The Hand That Rocks the Cradle

クレア(アナベラ・シオラ)は妊娠中に産婦人科に怪しい行為をされて、それを告発した。医師は自殺した。
出産後、ペイトン(レベッカ・デモーネイ)という住み込みの家政婦を雇った。
ペイトンはクレアの子供のエマや生まれたジョーに優しく接した。他の仕事もまじめにこなした。
しかし次第に怪しい行動をし始める。


製作:1992年、脚本:アマンダ・シルヴァー、監督:カーティス・ハンソン


■ はじめに

登場人物
 マイケル・バーテル(マット・マッコイ)
 クレア・バーテル(アナベラ・シオラ) マイケルの妻
 エマ・バーテル(マデリーン・ジーマ) マイケルとクレアの娘
 マーリーン・クレイヴン(ジュリアン・ムーア) マイケルとクレアの友人
 ソロモン(アーニー・ハドソン)
 ペイトン・フランダース(レベッカ・デモーネイ)
 


■ あらすじ

本作は「サイコ・サスペンス」と紹介されているが、あまりそのような雰囲気ではない。注、批判しているわけではない。それでよい。

クレア・バーテル(アナベラ・シオラ)は妊娠中。喘息の持病があり、何かあると薬が必要になる。夫マイケル(マット・マッコイ)は学者。娘のエマ(マデリーン・ジーマ)がいる。クレアは植物が好きで、自宅の庭に温室を作る計画を持っている。

また自宅の柵を作ったりするために、ソロモン(アーニー・ハドソン)を派遣してもらっている。ソロモンは、少しばかり知能が弱く、そのような人を世話する組織から派遣されている。知人のマーリーン・クレイヴン(ジュリアン・ムーア)とは仲が良く、家族ぐるみの付き合いをしている。マーリーンは不動産の仲介の仕事をしている。

さてクレアは、産婦人科医マットの診察を受けに行く。事情があって医者が代わり、今回が初めてである。しかしそのマットは診察する振りをして、怪しげな行為に及んだ。少なくともクレアは、そのように感じた。マイケルに話し、マットを医師会に訴えることになる。他にもそのように訴える女性が現れ、マットは自殺した。マットの妻はちょうど妊娠中であったが流産してしまった。またマットの自宅は差し押さえられた。

クレアは半年後に出産。ジョーと名付けた。そして温室を作り始めた。ソロモンには相変わらず、仕事をお願いしている。エマも彼が好きなようである。

さて一家は、ペイトン・フランダース(レベッカ・デモーネイ)という女性を住み込みの家政婦として雇うことになった。注、吹替えでは「乳母」となっているが、子供の面倒を見るだけではなく、いろいろな用事をする。ペイトンは、ジョーを自分の子供のようにかわいがり、他の仕事も熱心である。

またペイトンはエマとも仲良くなる。クレアがエマには(教育上)見てはいけないと言っているテレビをこっそりと二人で見たりして、二人で「秘密クラブ」を作る。またエマを虐めている男の子を制裁する。ジョーを連れて散歩をしていると「目が似ている」と言われて、ペイトンの子供だと間違えられる。

しかしペイトンはじゃっかん怪しげである。次第にペイトンが変わっていく。

ジョーに自分の胸から授乳する。クレアはジョーが母乳を飲む量が少なくなったので心配するが「体重が増えているなら心配ない」と言われる。クレアはマイケルの仕事の企画書を送付することになっていたが、それを隠し取り破って捨てる。

ペイトンは、マイケルの勤務先に訪ねてきて、クレアを誕生パーティを開いてびっくりさせたいという。マイケルも同意し、マーリーンにも手伝ってもらうことになる。

ジョーに授乳しているところをソロモンに見られてしまった。ペイトンは「エマに対するソロモンの態度が何か変」と嘘の告げ口をしたり、エマのパンティをソロモンの荷物の中に入れて、結局ソロモンは解雇される。エマは悲しそう。

しかし二人の子供には、愛情をもって接している(ように見える)。ジョーが泣いている時、クレアが抱いても泣き止まないが、ペイトンが抱くと泣き止む。エマとは相変わらず仲が良いようである。逆にクレアとエマはじゃっかんぎくしゃくしてくる。

クレアとマイケルの仲もおかしくなってくる。マイケルとマーリーンが誕生パーティの件で打ち合わせして遅く帰ってくると「職場に電話してもいなかった」と言う。誕生パーティの件はクレアには秘密なので、マイケルはあいまいな返事をする。

クリーニングに出したマイケルのシャツからライターが見つかる。クレアはマイケルを怪しむ。マイケルは、飲んだ時などにたまにタバコを吸う。マーリーンとの打ち合わせの時にタバコを吸っている。注、だがしかしマーリーンと会った時はライターではなくマッチで火をつけている。こんなところはきちんとやってほしい。

じゃっかん隙間風が吹いているので、マイケルとクレアは、エマとジョーを連れて旅行に出かける。

さてペイトンの行動がいよいよ怪しくなってくる。温室のドアに細工をして、ドアを開けると天井のガラスが落ちてくるように仕掛ける。

マーリーンは担当する不動産の物件を見ていて、あることに気がつく。その物件の軒下にある飾りに見覚えがある。図書館に行って過去の新聞記事を調べる。急いでクレアに電話を掛けるが、クレアは温室関連のことで外出中でペイトンが出る。

マーリーンは訪ねてきてペイトンを追求。温室に入るが、上からガラスが落ちてくる。マーリーンを直撃して倒れる。ペイトンは、その間にクレアの喘息の薬を使い切った状態にする。

クレアが帰ってきて、マーリーンを発見して、警察と救急に電話しようとするが、喘息の発作。しかし薬はない。この間ペイトンは(意図的に)外出している。そして戻って来ると救急車や警察が来ている。

マーリーンは死亡し、クレアは入院する。注、ガラスが落ちてきただけで死ぬとは思えないが、そのようになっている。

クレアは喘息での入院から退院した。その退院の様子をソロモンが見ている。

クレアはペイトンが隠し持っていたメモを発見。メモを元に売りに出されているある家を見に行く。マーリーンが見た物件と同じものである。部屋の壁紙には見覚えがある。戻ってきたクレアはペイトンを殴り倒す。

ペイトンは解雇されてでていく。しかし実は合鍵を隠し持っており、侵入したペイトンとマイケル、クレア、ソロモンとの対決となる。
 


■ 蛇足

ここまでわりとだらだら書いた。みなさんにはお分かりのようにペイトンはマット医師の妻である。ベイトン(これは偽名)はマットの妻として最初の方で出てくるので、本作を見ていれば、ペイトンがマットの妻であることは最初からはっきりしている。その意味ではミステリー性はない。

本作は、(最後を除けば)荒っぽいところはなく、またむしろペイトンの子供に対する愛情が表現されている。サイコ・サスペンスとしては、作り方が甘いともいえるが、むしろ、こちらの方がよろしいかと思う。

ペイトンの意図は、マイケルとクレアへの復讐とともに、二人の子供を自分の子供にすることにある。ペイトンはエマに「三人(ベイトン、エマ、ジョー)で暮らしましょう」とも言う。