■ カンバン方式(トヨタ生産方式)の動作メカニズム
カンバン方式は、トヨタで実践されている生産管理方式。カンバンは、品名や数量などを書いた札であり、これを回すことによって、中間製品の引き取りや(中間)製品の生産指示を行う。
カンバンには、主に二種類ある。一つは子工程から中間製品(親工程にとっては部品)を引き取る引き取りカンバン。もう一つは生産ライン内をまわして生産工程を制御する生産指示カンバン(仕掛カンバン)。
以下は、両カンバンの動作を解説。
1. メインのラインでサブラインから引き取られた部品を取り出す。最初の一個を取り出したときに、それについている引取りカンバンをはずし、所定の場所に置く。
2. 引取りカンバンは、定期的にサブラインに戻される。
3. サブラインに戻された引取りカンバンにもとづいて、サブラインから当該部品がメインラインに引き取られる。
4. メインラインに引取られた部品についていた生産指示カンバンがラインの先頭に戻される。
5. ラインの先頭に戻された生産指示カンバンがライン中を流されて、それにもとづいて中間製品の生産が行われる。
カンバン方式が動作する条件としては、生産が平準化されていることが条件である。カンバンによる引き取りは多いもので一日八回行われるが、実際の部品(中間製品)の生産は、そのような短いサイクルではできないので、内示で大まかな生産計画の指示が行われている必要がある。
カンバン方式は、生産と調達の指示が順次伝わっていくので、中央集権的な管理システムが不要である。また単にこのメカニズムを回すだけであれば、事務処理組織も不要である。
さらにカンバン方式ではメインの生産ラインに指示を出せば、後はサブラインまで含めて自動的に動作する。
そしてカンバン方式は、トラブルがあっても、それなりに動作する。これは「カンバン方式は現実に合わせて動く」を参照。
カンバン方式は適用範囲は限定されるが、このように非常に優れた特徴を持っている。
注、ここではメカニズムの説明のため簡単化して説明している。それぞれのカンバンはさらに細分化されている。