■ 顧客心理活用の効用と限界
 
 
 
顧客の心理を中心に論じた営業本は数多い。それらの本には、顧客心理を掴んでテクニックを駆使すれば、いかようにも売上を上げられるかのように書いている。また著者がいかに、このようなテクニックを遣って成績を上げてきたかが書いてある。私は、はっきり言えば反感を感じる。
 
もちろん顧客の心理を考慮することは必要である。そして顧客心理に適切に対応したい。顧客心理を考慮することの効用と限界を考えていただきたい。
 
顧客を不快にしたりしないこと。自社の商品を売りたいと思っている営業パーソンが意図的にこのようなことを行うはずはないが、知らずして行っていることはありうる。人間がどのようなときに不愉快になるなどの基本的な心理を知らない、何からのプレッシャーがあって失礼な言動をしてしまうなどのことがありうる。日頃から気をつけて研究・練習しておきたい。
 
顧客との信頼関係を築く。信頼関係を築くためには、そもそも当の本人や企業が信頼できる人物や企業でなければならない。さらにそれを前提にして、顧客の信頼をいただくためには、それなりの過程と話術や態度が必要である。しかしあまり堅苦しく考える必要はなく、基本的には、顧客のため、自社のため、自分のために一生懸命にやっていこうという気持ちがあれば、問題は解決する。
 
顧客の心理にあった商品の紹介をする。商品を単に正確に紹介するということではなく、商品の良さ、イメージが感覚で分かるように強調する。これは商品によって大きく異なってくるので、商品に応じた研究が必要である。
 
単に印象を悪くして売れなくなるのは避けなくてはならないし、ある程度の活用は許されるが、あまりにテクニックに頼るのは禁物である。これを念頭においていただきたい。