Big Nothing

妻が警官で失業中のチャーリーは町のコールセンターに就職した。しかしその日のうちに解雇された。
隣席のガスから犯罪の話を持ち掛けられた。いかがわしいことをしている牧師を脅して金をとる。チャーリーは単に酒場に行って、ガスのアリバイを作るだけで済む。近くで話を盗み聞きをしていたジョージーも加わった。
酒場に行って「今ガスはガソリンスタンドで」と話した。しかしガソリンスタンドのオーナーが隣にいて、今日は休みだそうである。
慌てて牧師の家に駆けつけた。外には死体、汚水槽に捨てた。入ってガスに確認すると「俺は殺してない」。
以降、警官、牧師の妻が殺され、怪しげなFBI捜査官とチャーリーの妻が登場。さらに死者が続く。


映画関連目次(闇雲映画館)

製作:2006年、脚本:ジャン=バチスト・アンドレア、ビリー・アッシャー、監督:ジャン=バチスト・アンドレア


■ あらすじ

チャーリー・ウッド(デヴィッド・シュワイマー)は元は教師だが失業中。「空にしない脳の鍛え方」と言う本を書いてはいるが、売れそうもないのが現実である。妻のペネロペ(ナターシャ・マケルホーン)は巡査部長。二人にはエミリー(オリヴィア・ピーターソン)という娘がいる。家族関係はよく、ペネロペはチャーリーのこのような状態は気にしていない。

ペネロペは、当地で発生している連続殺人事件の捜査で忙しいようである。犯人は「オレゴンの葬儀人」と呼ばれている。FBIも捜査に乗り出した。「目玉」と言うニックネームのチェスター・ハイムス(ジョン・ポリト)。腕利きの捜査官。なおワイオミングウィドウと言われるタリウムを使う殺人犯も暗躍している。

しかたなくチャーリーは町にあるコールセンターに就職することにした。大きなセンターで町民の半数がここに勤務しているそうである。管理職のつもりだったが単なるオペレータ。しかしペネロペには管理職だと言っている。

隣で仕事をするのはガス(サイモン・ペグ)。チャーリーはずいぶんと博識である。しかしそのような人間にありがちではあるが、世渡りは上手ではない。ガスの悪ふざけもあって、初日に解雇されるという事態になった。

ガスは申し訳ないという気持ちもあったのか、一緒に行った酒場モンキーレンチで、ある計画を持ちかけた。スモールズという牧師がいかがわしいサイトに頻繁にアクセスしている。スモールズを脅して金を貰おうという計画である。

妻が警官でもあり実直なチャーリーは、いったん断るが「アリバイ工作をするだけでいい」と言われて引け受ける。ガスが金を受け取っている間、モンキーレンチにいて「ガスはガソリンスタンドに行っている」と話をするだけである。そのガソリンスタンドは盲目の老人(ジュリアン・グローヴァー)がやっている店である。

単に金を脅し取るだけで、スモールズはガスを訴える心配はないので、なぜアリバイ工作が必要なのかはわからないが、ガスの奥深い考えがあるのだろう。

さて二人の話を盗み聞きしていた人物がいる。ジョージー・マクブルーム(アリス・イヴ)。ガスの知り合いで元ミスティーン・オクラハマらしい。けっきょくジョージーがスモールズに電話をかけることになる。

ジョージーが電話をかけるが、10万ドルの予定だったものを20万ドルに勝手に変更。それはよいとしてチャーリーが計画通り、モンキーレンチにきて「ガスは今ガソリンスタンドに」と店主に話していると、当のガソリンスタンドの老人が隣に座っているではないか。今日は閉店だそうである。

一方ガスはスモールズ牧師の家に侵入するが、拳銃を突きつけられる。

予定が狂ったチャーリーはスモールズの自宅に急行する。中で男が死亡している。その死体を外に運んで汚水槽に捨てる。中に入るとガスがいたので「スモールズの死体を捨てた」と言うとガスは「殺してない」という。ガスの説明によると、銃を取り上げようともみ合いになり、花瓶で頭を殴ったとのこと。チャーリーは受け取っていた名刺を元にジョージーに連絡する。

二人はいったん外に出る。が、ジョージーの名刺を忘れてきたということで、また戻る。この時いかがわしいDVDを見つける。スモールズは、このようなDVDを販売して金儲けをしていたらしい。

再度外に出ると警官が立っている。ガーマン巡査(ビリー・アッシャー)。「牧師の死体が見つかった」。いろいろと質問される。しかしガーマンに上司から呼び戻しの電話が入る。相手はペネロペ。つまりチャーリーの妻である。一応嫌疑なしということで立ち去ろうとする。

しかしガーマンは、外にでて「何かを引きずった跡がある」と戻ってくるので、二人はガーマンを殴り倒して手錠をかける。

ここで気弱になったチャーリーは「自首する」と言ってドアを開けて出るが、そこで拳銃を突き付けられる。そしてガスのいる部屋に逆戻り。二人とも拳銃を突き付けられた状態となる。

牧師の妻(ミミ・ロジャース)である。妻の話を信用すればスモールズは怪しいヴィデオを作って金を200万ドルを稼いだ。妻は不倫相手の男と、金を奪って逃げるつもりである。チャーリーが処分した死体は不倫相手である。そしてスモールズは、すでに二人に殺されている。

ここまで話したところで、突然妻が倒れる。頭に斧が打ち込まれるという衝撃的な姿である。そしてジョージーが姿を現した。可愛い姿には似合わない蛮行である。

三人は200万ドルを発見する。ガーマンは「トイレに行きたい」と言って逃げるが失敗して死亡。

三人は二人の死体を処分するために、車に乗せて出発する。途中でチェスターに呼び止められるが「この荷物は何だ?」「死体なんです」と冗談(!)を言って、なんとか切り抜ける。注、ここではFBI捜査官とは分からない。

さて町から離れた岬について、死体を処分しようと停車すると一つ少ない。妻の方である。斧が打ち込まれたのに生きていたらしい。元の道を急いで戻っていると誰かを引いた。問題の牧師の妻である。

今度は本当に死亡しているらしい。しかし通報があってパトカーが来た。そして降りてきたのは、なんとペネロペ。「チャーリー、飲み会じゃなかったの?」と聞かれるが、なんとか切り抜ける。ペネロペは部下のガーマンに電話をかけるが応答しない。なぜならば死亡しているから。

その後警察で事情聴取される。チェスターもいる。しかしなんとか釈放される。注、車のトランクは調べなかったらしい。

さてガーマンの死体を処分しようと車を止めたところ、チェスターが現れた。拳銃を構えている。「尋問してもどうせ嘘を言うので後をつけた方が早い」ということらしい。ちょっとごたごたと展開するが割愛。結果はチェスターはガスを脅して射殺し金を奪う。もちろんチェスターもワルである。

チェスターが車に戻って運転席に座ると、後の席からジョージーが拳銃を突き付ける。

ところでチェスターは糖尿病である。インシュリンをきちんと投与しないと死亡する。ジョージーとチャーリーは、インシュリンを投与させず、飴を食べさせる。チェスターは倒れる。

さて一番のワルはジョージーである。今度はチャーリーに拳銃を突き付ける。実はジョージーはワイオミングウィドウ。チャーリーに「拳銃かタリウムか」と選択させる。けっきょくチャーリーはタリウムを飲んで死亡する。

ジョージーは金が入ったバッグを開ける。200万ドルを手に入れた!




はずであった。だが、中身は空。
 


■ 蛇足

本作の不満点は、ストーリーが夜なので画面が見にくい、それと死者が多すぎる。

登場人物を引き算していけば、200万ドルを手に入れたのは誰だか分かるだろう。100ドル札が100枚の札束であれば、200束になる。画面に映っていたバッグには、なんとか入るか?ちょっと厳しいかも?しかしバッグの中には200束も入っている雰囲気ではない。

拳銃を突きつける場面がやたらと多い。10回くらい?引き金を引くのは1回。

就職した日の夜(=解雇された日=犯行の前日)。チャーリーは、後ろめたい気持ちもあってペネロペに「僕が悪いことをしたらどうするか?」と聞くと「逮捕する」。「どうしてもやむをえない事情があったら?」と再度聞くと、ペネロペは困って「いい男は逃がさない」と逃げる。