリチャードはヘレンの評判を落とすべく陰謀を図った。今までの経験からヘレンに変化する時刻は予想できる。ちょうどオリヴァーや関係者が研究室を訪ねてくる時刻である。

リチャードは上半身裸になった。そして会社やオリヴァーの悪口を自分の体に書きなぐった。そして皆を待った。

もうすぐである。しか~し、待ってもヘレンに変化しない。

そしてオリヴァーが皆を引き連れて研究室に来た。リチャードは悪口が書かれた上半身を皆にさらしてしまった。

◆ デュボワ部長

デュボワは同性愛者という設定。しかしヘレンと会った後「20年間治療しているのに女性に興奮した」と驚く。

別の機会、戸惑うデュボワにヘレンは「答えを教えてあげる、二人の秘密よ、いい子ね」と誘う。寝た後デュボワは「女とやるのは確かに違う」と感想を漏らす。
 


■ 出演作

◆ ショーン・ヤング
「ブレードランナー/Blade Runner(1982)」
「死の接吻/A Kiss Before Dying(1990)」
「カウガール・ブルース/Even Cowgirls Get the Blues(1993)」

◆ スティーヴン・トボロウスキー
「バード・オン・ワイヤー/Bird on a Wire(1990)」
「テルマ&ルイーズ/Thelma & Louise(1991)」
「ルームメイト/Single White Female(1992)」
「カレの嘘と彼女のヒミツ/Little Black Book(2004)」

◆ ジェレミー・ピヴェン
「シングルス/Singles(1992)」

◆ ポリー・バーゲン
「脱獄者の叫び (Cry of the Hunted)(1953年)」
「恐怖の岬(1962年)」
「女房は生きていた (Move Over, Darling)(1963年)」


「シェーン/Shane(1953)」
「セルラー/映画」
「ナイアガラ - Niagara (1953)」
「ハウス・オブ・カード/心の扉」
「ペギー・スーの結婚」