■ セル生産方式の特徴
ここではセル生産方式のいわば形式的な特徴を挙げる。
セルの形状。セルはU字型やL字型をしたものが多い。そのような形状にするのは、作業者の動線を短くするためである。U字型、L字型に工程が配置されていれば、作業者の移動距離が短くて済む。特にU字型の場合には、最後の工程を終了して最初の工程に戻るときに動線が短くなる。また重要な最初の工程と最後の工程を熟練者が担当することもあるが、このようなことがやりやすい。後述の担当工程を動的に変化させるためにも有効。
省設備。多品種少量生産に対応するためには、専用設備・高価な設備を使うのは好ましくない。セル生産方式は、汎用設備・安価な設備を主に使用し、機械の性能よりも人間の柔軟性に依拠している。
作業者の自己判断。生産という場面においては、細かいけれども種々の問題が随時発生してくる。セル生産方式においては、細かい問題については、作業担当者がその場で判断して解決していくというスタイルをとっている。多能工化しているので、それがまた可能である。
担当工程の動的な変化。すべてのセル生産方式に言えることではないが、顕著な特徴である。作業の進捗状況を見ながら、遅れている工程をカバーするために、臨機応変に担当する工程を変更していく。しかもこの判断はセル内部において行われるので、調整コストがほとんど変わらない。
立作業である。昔の工場では座り作業が多かったが、今日の工場では立作業が普通となっている。ただこれはセル生産方式のみに見られる特徴ではないが、セル生産方式では立作業が原則である。