■ State Secret(1950)


製作:1950年、脚本:シドニー・ギリアット、監督:シドニー・ギリアット  


■ あらすじのあらすじ

医師のジョンはヴォスニア政府から「功績を表彰したい」と招待を受けた。二日間の日程。表彰式などが行われ、次の日は公開手術。

患者の状態を確認するために顔の布を取ってもらった。ヴォスニアの独裁者ニヴァ将軍であった。表に出ているニヴァ将軍は替え玉。

独裁国家の独裁者の秘密を知ったジョンは出国を禁止された。

運転手を騙して空港に車を走らせたが途中で阻止された。町中が厳重警戒されており、公使館などには近づくことができない。

理髪店に隠れたが、上着を間違えられたので、別人の上着を着て出てきた。さらに劇場に逃げ込み、踊り子のイギリス人リサに匿ってもらった。

上着の持ち主セオドアは密輸業者で当局に捕らえられれば危うい身の上である。セオドアの世話で国境を越える手筈が整えられた。

リサと二人で湖を渡り、ロープウェイで山に登り、それから徒歩で国境を超える。かなり困難な道のりである。

ロープウェイの乗員がリサの手配記事に気が付き、追手が追いかける事態となった。

険しい絶壁を越えて行った。敵兵と遭遇したが、なんとか切り抜けた。山を下りた。国境の向こうに小屋があった。

小屋についた。しかしニヴァ将軍の写真が飾ってあり、まだヴォスニア国内であった。二人は捕らえられた。

ここでニヴァ将軍の替え玉が撃たれて死亡する事件が発生。撃たれたのは替え玉だが、それは本人が撃たれたのと同様の影響がある。

この事態に至って拘束する理由はなくなり、二人は解放された。
 


■ 登場人物(キャスト)
 ジョン・マーロー(ダグラス・フェアバンクスJr) - アメリカの外科医
 ガルコン(ジャック・ホーキンス) - ヴォスニアの大佐
 リサ・ロビンソン(グリニス・ジョンズ) - 歌手
 セオドア(ハーバート・ロム) - 密輸業者
 ジークリスト(ハンス・モーザー) - セオドアの手下

■ あらすじ

◆ ヴォスニアへ

アメリカの医師、門脈圧亢進症の手術の第一人者ジョン・マーローは、イギリスの研究機関に滞在していた。突然ヴォスニア政府から手紙が届き、さらにヴォスニア公使が訪問してきた。ヴォスニアで制定されている賞をジョンに授与して、さらに表彰式を行うのでヴォスニアを訪問してほしいとのことである。

ヴォスニアについては名前を知っているくらいで、知見も親近感もなかったが、せっかく自分の業績が評価されたので訪問することにした。二日間の日程。国会での表彰式、バーティそして公開の手術となかなか忙しい。

到着してガルコン大佐に出迎えられた。他の行事はつづかなく進んだ。二日目になって公開手術が行われた。患者が手術台に横たわっている。顔は布で覆われている。

手術は進んでいったが、途中で患者の状態を確認する必要に迫られた。顔の布を取るように指示した。少しの躊躇の後に布が取り去られた。なんと患者は首相のニヴァ将軍である。ヴォスニアの独裁者。

手術が終わり、後はイギリスに戻るだけとなった。しかしガルコンより「出国はできない」と申し渡された。ニヴァが病気であることは、国内・国外を問わず重大な機密である。すでにイギリスの研究機関には「用事ができて帰国できない」と知らせてあるらしい。

「アメリカ公使館に連絡を」と要求したが拒否された。丁重な扱いではあるが軟禁状態になった。もし脱出しようとすると、銃殺されて、それは「不幸な事故が発生したと処理される」と脅された。

◆ 理髪店

ジョンは運転手を騙して車を空港に向かって走らせた。それを察知したガルコンが追いかけた。

海沿いの道を飛ばす。しかし次第に距離が詰まってくる。市街地に入った。路面電車が道をふさいでいた。ジョンの車は立ち往生。やっと電車が動いた。車は発車したが、大幅に距離を詰められた。ガルコンの車が追いついた。しかし車にはジョンはいなかった。

ジョンは先ほどの電車に乗り換えていた。ジョンは公使館に電話しようとするが、もうそこいらじゅうで警官が警戒している。

あまりにも危ういのでビルの地下の理髪店に入った。「髭を剃って」と言って座ったが、気持ちが焦るので止めて、上着を着ようとしたが、自分の上着がない。上着を間違えられたらしい。仕方がないので、その上着を着て外に出た。

依然として厳重な警戒がなされている。公使館に近寄ったが「暴動が発生した」という理由で回りは警官が警戒している。本当の理由であるかは、かなり怪しい。

◆ リサ

依然として厳重警戒状態が続いている。劇場の前に列ができていたので、その列に入る。劇場に入った。

中では、三人の女性が歌を歌っていた。歌を聞いている間も気が気ではない。歌が終わって観客が出ていく。外にでればまた厳重警戒状態なので楽屋に入った。

先ほどの歌っていた女性がいた。英語の歌だったので英語が話せるかと聞いてみた。名前はリサ・ロビンソン。母親がイギリス人だそうである。しかし迷惑そうな顔をした。正直に「警察に追われている」と話した。以降リサは、常に迷惑そうな顔をしながらも次第に深入りしていく。

リサのアパートに行った。しばらく話した後「用心のため」に眠り薬が入れられたココアを飲んで眠った。

目を覚ますとリサが拳銃を構えている。「アメリカ人と言うのはウソ、密貿易をしているセオドア」。上着に入っていた身分証と書類を見たらしい。ジョンはリサの拳銃を叩き落した後で釈明した。セオドアは今夜イギリスに出発するらしい。

リサは、それでも信用しなかったが、同じアパートに住んでいる劇団の男性がジョンを目撃した後に警察に電話をしているのを聞いて、ジョンを話を信用した。

二人はアパートを出た。依然として厳重警戒。

◆ セオドア

リサが「セオドアのところに行こう」と思い付いた。身分証を見るとすぐ近くである。上着のポケットにあった鍵でセオドアのアパートに侵入した。同じくアパートと言いながらリサとはずいぶんと違い立派なもので、金を持っているらしい。

セオドアが戻ってきたのでリサの拳銃で脅す。セオドアは上着を間違えたことを後悔した。セオドアに「イギリスに手紙を持っていってくれ」と要求。その手紙には、ヴォスニアの国家機密とジョンの状況を説明する。

ジョンが手紙を書いている隙にセオドアは拳銃を掠め取ってジョンに向けた。リサが「弾が入ってない」。

セオドアと押し問答になる。セオドアに「ニヴァが病気」とばらす。セオドアも密貿易をしており後ろめたい。さらに国家機密を知ってしまった。ジョンは「警察にばらしたらどうなる?」と言う。その場合にはジョンの命も危ない。決死の駆け引きである。

セオドアは取引に応じる。「しばらく待ってくれ」と外出した。リサは「信用ならない男に騙された」と心配したが、セオドアは「脱出の手配ができた」と戻ってきた。

◆ ロープウェイ

セオドアの車で出発した。湖を渡ってロープウェイで上って、そこから山から国境を超える手筈である。ジークリストという手下が案内するらしい。

湖の船着き場でも警戒が敷かれている。セオドアは警備員とこそこそ話した。警備員とは懇意らしい。ここでセオドアと別れて船に乗った。

船を降りて、さらにロープウェイに乗って上っていく。他の観光客もいる。ロープウェイの乗員が新聞を広げて読んでいる。裏面にリサの手配情報が載っていた。二人は慌てて乗員の前に立って、他の人の眼に触れないようにした。新聞を裏返そうとしたので、ジョンが話しかけて止めさせた。

終点について降りた。しかしロープウェイが下りる途中で乗員は改めて新聞を開いてリサの手配情報に気がついて当局に連絡した。

二人はジークリストに合流した。

◆ ジークリスト

ここから山越えとなるが、通りやすい道は警戒が敷かれているので、とんでもない山道である。いや道ではなく絶壁である。絶壁をロープを頼りに渡っていく。一方ガルコンも追跡部隊を繰り出した。

ジークリストでさえも、あまり知らない道である。進んでいって行き止まりとなって、また戻ったりする。落ちそうになって、危うくロープで救われる。追跡部隊も迫ってきた。

ジークリストが様子を見るために、一人で上っていく。しかし敵の兵士に撃たれて絶壁を落ちて行った。

事態を察知した二人は進んでいくが、行き止まりになったので、また戻っていく。しかし先ほどの兵士が待ち構えていた。銃を突き付けられた。

隙を見てリサがフェイントをかけてジョンと兵士の格闘となる。絶壁の狭い道での格闘。けっきょく銃を奪い取って突き付けた。

そのまま絶壁を上って、ながらかな道が続いているところにでた。下に小屋が見えた。その小屋は国境を越えたところとのこと。兵士を殴り倒して、小屋の方に降りていった。

◆ ラスト

その小屋についた。しかしそこにはニヴァの写真があった。まだ国境を越えていない。兵士たちに追いかけられた。二人は慌てて逃げ出したがリサが撃たれた。リサを抱えて逃げようとしたが取り囲まれた。

小屋に連れ込まれた。ガルコンが待ち構えていた。周りは兵士たちが厳重に警戒している。ガルコンは「逃げ出すのは自由だが、事故として処理される」と前と同じように警告する。

ガルコンによればニヴァの演説が行われようとしている。そのニヴァは替え玉。群衆は遠くからニヴァを見るだけなので、替え玉とは分からない。そしてその後にニヴァは引退を表明する。これですべてうまく運ぶ。

しかし突然連絡が入った。ニヴァ(の替え玉)が、演説の最中に反政府勢力に銃撃されて死亡した。ここでガルコンは「銃撃されたのは替え玉だが、本物のニヴァが射殺されたのと同じこと」と説明する。

この事態に至って、二人を拘束する理由はなく二人は解放される。国境を越えて、さらに飛行機でイギリスに向かって飛び立った。