■ Paper Moon(1973)/孤児になった少女が中年男と詐欺をしながら旅をする


製作年:1973年   予告編   予告編


■ あらすじのあらすじ

母親が死亡してアディは孤児になった。身寄りは遠くにいる伯母さんだけ。たまたまそちらに行く用事があったモーゼが連れていくことになった。

ところでモーゼは詐欺師。最近の手法は新聞で訃報を見て「故人が聖書の契約をしていた」と偽って聖書を売りつけるもの。二人は、この詐欺をしながら旅をしていった。

アディもモーゼの詐欺に積極的に協力した。釣銭詐欺なども習得した。

途中でモーゼはトリクシーという女性にイカレテしまって一緒に旅をすることになる。もちろんアディは不満。

アディはホテルのフロントマンとトリクシーを騙して、お互いに気があるように仕向けて、モーゼとトリクシーを引き裂いた。

また二人は密造酒を販売している男から酒を盗んで、なんとその男に売りつける。金を貰って逃げたが、バレてしまって、追い詰められて、もともと持っていた有り金も奪われてしまった。

そのようにしているうちに伯母さんの家に到着。二人は別れる。

しかしアディは叔母さんよりも、モーゼの方がよかったので逃げ出してきて、またモーゼと一緒に旅をすることになった。
 


登場人物(キャスト)
アディ(テータム・オニール)
モーゼ(ライアン・オニール)
トリクシー(マデリーン・カーン)
イモジン(P・J・ジョンソン)
ハーディン保安官(ジョン・ヒラーマン)
ジェス・ハーディン(ジョン・ヒラーマン)
 


■ あらすじ

アディ(テータム・オニール)とモーゼ(ライアン・オニール)がアディの伯母さんを訪ねていく物語。

アディは9歳。9歳というと可愛らしい女の子のことが思い浮かぶが、少しも可愛くない。いや顔は少しばかり可愛いのは認めてやってもよい。よく言えば人に媚びるようなことはないということになるが、無表情である。いや、憎らしい。それに9歳にしてタバコを吸う。何回も吸う。ちなみにモーゼがタバコを吸うのは終わりに近いところで一回だけ。

⇒ アディは可愛くない
⇒ アディはタバコを吸う

アディが伯母さんのところに行くことになったのは、母親が交通事故で死亡して身寄りがいなくなったためである。それでたまたま伯母さんの近くに行く用事があるモーゼが連れていくことになった。

そもそもアディの父親はと言うと誰だか不明である。アディはモーゼに「私のパパじゃないの?」と聞く。モーゼが否定しても何度も聞く。「でもママとバーで会ったんでしょ?」とも言う。

⇒ アディは疑り深い

モーゼは母親の死亡の件で、事故を起こした加害者の兄と交渉して200ドルを貰う。アディは「それは自分のもの」と主張する。この主張自体はアディが正しい。モーゼもずるい人間で、二人で押し問答するが、アディは決して引き下がらない。これに関しては結局アディが勝つ。これで二人の力関係が決まる。以降はアディが二人の所持金を管理する。モーゼは「今、いくらある?」とアディに聞く。

⇒ アディはしぶとい

さてモーゼは詐欺師である。最近の手法は、新聞の訃報をチェックして訪問し「ご主人が聖書を注文されていました」と嘘をつく。故人が注文したものなので、たいていの場合には妻は代金を支払う。代金は8ドルだが、前金を1ドル貰っていることになっているので7ドルを貰う。これは1930年代の話なので、7ドルと言えば大金ではないが、書籍の代金としてはそれなりである。

さてアディは、この時に横から口を出して、12ドルとか24ドルを吹っ掛ける。この時だけは可愛い顔をしている。それでそれだけの金額を支払ってもらう。モーゼも呆れてしまう。24ドルの家では、小遣い5ドルも貰う。

⇒ アディは強欲である

しかし、子だくさんで貧乏そうな家では「パパ、忘れたの?お金は頂いてたでしょ」という。後でモーゼがクレームをつけると「大統領は助け合えって言ってるわよ」と言う。

⇒ アディは、たまには慈悲心を発揮することもある。

モーゼは釣銭詐欺も得意である。札を出して、さらに両替をしてもらう。これを繰り返して、レジ係が何が何だか、分からなくなるうちに、金をくすめる。もちろんアディもすぐにこれを習得する。

⇒ アディは金のことに関しては習得が早い

このような旅を続けているうちに、トリクシー(マデリーン・カーン)という女性と一緒に旅をすることになった。イモジン(P・J・ジョンソン)という小間使いの女性を連れている。イモジンは15歳?。イモジンは自分の年齢をはっきりとは憶えていない。アディは、トリクシーが気に入らない。車に乗るのを拒否したりするが、結局あるホテルに泊まる。

アディには関係のない大人の話ではあるがモーゼとトリクシーはお互いその気があるようではある。

トリクシーがトイレにたびたび行くので「よく行くわね。豆粒くらいのボーコーよ」。また車の後ろに乗れとモーゼに言われると「乳牛のために後ろは嫌」。注、トリクシーは胸が大きい。

⇒ アディは口が悪い

モーゼは、アディが管理している金をくすねて、車を新しくする。もちろんトリクシーを喜ばせるためである。

ここでアディはイモジンを買収して、やたらと手の込んだ作戦を実行する。行数がかさむので要約すると、ホテルのフロントマンとトリクシーに手紙を偽造して、お互いを相手が好きであると勘違いさせる。そしてフロントマンをトリクシーの部屋に送り込む。そしてその現場にモーゼを行かせる。当然モーゼはトリクシーを残して出発する。

⇒ アディは目的のためには手段を選ばない

二人はある店にいる。一人の男が何度も出入りしている。怪しいと睨んだアディは、モーゼにそのことを話す。

アディが後をつけると、密造酒を保管している倉庫があって、そこから酒瓶を運んできて、それを売っている。二人は、密売屋の倉庫に忍び込んで酒瓶を盗んで、なんと元の持ち主に売りつける。

⇒ アディは金のことには嗅覚がある

大金を得るが、しかしバレて保安官に捕まってしまう。保安官の兄が密売屋だったりする。例の「禁酒法」は1933年までで、本作の時代とは微妙であるが、保安官が「禁酒法の元では...」と発言する。

アディは「トイレに行きたい」「怖いから一緒に来て」とモーゼと部屋を出る。監視役もついてくる。が、その隙に監視役を振り切って逃げだす。モーゼは慌ててついてくる。

⇒ アディは逃走するのは速い

詳細は省略するが、二人は警察権が及ばない州境を越えて逃亡に成功するものの、保安官に追いつかれて殴られ所持金をすべて奪われてしまう。残ったのはアディが別に隠し持っていた10ドルだけ。それ以前に儲けた金も取られてしまった。注、この時だけはモーゼが金を持っている。

そうこうしているうちにアディの伯母さんの家に到着。モーゼに促されて伯母さんの家に入っていった。伯母さんはアディの行方が心配だったようで大歓迎である。しかしアディはむっつりしている。

モーゼは一人になって旅を続けることになった。憎らしい子供ではあったけれども、アディのことが懐かしくなり振り返った。見るとアディが荷物を持って歩いてくるではないか。

アディは伯母さんの家よりも、モーゼと一緒にいたかったのだろう。その気持ちはよく分かる。しかしアディは「200ドル、まだ返してもらってない」と言う。

⇒ アディは素直に気持ちを表現しない

モーゼも「お前と付き合うのはごめんだと言ったろ」と言う。しかし嬉しそうな顔だったりする。
 


■ 蛇足

アディが5ドルを出して買い物をする場面がある。画面を止めると確かに5ドル札。お釣りを貰うが、アディは「20ドル出したのよ」と抗議する。おばさんに貰って「誕生日おめでとう」って書いてあると主張。レジを確認すると確かに20ドル札があって「誕生日おめでとう」とあった。この仕組みは不明。おそらく、この前の場面が省略されている。

「ペーパームーン」のタイトル。遊園地に行った時に、DVDに描いてあるような三日月の形をした椅子があり、そこで写真を撮るサービスがある。これが由来。そこでアディは一人で写真を撮ってもらう。注、ただしタバコは吸っていない。その後モーゼに一緒に写真を撮ろうと持ちかけるが、この時はトリクシーに気が取られているので断られる。この写真を伯母さんの家について別れる時に、そっと座席に置いてくる。

ライアン・オニール。「おかしなおかしな大追跡/What's Up, Doc? (1972)」。