■ ロストボディ


製作:2012年、脚本:オリオル・パウロ他、監督:オリオル・パウロ   予告編   予告編   フル動画


■ あらすじ

本作はスペイン映画。

アレックス・ウジョア(ウーゴ・シルバ)は、かっては大学の講師。山道で車が故障し困っていたところで、マイカ・ビジャベルデ(ベレン・ルエダ)に助けてもらった。マイカの方が年上であるが、それをきっかけに付き合い始めて結婚し、さらにマイカが経営する会社に転職した。アレックスは形式的ではあるが社長となった。マイカは社長夫人である。

マイカは親から譲り受けた会社をいくつも経営している。マイカ自身も有能でM&Aなどで事業規模を拡大している。

マイカの性格はよく言えば奔放であるが悪く言えば自分勝手である。いや、悪く言った方の表現がおおむね正しい。これは例を挙げた方がよいだろう。アレックスとの結婚式の時、神父より誓いの言葉を求められたが拒否し、周囲は凍り付いた。数秒後にマイカは笑い出して「誓います」と答えた。

もう一つ挙げておこう。マイカはアレックスの前で秘書に電話をかけて、アレックスの解雇通知を作成するように指示した。しかしこれは電話機を取って喋っただけで実際に秘書と話したわけではない。困惑するアレックスに「あなたってマジメなのね」と言った。

マイカはこのような人物である。しかしアレックスを嫌いなわけではないようである。アレックスは、このようなマイカに辟易していた。

アレックスは講師時代にカルラ・ミレル(アウラ・ガリード)という学生と知り合った。最初は教師と学生という間柄であったが、次第に深く付き合うようになった。

マイカと別れてカルラと一緒になりたいと願うようになった。しかしマイカとは結婚時の契約があり、離婚すると財産は貰えずに一文無しになってしまう。

アレックスはマイカの殺害を計画した。カルラにそそのかされたとも言えるし、またアレックス自身が望んだとも言える。アレックスの会社が製造するTH16という薬品がある。これを飲むと八時間後に死亡し、その後は検視・検死してもまったく証拠が残らないという殺害には都合がよい薬品である。

マイカが海外出張から帰った朝、アレックスはTH16を入れたワインをマイカに渡した。マイカがワインを飲んだのを確認して、そのまま出勤し、帰宅後にマイカの死亡を確認して警察に連絡した。マイカの遺体は検視・検死のため、森の中にある遺体安置所に移送された。

しかし遺体安置所で異常な事件が発生しアレックスは呼び出された。
 ・警備員が何かを恐れて逃げ出して、車に轢かれて意識不明となった。
 ・マイカの遺体がなくなった。
 ・警備用のカメラの電源が一台を除いて切られていた。
 ・管理室のパスワードが変更されていた。しかもそれはアレックスの研究室のパスワードと同じである。

捜査を担当したペニャ・ハイメ警部(ホセ・コロナド)は、証拠はないもののアレックスがマイカを殺したと疑っているようである。

アレックスはマイカにTH16入りのワインを渡した。マイカが飲んだのは確認したが、その前にもしかするとグラスを取り換えたのかもしれない。「マイカが実は生きているのでは?」との疑念を抱く。

飲むと仮死状態になり、後で正常に回復するという薬品がある。間違うと危険ではあるが「マイカならやりかねない」と考える。

また研究室のパスワードはマイカに知られていたらしい。「何にでも日付を使う」。そしてその日付はアレックスとカレラが初めて会った日である。

アレックスは「マイカが生きていて、自分に復讐しようとしているのでは?」と考える。

蛇足。本作は時間順序がシャッフルして展開される。