■ 正味変更

・「正味変更」とは若干意味不明の言葉だが、「生産計画に変更があった場合、全体は変更せずに、変更部分のみを処理する」という意味。英語ではNet Change。正味=Net。ビンなどに入っている商品にNet 100gと書いてあるやつである。

・MPSで作成した生産計画が変更になった場合、どうするか?

・書籍には、MRPを再計算しなおすか、正味変更を行うと書いてある。MRPは計算量が多いので負担。なので正味変更を行うことがよいとある。本当にそうか?場合分けをしてみよう。

◇ ケース1
・今月計算した三か月後の生産計画に変更があった場合。部品の発注はまだ行っていないとする。
・これはMRPを再計算しても問題はないだろう。

◇ ケース2
・まだ生産を開始していない来月の生産計画に変更があった場合。ただし部品の発注は行っている。
・普通に考えればMRP再計算ではなく正味変更で対応する。
・社内や協力工場のスケジューリングは問題はないはずだが、部品の発注が増えたり減ったりする。これに対応できるか?対応可能ならばMRP再計算もよいだろう。
・部品の発注が増えて納期が間に合わなければ不可。

◇ ケース3
・現在生産中の今月の生産計画に変更があった場合。
・このようなことはあってほしくないが、ありえないことではない。こちらは無条件に正味変更となる。
・部品の発注が増えたり納期が前倒しになったりして、納期が間に合わなければアウト。
・顧客に謝るか正々堂々と断ることになる。あるいは泣く泣く他製品を犠牲にして生産する(笑)。


・よほど大規模な工場でなければ、今日のコンピュータシステムでは、パフォーマンスが理由でMRP再計算ではなく正味変更にしなければならないことはないと考える。

・さて正味変更のロジック。書籍では「変更部分のみを処理する」というレベルでしか記述がない。これも場合分け。

◇ ケース1
・数量減少。
・変更数量だけでMRP展開する。ただしロットまとめは、通常であれば数量を増やす方向にまとめが、減少させる方向で処理しなければならない。理由は明白。
・差分を生産計画と部品発注に反映する。部品メーカや協力工場との関係で取り消せないのであれば仕方がない。
・また当該製品がよく流れている製品であれば「何もしない」という選択肢もありうる。

◇ ケース2
・数量増加。
・変更部分の再計算は通常通りのロジック。ただし生産工程が数量の増加に対応できるか?部品の発注が間に合うか確認する必要がある。よければ生産計画や部品の発注を増やす。

◇ ケース3
・納期後倒し。
・これは対応する必要がないと考える。
・ぎりぎりのスケジュールだったので、優先したい製品があるとすれば、部品の納期を確認したうえで、現場に指示することになる。

◇ ケース4.
・納期前倒し。これはかなり困った事態。
・変更部分のみをMRP→CRP実施。部品納期を確認。
・CRPの結果の現場に指示する。他の製品も含め間に合わなければ残業あるいは休日稼働。


・しかし上記の正味変更のロジックを組み込むのは、けっこう大変な気がする。



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