イエスは、ユダヤ教の宗教的指導者たちの陰謀によってローマ帝国の磔に処せられた。

イエスが処せられた磔というものはどのようなものだったろうか。

ヨーロッパや日本で行われた磔刑は、十字架などを処刑の舞台とするものである。それを舞台にして、槍で突き刺したり、火をつけたりする。

しかしローマ帝国の磔刑は、手足を十字架に打ち付けて放置し、そのまま死に至らしめるものである。注、イエスを描いた絵では、手の平に釘が打ち付けられているが、実際には手首に打ち付けるものである。

刑罰に残忍とそうでないの区別があるとするならば、これは実に残忍な刑である。手足に釘を打ち込まれて身動きもできず、苦しみながらゆっくりと死んでいく。

そして磔は公開で行われる。処刑を見ている人々は、本人が苦しみながら死んでいくのを目の当たりにすることになる。火をつけられて短い時間の間に死亡するのではなく、苦しみながら死んでいく。これをずっと見る。

これは非常に恫喝力の大きな処刑方法である。自分もローマに反逆すれば、このようになってしまうという非常に大きな恫喝を与える処刑方法である。