■ Naked City
モデルが殺され宝石が盗まれた。怪しい男友達、睡眠薬を処方した医師。


製作:1948年、脚本:アルバート・マルツ、マルヴィン・ウォルド、監督:ジュールズ・ダッシン   予告編   フル動画  


■ 登場人物(キャスト)

ジーン・デクスター(?) - モデル、殺された
ルース・モリソン(ドロシー・ハート) - モデル、ジーンの同僚
フランク・ナイルズ(ハワード・ダフ) - ジーンの知人、ルースの恋人、やっている仕事はわりと怪しい
ローレンス・ストーンマン(ハウス・ジェームズン) - 医師
フィリップ・ヘンダーソン(?) - ジーンのパトロン
ウィリー・ガルツァ(テッド・デ・コルシア) - レスラー
ビーター・バカリス(?) - ?、死亡
マーサ・スウェンソン(?) - ジーンのアパートを掃除している家政婦
ダン・マルドゥーン(バリー・フィッツジェラルド) - 警部補
ジミー・ハローラン(ドン・テイラー) - 刑事
ジェニー・ハローラン(アン・サージェント) - ジミーの妻
 


■ 事件の状況

ジーンがバスタブで死亡しているのが発見された。発見者はジーンの部屋を掃除に来た家政婦のマーサ。事件自体の目撃者はいない。26歳、独身。衣料品店の元モデル。両親はニュージャージー州に在住。本名はメアリ・バトーリー。

死因は溺死。喉と肩と腕に青あざがあり他殺と判断された。クロロホルムをかがされて生きたままバスタブへ捨てられたらしい。死亡時刻は午前1-2時。死体のあざの状況から犯人は二人(以上)と思われる。

ベッドの下で睡眠薬のビンが発見された。洗濯物カゴに男物のパジャマがあった。部屋の中で取れた指紋はジーンのものとマーサのもののみ。

本件とは別に港で男の死体が発見された。
 


■ ダンとジミー

本作は事件の捜査をダンが指揮し、ジミーなどが、その手足となって捜査していく様子が描かれている。

本作は1948年で、現在からみると少々古臭いが、いわゆる「足で稼ぐ捜査」を見ることができる。特にジミーが、いろいろなところに聞き込みに行く様子が描かれる。

またジミーと妻のジェニーの熱々の様子も描かれる。ジェニーの服装が奇抜。
 


■ 捜査の経過

◆ 主にマーサの証言

パジャマはフィリップ・ヘンダーソンのものかも?ボルティモアに住んでいるらしい。年齢は50歳くらい、身長が高く痩せ型。しかし一度見ただけなので詳しいことは知らない。

ジーンの指にしていた指輪は「ブラックスターサファイア」でインドの(ジーンの)兄から貰ったもの。他に宝石を入れた袋があったがなくなっている。注、後ほどジーンの両親からジーンは一人っ子であると判明する。

フィリップ以外にはフランク・ナイルズという知人がいた。

◆ 睡眠薬の聞き込み

睡眠薬のビンのラベルの薬局に行って調べると、処方した医師が判明した。ローレンス・ストーンマン。

ストーンマンに聞くと「興奮剤と睡眠薬を常用していた」とのことだが、しかし「ここへは一度来ただけで、あまり知らない」とも言う。

◆ 衣料品店の聞き込み

注、字幕では「衣料品店」の表示だが、かなりの高級品を販売している。

衣料品店の店主は「ジーンは馘にした」。理由はジーンは魅力的で夫婦客では夫がジーンに惹かれるので妻が嫌がるとのこと。

同店で同じくモデルをしているルース・モリソンを紹介してもらう。「ヘンダーソンという名前は初耳」。

◆ フランク・ナイルズ&ルース・モリソン

フランクが署に来る。注、フランクとどのようにして連絡がついたかは示されない。

ジーンとは一年ほど前から仕事上の関係とのこと。その他いろいろナイルズのことを聞く。このタイミングでルースが別室に来て待機。

「ルース・モリソンを知っているか?」と聞くと、一瞬知らないふりをした後「思い出した。モデルだ」と言う。「ヘンダーソンとは一度だけ会った」「中背でがっちりしていた。35歳前後」とマーサの証言とは異なる。

ここでルースが入室。ルースは「フランクはジーンを知らない」「私はフランクの婚約者」と言い、フランクの証言と矛盾する。この時点でフランクは容疑者となる。ルースは署をでていくが、ダンは「目を離すな」と指示する。

ここでフランクに対する情報が入り、フランクが軍歴や仕事のことで、ことごとく嘘をついていたことが判明する。

しかしアリバイは証明されたので帰すが、ダンは「奴を見張れ」と指示する。


◆ 捜査状況

手掛かりがないので、ダンは以下に指示を出す。
 ・ジーンの住所録の全員に聞き込みする。
 ・ジーンの指輪を宝石店をしらみつぶしに当たる。
 ・ボルティモア署に連絡してヘンダーソンを探す。
 ・引き続きパジャマについても聞きこむ⇒後ほどパジャマはジーンが購入したものと判明。

「これは難事件だ」と悩んでいたところで一気に情報が入る。

宝石店がフランクから600ドルで買ったという情報が入る。盗まれた宝石のリストと突き合わせるが該当しない。しかしストーンマン宅から盗まれたものと判明する。宝石店はストーンマンの紹介状を持ってきたのでフランクを信用した。

なのでフランクはストーンマンからの紹介状を持って、ストーマン宅から盗まれた宝石を売りに行ったことになる。注、後ほど判明するが、盗んだのはフランクではない。ここでストーンマンから盗まれたシガレットケースが問題となるが、本作は情報が錯綜しているように感じる。

フランクがメキシコ行の航空券を購入した。その後にフランクがルースと会った。つまりルースを騙しているっぽい。

ジーンがつけていた指輪は修理した宝石商からの情報でヒルトン夫人のものと判明。ヒルトン宅からはブラックスターサファイア他6200ドル相当が盗まれた。

◆ ヒルトン家

ダンとジミーはジーンがつけていた指輪を持ってヒルトン家に行って事情を聴く。ヒルトン夫人は「この指輪は卒業式の祝いに娘に送ったもの」と説明する。

ここで娘が帰ってくる。なんとルース・モリソン。「モリソン」は離婚した夫の苗字とのこと。

ジミーが「フランクに繋がった」というと、ルースはまた「フランクはジーンを知らない」と言い張る。「六週間前にフランクから貰った」というルースがしている指輪も調べると、C.フランクリンという女性から盗難届がでている。


◆ フランクのアパート

ダン、ジミー、ルースがフランクのアパートを訪問。ドアが開かないので強引に入るとフランクが倒れている。襲撃された直後で、ジミーが追跡するが見失った。

ジーンの現場と同じクロロホルムの匂いがする。フランクによると「荷物の詰め物をしていたら振り向きざまにやられた。誰かは分からない」。

ダンが「強盗なら何か盗んでいるはず」と言うとフランクは慌てて自分のバッグを調べる。一瞬慌てた表情をするが「いや何も盗まれてない」。そして「ライターはここに入れていた」とライターをポケットから取り出す。

結局、ルースに贈った指輪、ライターはジーンから貰ったもの。フランクの言うことはもうボロボロ。次にメキシコ行航空券を買ったことを追及。ルースは「昨日昼に会った時は航空券の話はなかった」「急に決まった」。ダンは「いや買ったのは午前中」と言う。

ルースは興奮して「ジーンのことは知らないはずでしょ!?」「信じない、愛してるの、結婚しましょ!」。ルースはフランクを何回も殴った。ジミーがルースを止める。

◆ ピーター・バカリス

イースト川の死体の身元が判明。ビーター・バカリス。死亡推定時刻はジーンの事件の後の午前3~6時。

ピーターは宝石泥棒で捕まったことがある。ダンは「本件とは無関係」と推察するが、ジミーはダンの許可を得てピーターについて調査する。

ジミーはピーターを逮捕した警官に話を聞く。逮捕時に「もう一人の犯人を取り逃がした」とのこと。その犯人は「体の大きな男で、ハーモニカも盗んだ」。名前はウィリー。苗字は不明。

ハーモニカは売って金になるわけではないので趣味だろうと見て、その線から聞き込みをする。かなりいろいろ回るが、レスリングの練習場で「ウィリー・ガルツァ」との情報を得る。ステタン島にいるらしい。

さら聞き込み捜査をするが、こちらもなかなか情報が得られない。しかし遊んでいた子供から「あのアパート」という情報を得た。最後はウィリーの逃亡・追跡劇が展開される。

ウィリーの捜索・追跡の場面がわりと長い。
 


■ 事件の真相

ヘンダーソンは実はストーンマン。ジーンを好きだった。

ストーンマン夫人がパーティーを開くときにストーンマンが出席者をジーンとフランクに知らせた。出席者の自宅は留守となるので、二人はウィリーとピーターに宝石を盗ませた。

ウィリーとピーターは分け前に関する不満からジーンを襲った。その後にウィリーがさらにビーターを殺した。
 


■ 疑問

ストーンマンの動機が不明確、弱い。さらにストーマンの宝石も盗まれているのが不可解。いわばストーンマンは一味だし、ストーマン宅は留守とはならない。

フランクとジーンの宝石のやりとりが無意味・不必要と思われる。
 


■ 蛇足

老女が来て「私は20代」「多数の男性から求婚されている」「満月から三日後の夜に犯人が自首する」。ダンは「ありがとうございます」と言って帰す。

青果店の店員が「自分がやった」と自首してくる。ダンは「彼女を刺したナイフはどこ?」と聞くと「分からないところに隠してある」。注、もちろんジーンはナイフで刺されていない。

ヒルトン夫人もかなり変。

ウィリーが街中で歩いているところを写されるという形でたびたび登場する。

テッド・デ・コルシア。「春の珍事」「海賊船長」「OK牧場の決斗」「暗黒街の野獣」。

バリー・フィッツジェラルド。「わが谷は緑なりき/How Green Was My Valley(1941)」。

ドン・テイラー。「アパッチ族の最後 Ambush (1950)」