■ 安全在庫 基準在庫 発注方式
 
 
 
在庫数をコントロールするためには、コントロールのための基準を決定し、日常作業の手順を決めなければならない。決定すべき基準は次の通り。
 
    * 安全在庫数量
    * 基準在庫数量
    * 発注方式
 
実務の中で日常的に行う作業なので、基本的な考えを提示するだけではなく、具体的な手順すなわち発注方式にまで落とし込んでいく必要がある。
 
なお、これらを手順にしたがって「真面目に」実行しようとすると破綻する。データが揃っていない、現在までのいろいろな経緯があり、客先との関連があり、社内の体制が整っていないなどの事情があるからである。最初から正解は得られない。したがって状況を見ながら在庫管理の体制を構築していく必要がある。
 
また季節変動のある商品については、別途検討するので対象外と考えていただきたい。
 
安全在庫数量は、「最低在庫数量」と言い換えることができる。商品の入庫があり出庫がある。それにともなって在庫量が増減する。安全在庫は在庫数の下限である。発注しても調達リードタイムがあるので、すぐには入荷しない。したがって安全在庫は、発注点在庫ではない、入荷する直前の在庫数量である。(注、安全在庫=発注点在庫と間違っている書籍もあるので注意)。
 
商品の売行きが一定であり、(調達リードタイムが一定ならば、)安全在庫はゼロでよい。しかし商品の売行きは一定ではなく、売れたり売れなかったりする。発注してから商品が入荷するまでの時間は、変化することがある。
 
したがっていくばくかの安全在庫を設定して、売上げの変動に対応し、欠品を防止する必要がある。
 
基準在庫数量。商品の入出庫に伴って、在庫数が増減する。その在庫数の波の平均値(の目標値)。財務上の視点からは、安全在庫、基準在庫とも、できるだけ少ないほうが望ましいが、欠品を防止、発注方式・条件の制約から適当な値を求めることが必要となる。
 
発注方式。次の三つの発注方式が知られている。定期発注方式、定量発注方式、都度発注方式(不定期・不定量発注方式)。定番品の管理には、定期発注方式、定量発注方式のどちらかが使用される。これらの特性を理解して使い分けることが必要である。